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「原発避難」論


山下祐介・開沼博編著.2012,『「原発避難」論──避難の実像からセカンドタウン、故郷再生まで』明石書店 (¥2,310)('13.12.23)

 福島第一原発事故により住み慣れた地域も、仕事も、人間関係をも突如として剥奪された被災者たちの、離合集散を余儀なくされながらも懸命に生き抜いてきた流浪生活のモノグラフ集である。原発事故の収束など展望さえもてない現状にあって、「故郷再生」は夢のまた夢なのだろうが、圧倒的な悲惨にうちひしがれながらも生き抜いてきた人々の記録は、たしかに残すに値するものなのだろう。


目次
まえがき(山下祐介)
第1章 東日本大震災と原発避難――避難からセカンドタウン、そして地域再生へ(山下祐介)
第2章 ある聞き書きから――原発から追われた町、富岡の記録(山下祐介・吉田耕平・原田峻)
第3章 全村避難をめぐって――飯舘村の苦悩と選択(佐藤彰彦)
第4章 原発避難と家族――移動・再会・離散の背景と経験(吉田耕平)
第5章 大規模避難所の役割――ビッグパレットふくしまにおける支援体制の構築(須永将史)
第6章 首都圏への遠方集団避難とその後――さいたまスーパーアリーナにおける避難者/支援者(原田峻)
第7章 「ホットスポット」問題が生んだ地域再生運動――首都圏・柏から岡山まで(宝田惇史)
第8章 いわき市における避難と受け入れの交錯――「オール浜通り」を目指して(高木竜輔)
第9章 「難民」として原発避難を考える(開沼博)
あとがき(開沼博)
概説 原発周辺自治体の避難の経緯(吉田耕平・原田峻)

原発事故を受け約15万人が福島県内外に避難し、今も帰る見通しが立っていない。置かれた状況は多様であり、問題は深刻化している。長期的避難を前提とするセカンドタウン構想をも視野に入れながら、見えざる難民たちの実像を追い、故郷再生の回路を探る。

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