実直な歴史家らしく、遺書となった本作品でも、「社会民主主義的なるもの」を現代史のなかから掘り起こし、冷徹に淡々とその功罪を説く。わたしたちは、市場原理主義が席巻してもなお「社会民主主義的なるもの」が息絶えることなく、細々と生きながらえていることを知る。
目次
感謝のことば
前置き 不安と混乱のさなかにある若者たちへ
第1章 今のわたしたちの生き方
裕福な個人、浅ましい全体
感情の頽廃
アメリカの特殊事情
経済主義とその不満要素
第2章 失われた社会
ケインズ主義のコンセンサス
規制された市場
共同体と信頼と共通目的
偉大な社会
第3章 政治の耐えられない軽さ
六〇年代の皮肉な遺産
オーストリア人の復讐
民間礼賛
民主主義の赤字状態
第4章 さらばすべてのものよ?
一九八九年と左翼の終焉
脱共産主義のアイロニー
わたしたちは何を学んだのか?
第5章 何をなすべきか?
異議申し立て
世論を鍛え直す
社会問題を問い直す
新しい道徳物語?
わたしたちは何を望むのか?
第6章 来るべきものの形
グローバリゼーション
国家を考える
鉄道――一つのケーススタディ
恐怖の政治学
結び 社会民主主義――生きている部分、死んだ部分
訳者付記
今日の生き方には、途方もない間違いがある。市場原理主義が引き起こす不安と混乱に対して、世論の鍛え直しと政府の役割の再考を訴える、歴史家最後の提言。
最新の画像もっと見る
最近の「本」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事