やっと最終の乾燥のお話しになります。
↑台湾の乾燥機
工夫紅茶の乾燥は熱風乾燥を採用する。
一般的には2度乾燥(✳︎)させ、間に1度広げて冷ますようにする。
1度目の乾燥は高温(110〜120°C)で速やかにやること。目的は迅速に酸化酵素を破壊し、酸化発酵の動きを止めることにある。その際は茶葉を薄めに敷き、7〜8割程度乾燥したら乾燥機から取り出し、茶葉を冷ます。これは葉内の水分の分布を1度落ち着かせ、2度目の乾燥効率を高めるためである。
2度目は低温(90〜100°C)でじっくり行う。この時点で葉内の水分は既に大分少なくなっているので、温度を低めにし、香気を高めることができる。この時茶葉は1度目の乾燥時より少し厚めに敷くこと。茶葉の色が黒く潤ったような色合いになり、香りが上がってきたら完成。この時、茶葉の水分は6%前後になり、保管が可能となる。
その後茎取り等、状況に応じて分別の作業に入る。
1度目の乾燥後の冷ます作業ですが、その時に工場に専用の場所を作り、床に広げることがあります。その時の床の材質にも注意してください。
(✳︎)の、2度乾燥させる…ですが、その工程は「烘干&烘焙」「毛火&足火」など地域によって呼び方が違います。これは各地の方言を標準語読みし、現場で使用しているからなのですが、資料によって使用されている単語がまちまちなので、1度目、2度目…という記載にしました。
この基本理論は条索状の烏龍茶と同じです。
2度の乾燥を適切に出来るかどうかで、お茶の香気がガラッと変わります。改めて、こうして読み直してみると、中国の緑茶(炒青緑茶、釜炒り茶)も同じ道理であることがわかります。が…日本の釜炒り緑茶は、各工場で機械の設置の仕方が違い、原理原則から外れたお茶づくりをしてしまっている工場も少なくありません。生産者の口から出る「釜炒り茶は香りが良い」という言葉、私はやはり怪しいなと思います。実際、上質な中国緑茶と比べれば、日本の釜炒り茶は香気がイマイチです。
さて、なが〜いお話になりましたが如何でしたでしょうか?幾つかの資料を出し、それらの内容をまとめながら翻訳しました。
資料として使っていただけるとは思いますが、数字等はあくまでも目安であり、原葉や環境が違えばそんなものは簡単に変わります。固執されない方が無難でしょう。実際に作っている方は、自分の五感と第六感!?を駆使して、自身での感覚やノウハウを蓄積されることをお勧めします。
ブログに以前書いたように、私もここ数年、日本の茶生産者を台湾や中国の優秀な工場へ引率しますが、とにかく良質なお茶を作る現場を、1度はしっかり見ることです。(と言っても、優秀な工場はそう多くないことも確かです。)
そして…赴く時は大勢で行かないこと!自費で行くこと!人数が多くなれば、先方も細やかな対応は出来ませんし、どこかにお金を出してもらうような企画は臨機応変が出来ないので、突発的に勉強になる良いネタが現れても、身動きが取れません。
日本の国産紅茶の未来が生産者、流通関係者、ユーザー全てにとって明るいものであるよう、私も出来る限り協力させていただこうと思っています。