すでに自己が零落している現実をみようとせず、自己の優越を脅かす相手に、劣等感情の裏返しの憎悪をふりむける。
反知性主義は、おれすごい、あたしすごいという根拠なき自己愛を防衛するため、知ろうとしない、考えようとしない、劣化した感情の所産である。
同時並行で、複数の論点を提示しながら、アクロバティックな橋本節はひかえめに、衆愚社会の成り立ちを論じる。どの社会学者よりも、説得力にまさる論述はさすがというほかない。
「ヤンキー」と、言い訳する「大学出」ばかりで、この国にもはや本物の知性は存在しないのか?イギリスのEU離脱、トランプ政権誕生、ヘイト・スピーチ…世界的に「反知性主義」が叫ばれて久しい中、その実態は主義というよりは、「かつて持っていた自分の優越を崩されたことによる不機嫌さ」という「気分」に過ぎないのではないか?その「空気」が生まれるに至るメカニズムを読み解き、もう一度自ら本物の「知性」を建て直すための処方箋を提示する、示唆に富んだ一冊!
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