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筒井康隆が解説しているとおり、一読アナーキーで斬新な文体は、過去の文学作品の伝統にしっかりと依拠したものだ。
「介護」にまつわる蘊蓄が噺のネタに披露されているが、そんなものはどうでもよい。本作品の読みどころは、大麻と老人介護に耽溺する青年、そのパンクな心情がとめどなくつむがれた強烈な呪詛につきるだろう。
29歳、無職の“俺”。マリファナに耽溺しながら、寝たきりの祖母を自宅で介護する日々。“悟っては迷う魂の俺から朋輩へ”放たれる熱狂と呪詛。新しい饒舌文体でセンセーションを巻き起こした、モブ・ノリオのデビュー作にして芥川賞受賞作。単行本未収録の短篇「市町村合併協議会」「既知との遭遇」も収録。
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