ダッフィー船長航海記 / Captain Duffy

2010.5.2 はじめました。
ボクは、おにいさんと、色々なところにお出かけしています。
コメントもよろしくね♪

スエズ運河でコンテナ船が座礁

2021-03-29 12:00:17 | お船
台湾のコンテナ船運航会社 長英海運 が運行するコンテナ船が、スエズ運河で座礁し、海運の動脈に支障が出ています。

当初の報道では「スエズ運河に長さ400mの超巨大コンテナ船が垂直に座礁 停電による横流れか」などと報じられましたが。。。

垂直とは、水平にたいして言うもので、垂直に座礁とは、船尾を下にして船体が立ち上がる図で ありえませんw
まあ、言いたいところは、航路に対して、直角にふさぐ形を言いたかったんでしょうけど。。。
が、それも、全長400mの船体が、航路幅300mを、直角にふさぐことは、アニメや映画でもなきゃあ、ありえません。
実際には、航路に対して斜めになって、船首と船尾が航路の両岸につっかえて座礁、ということです。


スエズ運河は、閘門方式のパナマ運河とは異なり、全航路直通の平面ですが、陸に水路を設けるため、一部護岸となっているところもあります。
スエズ運河の構造の詳細はわかりませんが。
開削された水路も、航路幅全部が深く掘られているわけではなく、中央部分が深く掘られ、両岸付近がそれほど深く掘られていない構造だと、船首船尾は、座礁ということになってしまいます。


「停電による横流れ」というのは、エンジントラブルや電源系統の異常によって、推進力が失われ、あるいは舵が効かなくなったことによって、操船に支障が発生し、風邪や水流によって船体が流され、船体が航路に対して傾き、船首船尾が両岸に接触して停止したことが考えられます。

運河庁は当初、砂嵐による視界不良と強風が原因との見方を示していましたが。
もともとこの辺りは、砂漠ですから、砂嵐による視界不良も、強風も、今初めてということはありませんから、それだけが理由ということは考えられません。
「強風」により船体が流され、「砂嵐による視界不良」で目測を誤ったとしても、推進力と操舵が確保できていれば、まっすぐ進めますから、何らかのトラブルか、ミスが重ならないと、事故にはなりません。


今回事故が起きたのは、南側の入り口の航路の途中です。

スエズ運河の交通量は、毎日50隻以上ありますから、閉塞日数が増えるほど、その倍数で滞留してゆきます。
    


その結果、「世界的なコンテナ不足」も報じられていますが。。。
輸出したい荷物を入れるコンテナが足りなくなると言いたいのかもしれませんが。。。
そもそも、コンテナ船の運航が、スエズ運河で詰まっているわけで。。。
コンテナに詰め込めても、港のヤードに積まれるだけで、、船が巡って来なければ積めませんから、コンテナ不足は大した問題ではありません。
そりゃあ、少しでも早い方がと言う順番の問題にはなるんでしょうけど。


世界的な物流停滞を引き起こした賠償責任が取りざたされていますが。。。
一義的には、運行責任が問われます。
まずは船長。そして運行会社。
正栄汽船の記者会見で、離礁作業にかかる費用などは同社が負担するとし、今後保険会社と相談する方針を示したようですが。
契約条件、保険責任と範囲、さまざまな要素がありますから、予断は許されません。

:現地当局は、船首船尾の土砂を取り除き、満潮に合わせて離礁を試みていますが難航。
船体重量を減らすためにバラストを排水し、コンテナを下すことも検討しているようですが。。。
大型のクレーン船を用意しなければならず。。。

果たして本日、船尾側の離礁に成功した模様です。




エヴァー・ギブン(Ever Given)は、今治造船丸亀事業所で建造され、今治造船の子会社である正栄汽船が所有し、パナマ船籍で、台湾のコンテナ輸送・海運会社である台湾長榮海運(エバーグリーン・マリン/EVERGREEN)が運航している。
積載能力20,000TEU で、40フィートコンテナなら、1万個積載できる。
総トン数220,940トン、載貨重量199,629トンであり、一部報道の「重さ22万トン」というのは、船舶のサイズを算定する容積たる総トン数を、船の重さと勘違いしたのでしょう。

台湾長榮海運(エバーグリーン・マリン/EVERGREEN)
デンマークのMAERSK(市場シェア15.3%)をトップとする、2018年6月におけるTEU容量順のコンテナ海運会社上位10社のうち、7番目の会社です(市場シェア4.4%)。
ちなみに、日本の大手海運会社のコンテナ部門を統合して設立された、オーシャン・ネットワーク・エクスプレスホールディングス(ONE) は、6位です(市場シェア6.1%)。
そしてまた、イギリスも、韓国も、コンテナ海運会社上位10社には入っていません。


長榮海運(エバーグリーン・マリン/EVERGREEN)運航のコンテナ船ですが、座礁した船とは異なります。


正栄汽船株式会社(しょうえいきせん)は、愛媛県今治市に本社を置く海運会社で今治造船のグループ企業
船舶の持ち株会社で、今治造船で建造した船を所有し、各運航会社に用船として提供する形態を取っている。
造船業界低迷時に行われたストックボートと同様な流れでもある。
通常、船舶は、海運会社等の発注で建造されますが。。
海運不況等船舶需要が低迷すると、当然造船不況となります。
そこで、造船所では、建造した船をストックボートとして、海運需要が高まった時に売却するという方式が取られたりします。
その昔、造船不況時に、川崎造船では船舶建造を継続してストックボートとしてキープし、それを、川崎汽船を設立して、海運に進出したという例もあります。
今治造船の場合は、建造を効率よく進めるために標準設計の船舶を建造し、それを各社に売り込み用船として運用する形を取っています。




にほんブログ村

人気ブログランキングへ


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ジェラくんの コースターが... | トップ | 陸上自衛隊 第14旅団のコ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

お船」カテゴリの最新記事