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本と音楽とねこと

幼な子の聖戦

木村友祐,2023,幼な子の聖戦,集英社.(12.3.23)

 話題となった小説だけに、多少は期待して読んだのだが、ちょっとこれは厳しい。
 表題作は、東北の寒村の村長選挙をめぐるドタバタ劇であるが、人間のクズとしか言いようがない主人公の人物造形がもっと醜悪で、結末がさらに救いようのないものであれば、もう少し楽しめたように思う。
 併録された「天空の絵描きたち」は、表題作より良かった。ストーリー展開の疾走感ともども、人間にとっての職業の意味を問い直す内容になっているのが評価できる。

第 162 回 芥川賞候補作「幼な子の聖戦」と、ビルの窓拭きを描いた話題作「天空の絵描きたち」を収録。
「幼な子の聖戦」――東京で疎外感を味わい、信じかけた新興宗教にも失望し、史郎は故郷に戻って村議となる。幼なじみの仁吾が村長選に立候補すると、改革の理想を語る彼への応援を約束。しかし県議から弱みを握られ、仁吾落選のための不正工作に加担させられることに。心を引き裂かれた史郎はやがて、ある破壊的な衝動に突き動かされていく。
「天空の絵描きたち」――ビルの窓拭きを専門にする会社に転職した小春。仕事を理由に彼氏と微妙な関係にあるが、仲間同士で文字通り命を預けて仕事をする緊張感にのめり込んでいる。ある日、ビル内の盗難事件が原因でリーダーのクマさんこと権田が責任者を下ろされてしまう。クマさんにひそかに憧れていた小春は、彼を焼き鳥店に誘うが……。

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