これといって斬新な発想や知見が展開されているわけではないが、手堅い現状分析と軽妙な論理展開からか、すらすら読める。若者が自らの歴史的立ち位置を確認するにはいい本だろう。
目次
第1章 日本の「幸福論」の迷走
「箱庭王国日本」の繁栄と崩壊
曖昧にされた「領土」と「国民」「主権」 ほか
第2章 結婚と孤独死の間に
孤立はなぜ問題か
「家族」の困難 ほか
第3章 「会社村」と「草食男子」の間に
日本に低成長耐性はつくのか
「草食男子」現象が意味するもの ほか
第4章 「安定志向」がリスクに転じるとき
リスクをとれない日本の若者
八〇年代以降に「子どものいる世帯」は保守化した? ほか
第5章 「昭和の鎮魂」から「つながりの再編」へ
「新しい公共」の困難が露呈したもの
ガラパゴス化は「孤立化」なのか ほか
近年、日本を含め世界各国では幸福感の見直しが進められている。国内では内閣府が新成長戦略の一環として「幸福度に関する研究会」を発足させた。また、海外ではGNH(国民総幸福度)をはじめとした経済指標に代わる幸福度策定への関心が高まりを見せている。反面、日本では格差や貧困などに起因する「不幸」をめぐる議論も盛んになってきている。だが、「孤独死」に代表される孤立化への不安と、国際社会における日本の存在感低下への懸念が奇妙な相似形を描いているように見えるのはなぜか―。ミクロとマクロの観点から、現在の日本社会が抱える問題点を整理し、来る時代の「幸福のあり方」を探る。
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