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本と音楽とねこと

音楽が聴けなくなる日

宮台真司・永田夏来・かがりはるき,2020,音楽が聴けなくなる日,集英社.(3.28.2021)

 ミュージシャンが、麻薬や覚せい剤の使用、所持で警察に逮捕されたからといって、音源の出荷、配信を止めてしまうレコード会社の姿勢が理解できない。
 わたしたちがほしいのは、音楽であり、ミュージシャンが逮捕されようが、「不倫」(ってそもそもなんだ?わけわからない)しようが知ったことではない。
 「不祥事」が起きたら、自粛する、自粛させる、この気味の悪い同調圧力は、コロナ禍でさらに露わになった。
 緊急事態宣言解除で、街に人出が戻りはじめ、感染者が再び増加している。ちょうど、桜が綺麗に咲いている時期であるし、お花見したい人もいるだろう。
 日本の法令で、いわゆる「三密」を取り締まることはできない。わたしは、たまたま、部屋に閉じこもって、音楽を聴きながら本を読むのが楽しい、という人間なので、不要な外出はしない。しかし、お花見や宴会、カラオケ等で新型コロナウィルスに感染したとしても、わたしには、その人を責める気持ちはぜんぜん起きない。たとえ、その人からわたしがウィルスをうつされ、死んでしまうとしても、だ。
 自粛する側のレコード会社の社員が言う「血に飢えた正義のガーディアン」(p.127)が跋扈する日本。ほんとうに気持ちが悪いし、人間やめたくなければ、過剰な同調圧力には抗っていかなくてはならないと思う。
(「電気グルーブ」の楽曲を聴きながら。)

電気グルーヴのピエール瀧が麻薬取締法違反容疑で逮捕された翌日、レコード会社は全ての音源・映像の出荷停止、在庫回収、配信停止を発表した。近年ミュージシャンの薬物事件ではこのような対応が即座になされ、また強化されてきたが、その「自粛」は何のため、誰のためのものだろうか?こうした「自粛」に異を唱える著者たちがそれぞれの立場から問題の背景と構造を明らかにし、現代社会における「音楽」「薬物」「自粛」の在り方について考察を深めていく一冊。巻末の音楽自粛小史は必見。

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