さて、この地域の紅茶の製造方法のお話です。
宜興紅茶の資料はなかなか良いものがないので、これとほぼ同じ作り方をしている越紅工夫紅茶(浙江省)など複数の資料も引用し翻訳。そして私が見聞きしてきたことも加筆をしていきたいと思います。
①摘採
ご存知の方が多いと思いますが、まだまだ手摘みが多いです。最近は可搬のも時折見られるようになってきました。今後は可搬を増やさざるを得ない時代がやってくるでしょう。
②萎凋
50年代までは晴天の日は日光萎凋や室内萎凋をメインにしていたようですが、こちらでは60年代から奨励され始まった萎凋槽を使用したものをご紹介します。
・萎凋槽の使用・操作において重要なのは
温度、風量、萎凋槽に敷き詰める原葉の大きさや厚さ、葉を返すタイミング、萎凋の時間などである。
・萎凋槽の風は一般的に35°C以内。春は加温するのが望ましい。(葉面が雨水や露で濡れている時は先に常温の風で葉の表面の水分を飛ばした後に加温。)
・萎凋槽に生葉を敷き詰める時は
「小さな柔らかい芽は薄く」「大きめの芽は厚く」が原則である。(日本茶の場合は後者のパターンが多いと思います。)
・生葉を萎凋槽に敷く時は、厚みを均一に、静かにふんわり置くこと。
・萎凋中は何度か上部の葉と下部の葉を返すこと。
・萎凋が完成すると、葉が萎縮し、柔らかくなり、茎が折れ難くなり、手で握ると一瞬塊になり、手を緩めると自然に解れる。葉面の光沢は消え、暗めの緑色。青味臭は消え、独特の爽やかな香りを感じることが出来る。
(注意)
時々日本で緑茶の生葉コンテナの周囲に囲いをし、それを萎凋槽として代用する生産者を目にしますが、そのままでは良質な紅茶はできません。
(続く)