和田靜香,2023,50代で一足遅れてフェミニズムを知った私がひとりで安心して暮らしていくために考えた身近な政治のこと,左右社.(2.25.24)
あのさ、それまで「女性が輝けば、世界は輝く」とほざいてた安倍晋三を女にしたような、そんな存在の50代の女性が、フェミニズムに目覚めて、パリテ──例えば議会議員の性別を男女半数にすること──を実現した神奈川県大磯町議会に注目し、関係者を取材して、本書を書いた、それはいいんだけどくさ、、、
自分語りが多すぎ、、、しかもつまんないの!
あのね、自分史を他者に聞かせる場合は、当たり前だけど、その濃度と強度がもとめられるわけ、、、
例えば、戦争やレイプ被害の体験とかさ、正気と狂気のはざまで経験したエグいこととか、ちょっと笑えるようなエロい体験とかさ、社会学にオーラルヒストリー研究ていうのがあるけどさ、やはりその読みどころってのは、フツーの人の生活史のなかに、そうしたエグさ、エロさ、狂気、あるいは実存っていうのかな、鋭利で、尖った、その人の自我のエッジが垣間見えるからおもしろいわけよ、、、宮本常一の『忘れられた日本人』、そのなかでもとくに「土佐源氏」を熟読してみなよ、なにが大切なことなのか、きっとわかっからさ、、、
あなたの生活史には凡庸さしかないんだよ、、、せっかく生まれてきたんならもっと命懸けで生きて、自分史を読んでほしいのだったらその命懸けの体験を話せよ、、、
版元の左右社の編集も、もっと自分の仕事にプライドをもち、原稿がつまんなかったら、突っ返して、おもしろくなるまで、作者を鍛え上げろよ、、、出版文化が衰退している一因がおまえたちにもあることをもっと自覚しろよな、、、
自称ライター、ブロガー、ユーチューバー、、、もう、うんざりなんだよ、、、命はってない表現なんか、つまんねーんだよ、、、つまんねーの!
でも、本書に全く価値がないわけではなくってさ、パリテを実現した関係者の思いと実践と、それにこころ動かされた和田さんが、フェミニズムの思想と実践を参照しながら考えたこととかさ、冗長に表現するんではなく、びしっと簡潔にな!とりまとめた部分なんか、けっこう読み応えがあったよ、、、だったら、全篇、その濃度と強度を維持しろよってこと。
あと、新左翼の思想を背景にした、1960-70年代の住民運動が、1980-90年代の、高学歴化により高度の教養を身につけながら家庭に鬱屈していた専業主婦たち──ベティ・フリーダンが「名前のない問題」としてとりあげたことな──が展開した消費者運動に引き継がれ、それらが継承されて、女性の地方自治、政治参加がすすみ、パリテが実現した経緯、それがちゃんとわかってんのも、評価していいかな。
女性も担う、地域主権、大事。
というわけで、好きなこと言わせて貰ったけど、和田さん、自作はもっとクールな内容の作品を、期待してるぜ!
働き続けられる?家賃は払える?人生なんとかなる?女性議員ならこの不安を自分ごととして考えてくれるのでは?だからパリテ(男女同数議会)を20年続けてきた神奈川県・大磯町議会を訪ねた―『時給はいつも~』の著者によるガチンコ政治エッセイ!
目次
第1章 私はフェミニズムを知らず、間違え、苦しんできた
コロナでバイトをクビに。我が人生、詰みにけり
#MeToo運動は遠い外国のこと
「年とったときのための結婚」はしなかったジェンダーギャップ指数は世界最低クラス
日本に20年間も男女同数のパリテ議会があったなんて!
第2章 ひとり身でも安心して年をとれる社会にしたい
パリテ実現、本当~に、たいへんなことなんですYo!
56歳、初めて地方議会のしくみを知る ほか
第3章 女性の政治家が増えるとどうなる?自分の暮らす町の女性議員の数、知ってますか?
「女の人が出たのなら、そりゃあんたに入れるよ」 ほか
第4章 選ばなかった「妻」「母」の道
56歳で大学入学、59歳で初当選?!
「子どもがいてこそ一人前」という呪い ほか
第5章 おしゃべりから始まる抵抗
コメよこせ!生きさせろ!
うまいこと話せなくっても、声をあげる ほか