
保護司としての役割を超えて、行き場のない子どもたちのために自宅を開放し、食事を提供し続けてきた中本忠子さん。その特異な活動が、「NHKスペシャル」で紹介されて大きな反響を呼び、「広島のマザーテレサ」と呼ばれるようになる。
中本さんのたぐいまれな活動の動機となったものはなにか、著者の秋山さんはときに中本さんに敬遠されながらも、懸命に追求し続ける。
被爆、夫の死と再婚、子どもとの離別等、中本さんがだれにも語ったことがなかった事実が掘り起こされるが、それでも秋山さんは中本さんとつながり続けた。
中本さんが非行少年たちに注ぎ続けた愛情の原点が、おぼろげながら理解できたような気がする。
本名よりも「ばっちゃん」の通称で知られる女性、中本忠子。彼女は広島市にあるアパートを拠点に約四十年にわたり、非行少年をはじめ、生きづらさを抱える人たちに無償で手料理を提供し、生活の立て直しを支援し続けてきた。その圧倒的な善行はメディアに取り上げられ、意に反して急速に聖人化される。ところが、肝心の活動の動機は一切謎のままだった。本人、親族、そして“家”に集う人々へ取材を重ね、秘してきた“情と業”に初めて迫る。それは、偶像を求め、作り、持ち上げては貶める時代の闇を払うことでもあった!渾身のルポルタージュ!!
目次
序章 「ばっちゃん」と「中本忠子」―二十五秒のスピーチを聞いて
第1章 基町の家―卵焼きを囲んで
第2章 孤独と空腹―立ち直りのために「立て直す」
第3章 「木に登ったが下りられず」―ドーナツの穴を埋め続けて
第4章 平和都市ヒロシマの足下―人々は見捨てられてきた
第5章 母の背中―息子も里親になった
第6章 ルーツ―お嬢様から“母”に
第7章 遠いところで―祈りは皿に込められた
終章 家族―よその子であれ、わが子であれ
社会貢献支援財団 平成27年度 社会貢献者表彰受賞者 中本忠子さん
最新の画像もっと見る
最近の「本」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事