言わずと知れたベストセラー本だが、東日本大震災以降においても、災害の記録文学として色あせていないのには驚かされる。どこかしら牧歌的で叙情的な文体が印象に残る。自然を畏れ、人間の無力さに諦念する無常観に共感する。
目次
1 明治二十九年の津波
前兆
被害
挿話 ほか
2 昭和八年の津波
津波・海嘯・よだ
波高
前兆 ほか
3 チリ地震津波
のっこ、のっことやって来た
予知
津波との戦い
明治29年、昭和8年、そして昭和35年。青森・岩手・宮城の三県にわたる三陸沿岸は三たび大津波に襲われ、人々に悲劇をもたらした。大津波はどのようにやってきたか、生死を分けたのは何だったのか―前兆、被害、救援の様子を体験者の貴重な証言をもとに再現した震撼の書。
河田惠昭,2010,『津波災害――減災社会を築く』岩波書店(新書,¥756)'11.1.9
こちらは津波の科学的知見をフルに生かして、いかに減災をはかっていくべきかを提言した啓蒙の書。まさか東日本大震災を予見していたわけではなかろうが、本書を読んで難を逃れた人もいるのだろう。三陸海岸における津波のシミュレーションは甘かったと言わざるを得ないが、それでも警告しないよりかははるかにましである。科学者としての良心が伝わるいい本だと思う。
目次
序章 “安全な津波”はない
第1章 津波は恐ろしい
第2章 津波災害はくり返す
第3章 津波情報に注意せよ
第4章 津波が来たらどうする?
終章 津波災害に備える
いまだ記憶に新しいスマトラ沖地震津波。巨大地震発生帯に位置する日本列島も、同様の津波に襲われる可能性が十分にある。来たるべき大津波に、どう備えるか。重要なのは、被害をいかに最小限におさえるかという「減災」の視点だ。災害研究の第一人者である著者が、津波減災社会の構築へ向けた具体的施策を示す。
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