本書は、いわゆる「フリーライダー」(費用を負担せずに便益のみを享受する者)問題を取り上げた書物としてよく知られているが、エミール・デュルケム等の中間集団論を継承し、労働組合、協同組合等の小規模集団のパフォーマンスの高さを指摘した点の方が評価されるべきだろう。
誰しもが排除されない「公共財」の構築と運用にあたって、官僚制組織に任せてしまうのではなく、公正に選出された住民組織による自主管理をめざすべきであることを再認識した。
経済学の枠をこえ、政治学や社会学の額域においてもたかい評価を得ている必読の文献。集団と、それを構成する個人との関係、また利益集団行動に有力な分析枠組を提供するのみならず、地域活動や政府活動の検討においても、本書は有益な示唆に富む。集団と組織の理論的考察や労働組合と経済的自由の問題、また国家と階級の伝統理論の検討を通じて、集合行為の理論が明快に論じられている。
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