牧野智和,2015,日常に侵入する自己啓発──生き方・手帳術・片づけ,勁草書房.(11.11.24)
自己啓発書はどのように生み出され、誰によってどのように読まれているのか。自己啓発書には結局のところ何が書かれてあるのか。各年代の生き方指南書、「手帳術」ガイド、掃除・片づけで人生が変わるとする書籍、さらには自己啓発書の作り手と読者へのインタビュー、質問紙調査の分析から「自己啓発の時代」を総合的に考究する。
わたしは、自己啓発書なるものは、ほとんど読んでいない。
胡散臭く、内容が陳腐で役に立たないし、なによりそのようなものを読むというのが耐えがたくみみっちいと思えるからである。
自己啓発書を読んで、競争に出遅れないようにしようとか、恋愛や結婚を成就させて幸せになろうとか、安直すぎるのだ。
本書では、手帳術、片付け術を指南した書籍も含め、自己啓発書の歴史と諸相とを、ピエール・ブルデューの立論を導きの糸として、分析する。
自己啓発書とは、自力で人生を打開する気力、胆力、意欲、能力、努力に欠ける人々がすがりつく蜘蛛の糸のようなものなのではないのだろうか。
だれもが、仕事、恋愛、家族、健康等に不安を抱くであろうから、自己啓発書やら占いやらの需要はなくならないのであろう。