とてもわかりやすい、遠野物語の編集本。売れっ子文筆家ならではのセンスの良さが光る。さすがに「戦慄」するまでもなかったが、東北の寒村に継承されてきた、異界への畏怖の念慮がストレートに伝わってくる。下手なホラー小説より、はるかに楽しめるだろう。
人の住まぬ荒地には、夜どこからともなく現れた女のけたたましい笑い声が響き渡るという。川岸の砂地では、河童の足跡を見ることは決して珍しいことではない。遠野の河童の面は真っ赤である。ある家では、天井に見知らぬ男がぴたりと張り付いていたそうだ。家人に触れんばかりに近づいてきたという。遠野の郷に、いにしえより伝えられし怪異の数々。民俗学の父・柳田國男が著した『遠野物語』を京極夏彦が深く読み解き、新たに結ぶ―いまだかつてない新釈“遠野物語”。
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