赤坂真理,2003,ヴァイブレータ,講談社.(6.17.24)
本作中の「あたし」は自分だと共感する女性が多かったらしいが、それは、なにかにアディクトしてかろうじて生をつないでいくことへの共感なのだろうか。
アルコール依存、摂食障がい、解離、そして行きずりのトラック運転手との刹那的なセックス。
「あたし」は、トラックのヴァイブレーションにつつまれ、主客未分化のぼんやりした世界のなかで漂う。
自分の身体を痛めつけてかろうじて看取される生の実感。
それが実に良く表現された作品であるように思う。
ヴァイブレータ―振動するもの。あたしの中身は震えつづけている。アルコールと食べ吐きで辛うじて自分を支えているライターのあたしは、コンビニで知り合った男のトラックに乗りこみ、航路の道連れとなる。肌の温もりとセックス、重ね合う言葉。四日間の「旅」を描く、痛いほどに切実な、再生の物語。