「べてるの家」のユニークな精神保健福祉の取り組みは、つとに知られているが、本書は、かつての当事者活動の詳細が、当事者自身により綴られている。
統合失調症をこじらせると、当事者も、家族もたいへんな思いをするが、たとえば、「妄想」を外部化して「妄想さん」と名づけ、「今日はおとなしくおかえりください」とお願いする。病気を薬物や入院により「治す」のではなく、当事者どうし、助け、助けられ、病を飼い慣らしながら、なんとか生活していく。
北海道浦河町は、ドイツのベーテル同様、「福祉のまち」として成り立っているように思うが、「べてるの家」は、これからも、精神障がい者の長期入院を減らし、障がい当事者が福祉コミュニティのなかで生活していくことを可能にする「社会モデル」として、参照され続けていくのだろう。
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