憲法上の権利である「人権」は法人も含まれるか否か判示した裁判です。
昭和35年当時八幡製鉄(現日本製鉄)の株主Xは、同社が自由民主党に政治献金として寄付をした350万円につき、取締役Y他に賠償責任を追及する代表訴訟を提起した事件である。
1審では、この請求を認めて原告側の勝訴。
控訴審では、1審をくつがえされX側の敗訴。
そのためX側が上告をした。
争点は、①会社に許される社会的活動か否か。②政党の憲法上の地位は如何。③政治献金は許される社会的活動の範囲内か否か。④会社は政治行為をなす自由を有するのか。
判旨
①「会社の当然になしうる行為である。」
②「憲法は、政党の存在を当然に予定しているものというべきであり、政党は議会制民主主義を支える不可欠の要素なのである。」
③「会社による政治献金の寄付は、客観的、抽象的に観察して、会社の社会的役割を果たすためになされたものと認められる限りにおいては、会社の定款所定の目的の範囲内の行為であるとするに妨げないのである。」
そして④で、
「憲法第3章に定める国民の権利および義務の各条項は、性質上可能なかぎり、自然人たる国民と同様、国や政党の特定の政策を支持、推進しまたは反対するなどの政治的行為をなす自由を有するのである。」
上記のように判示し、原告側の上告を棄却し、原告の敗訴が確定した。(最大判昭和45年6月24日民集24巻6号625頁)
この裁判をきっかけとして着々と政治資金規正法等が整備されていくのである。
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