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図・表が見にくいものの、具体的な事実に即して、ていねいに「超格差社会」米国の成り立ちが説明されている。細部にわたって良く書けているなあと感心した。
文体がやけに硬いなと思っていたら、日本に生まれ育ち、米国でキャリアを重ねた筆者らしく、まず英文を思い浮かべ、それを日本語に変換していったそうだ。(「おわりに」を参照。)
ネオリベラリズムの本家本元、米国社会において、金融、軍事、ハイテク中心の市場経済が、いかにして形成され、稼働しているのか、本書は多くのことを教えてくれる。
5%の金持ちが富の6割を独占し、3割が貧困家庭!これが小泉改革路線以降、日本が目指してきた格差社会アメリカの真実なのだ。かつての豊かな中流階級はなぜ消滅したのか。それでも「心地よい」のはなぜか。アメリカの政治、経済の変遷を綿密に分析し、今日の米国社会の本質を描ききった本書は、明日の日本の姿でもある。
目次
第1章 超・階層社会アメリカの現実―「特権階級」「プロフェッショナル階級」「貧困層」「落ちこぼれ」
第2章 アメリカの富の偏在はなぜ起きたのか?―ウォール街を代理人とする特権階級が政権をコントロールする国
第3章 レーガン、クリントン、ブッシュ・ジュニア政権下の富の移動
第4章 アメリカン・ドリームと金権体質の歴史―自由の国アメリカはいかにして階級社会国家となったのか?
第5章 アメリカの教育が抱える問題―なぜアメリカの基礎教育は先進国で最低水準となったのか?
第6章 アメリカの政策目標作成のメカニズムとグローバリゼーションの関係―シンクタンクのエリートたちがつくり、政治家たちが国民に説明するカラクリについて
第7章 それでもなぜアメリカ社会は「心地よい」のか?―クリエイティビティが次々と事業化されてくる秘密
第8章 アメリカ社会の本質とその行方―アメリカ型の市場資本主義が広がると、世界はどうなるのか?
第9章 アメリカ発世界経済危機はなぜ起こったのか?―レーガン以降のアメリカ政権の経済政策を検証する
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