本書は、11人の研究者の分担執筆により構成されているが、国際比較の意図が希薄であり、方法論がまちまちで構成、内容の統一性に欠ける。
それでも、ボー・ロートシュタインによる、第7章「スウェーデン──社会民主主義国家における社会関係資本」において、高水準の福祉国家が、同時に旺盛な市民のボランティア活動水準、無償活動についての高い有用性意識を維持している点を確認できたのは良かった。高福祉は家族も、またソーシャル・キャピタルも解体しはしないのである。
二段組の分厚い書物であるが、若い人たちに大切なことを伝える使命がある社会科学系の教員は一読しておくべき文献であろう。
過去五〇年間に市民社会の性格はどのように変化したのか、またその要因は何か。本書では、イギリス、アメリカ、フランス、ドイツ、スペイン、スウェーデン、オーストラリア、日本という八カ国を取り上げ、現代の脱工業化社会において社会関係資本がどう変化しつつあるのかを論じる。第二次世界大戦終結後から二〇世紀末までの期間にわたる、初の定量的・定性的な検証の成果。
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