リーマン・ショック前年の2007年といえば、イエスタ・エスピン=アンデルセンの研究に端を発する比較福祉レジ-ム論が花盛りであったように記憶している。
リーマン・ショック以降は、社会経済的格差、(反)貧困、労働問題等の研究が隆盛を極めた。2011年以降は、災害社会学、リスク社会論、再生可能エネルギー等の研究が盛んになることになった。そして、そのあとは、ほとんどなにもなくなり、コロナ禍のなかでさらになにもなくなってしまった。
本書の内容に新味があるわけではないが、このような、移ろいやすい研究動向を想い起こしてしまった。
経済の急激なグローバル化や先進工業諸国でのポスト工業化が進行するなかで、「新しい社会的リスク」が顕在化し、20世紀型の福祉国家は行き詰っている。社会的参画からの排除や制度上の問題ゆえに、いま多くの人々の生活が脅かされている。いかにして問題解決の展望を切り開くのか。本書は、現代日本の生活保障システムを、時系列的・国際的な比較の座標系のなかに位置づけるとともに、ジェンダー的視点に基づいた分析により、批判的に検証。21世紀にふさわしく「福祉」を再構築する要点を提示し、課題解決への希望のシナリオを描き出した労作。
最新の画像もっと見る
最近の「本」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事