発酵室
④ 発酵について
以下「✳︎」マークは各書籍より抜粋し翻訳したものです。
✳︎発酵は、実際には揉捻が始まり葉の細胞が破壊されたその瞬間から始まると考えるべきである。よって葉温等を考慮すると発酵も揉捻の段階から環境への配慮が必要である。工場の気温は25°C前後、湿度も高め(90%以上)であるのが理想である。夏季〜秋季にかけては揉捻機の周囲にまめに水をまき、環境温度を下げつつ加湿すると良い。
✳︎発酵の工程で最も重要なポイントは、温度、湿度、通気の条件である。揉捻によって茶葉の細胞が破壊され、酸化酵素を含んだ成分が空気に触れて活性化すると酸化発酵が起こる。
そこで、発酵には豊富な酸素(通気)が必要となる。茶葉の発酵促進中は、葉温が上がる。その際葉温は通常、気温より2〜6°C高めになる。
✳︎通常の室内で気温や湿度の調節が難しい場合には発酵室を設ける。その空間は直射日光を避け、湿度を保つための蒸気が均一に巡回し、充分な酸素量を確保するため、充分な容積と通気に留意すること。壁や床はセメントが好ましい。床の四隅に水を排出させるための溝を作っておくと良い。
✳︎発酵時に気温が高くなりすぎると葉内の内含物の反応が過剰になり、出来上がった製品は味わいが薄くなったり、香りの発揚が弱かったり、外観に艶がなくなる。逆に気温が低過ぎると、発酵の時間を延長せざるを得なくなり、各種の化学反応が不均衡になりやすくなる。
✳︎カレイ等に茶葉を広げる時は、芽の大きさ等で厚みを決めるが、一般的には10〜20㎜の範囲内に置くこと。工場の温度が低い時は少し厚めに、高い時は薄めに。芽が細かい時は薄めに、大きめと時は厚めに。これらを念頭に各自茶葉を見ながら適宜調整すること。ふんわりと置き、途中1、2度上下を返し、茶葉を均等に空気に触れさせること。
一般的にはこの工程で紅茶の香り、味わい、水色等が決まる…と言われていますが、産地の現場の人達は、
「発酵は正常な萎凋、揉捻工程が出来てこそ可能な作業だ。」
と断言します。
また、熟練した作り手の中には
「紅茶の製造は8割は萎凋で決まる。」
と言い切る人がいます。
また、高度な技術を以ってしても、やはり原葉が良くなければどうしようもないと皆一様に話してくれました。これは緑茶も他のお茶も同じだと思います。
では紅茶にとって最高の原葉とはどのようなものなのでしょうか?
品種の選定、施肥(過剰な投与も良くなければ、無施肥も完璧ではありません。施肥の内容も重要で、有機であれば何でも良い訳ではないと思います。)…日本の紅茶はまだまだ改善の余地があると思います。