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知的障害34歳息子 受け皿どこに

 触法障害者については、行動の自由を束縛されても致し方ないとわたしは考えている。しかし、刑務所に収容するだけでは、本人にとっても不幸だし、社会的コストもかさんでしまう。入所型福祉施設はこういう人のためにこそあるべきだと思うんだがどうだろうか。

<追う>知的障害34歳息子 受け皿どこに
2007年08月11日
asahi.com マイタウン 埼玉
◇窃盗重ね懲役8回目 70歳父「刑罰では救えない」
 知的障害のある息子は欲望を抑えることができなかった――。この10年間、窃盗を繰り返し、再び民家から現金を盗んだとして、常習累犯窃盗罪で起訴された男(34)にさいたま地裁川越支部は懲役2年10カ月(求刑同4年)の実刑を言い渡した。8回目の懲役刑だ。「被告に必要なのは、刑罰ではない」と弁護側は訴えたが届かなかった。息子の背中をじっと見つめていた父親(70)は「出所後に息子が入れる施設を探します」と話した。
 無職の息子は6月、坂戸市の民家に空き巣に入り、約17万円を盗んだ疑いで西入間署に逮捕、起訴された。検察は「自制心のなさや規範意識の没却は顕著」と指摘した。
 父親によると、5歳の時にかかった病気が、親子の人生を狂わせたという。2週間、高熱が続き、脳に障害が残った。父親は「兄弟の中で一番賢くて自慢だった息子が、別人になった」。神社からさい銭を盗んだり、店から商品を取ったり。記憶力も低下し、「人のものをとるのは悪いこと」と教えても覚えられなかった。
 盗んだ金は息子の銀行口座に入っていた。使うことはなかった。盗みが発覚すると、盗みに入った日付や場所、金額を記した息子のメモから、金は被害者に返された。
 両親の手に負えなかった。24時間、見張ることはできない。ものを教えても覚えられず、欲求も抑えられない。受け入れてくれる施設を探したが「五体満足で、面倒をみてくれる親がいる息子さんのような障害者を預かるところはない」と断られた。息子も障害者扱いされることを嫌がった。障害を隠して就職しても、仕事の覚えが悪く、同僚から疎んじられ、離職を繰り返した。
 父親は「社会に息子の受け皿はなかった」と振り返った。息子も「なぜ自分だけみんなに嫌われるのか」と自分を責めたという。
 20代前半、初めて逮捕された事件の裁判で、父親は「息子を刑務所に入れて下さい」と訴えた。「どうすればいいか分からなかった」。息子は、窃盗が悪いことと分かるようになっていたが「人のお金を取る」という欲望は抑えられなかった。
 以後、計7回起訴され、それぞれ1~2年半の懲役を受けた。20歳からの14年間のうち10年以上を刑務所で過ごした。刑務所から父にあてた手紙には「今度こそ更生します」。だが、刑務所は息子を更生できなかった。
 父親が「余命を考えると最後かもしれない」と臨んだ8回目の判決は今月6日にあった。息子は「自分が一般の社会で働くことは困難。出所後は、強制的な施設に入ります」と初めて施設に入ることに積極的な姿勢をみせた。
 判決は「被害者に思いを致さず、窃盗を繰り返してきたことは非難を免れない」とする一方、「障害のため、仕事に支障があったのは不幸なこと」と酌量した。
 控訴せず、刑は確定する見込みだ。
 父親は「国が認めた障害者を漫然と、刑務所に送り続けてきた司法の姿勢に疑問を感じる。息子にとって刑務所は意味がない」と力なく話した。


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