買い出し前の冷凍庫

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S5ランクマ霊統一紹介 ~Sマスターランク初到達記念~

2020-05-11 15:51:42 | ポケモン(対戦)
こんばんはです。薄氷です。

……なんて珍しく(初かも)普通の挨拶から始まる今回は、いつもと違いちゃんとブログらしいブログです。今まで創作小話ばっかりでしたからねー。



今回のテーマはなんとランクバトルです。
私は元々「対戦自体は好きだけれど戦績的に奮わないな方」という、まあ歯痒い霊ポケトレーナーなのです。過去作でもレート1600に一瞬乗ったのが最高、といった感じです。

で、ですね。
そんな私なのですが、この度(S5)、遂に念願のマスターランクへ到達することが出来たのです!(↓)


いや~長かった!

で、そんな嬉しさ有頂天な私、折角だしと、初の「ランクバトル・霊ポケパーティ紹介」などを書いてみたく思った訳です。

と言っても、(私の周りでは、)もうマスターランク到達よりも「○○位到達!」とか「○○桁到達!」な方が多い気がするのが現実です。
ですので今回は、最早需要云々ではなく、「うちの子達の戦いの記録」として残したいと思います。

そしてあわよくば、私と同様「対戦好きだけど苦手」な方や、「霊統一やってみたいけどどんな子を育てるべきか?」などの悩みをお持ちの方へ、少しばかりのお力添えが出来ればな、と思ったりもしてます。


前置きが長くなりました。
それではやって行きましょう。宜しければ、少しだけお時間をいただければ私が幸せです。


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・ここから、「ダイマックス」は「DM」と表記します。
・「体力」や「攻撃」等のステータスは「HABCDS」の簡略表記を用います。


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今回は最初(ランク0)よりほぼメンバーと技を固定してマスターまで駆け抜けました。参加期間としては、4月中旬~下旬頃より、2日に4戦ずつくらいやりながら1.5週間くらいかな。
戦績は45戦31勝14敗でした。

そんな感じで一緒に駆け抜けてくれた、マスターランク到達時のメンバーはこの子達です(スーパーボール級~マスター到達まで)。


ただし、スーパーボール級時点では1人のみ、ユキメノコさんの代わりにオーロットさんが入ってました(ランク0~スーパーボール級半ばまで)。

要するに、初期メンバーのオーロットさんが途中メノコさんにバトンタッチした形ですね。

ところがですね……この2人に関しては、結局殆ど対戦に出してあげられませんでした。その点のみ非常に悔しいです。トレーナースキルの不足を感じる今日この頃です。
他の子に関しては技、持ち物含めて一から固定メンバーでした。


因みに選出率ですが、だいたい以下のような形になりました。

①ニダンギル
②デスバーン
③ミミッキュ
③シャンデラ
⑤ポットデス
⑥ユキメノコ
(⑥オーロット)

予想外にニダンギルくんが最多選出だったんですね。わりと驚きでした。次いでデスバーンくんが2位、ミミッキュさんとシャンデラさんが3位タイ、ポットデスくんが5位、交代前のオーロットさんと交代後のユキメノコさんがどちらも選出率最下位という結果でした。

初手率はニダンギルさん、デスバーンくんが同率トップ、次いでポットデスくん、その後ミミッキュさん、シャンデラさん、と続きます。
選出では攻撃型と特攻型とがなるべく重複しないよう努めてました。組み合わせはあまり意識していませんでしたし、殊更一緒の選出が多かった組も無かったかと思います。


それではメンバー紹介へ移りましょう。


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○ミミッキュ(NN ギウン) ♂


1人目は、頼れる臨時の纏め役、ミミッキュ(疑雲)くんです。NNは、登場当初ピカチュウの進化系列ではないか?と「疑」われる存在であったことから"疑いのかかっているさま"を意味する「疑雲」と名付けました。

【特性】
ばけのかわ

【性格】
意地っ張り

【努力値】
AS252 H6

【持ち物】
命の珠

【技】
ドレインパンチ
影打ち
じゃれつく
剣の舞

【役割】
・基本的には悪、龍タイプ対策要因
・特にお相手のパーティにミミッキュ、ドラパルト、ガオガエン、シャンデラが居た際は優先的に選出
・剣の舞によるゴリ押し要因

【その他】
ということで、前作サン・ムーンにて登場し、対戦アニメ現実と多くの舞台で多大な影響を与えた、ご存知ミミッキュさんです。
霊統一としては待望のフェアリータイプであり、技範囲も優秀、これまた待望の「(ほぼ)確実にどんな技でも一度耐える」特性持ちの子です。特性『ばけのかわ』が弱体化(「ポキッ」したとき1/8体力が減る)を受け、技『ミミッキュZ』『まとわりつく』『いばる』『どくどく』等を失った彼ですが、そんなことは関係無いねと言わんばかりに滅茶苦茶強かったです。敵味方問わず。

とはいえ、今回のパーティにおいての選出率的には実は3位タイくらいな割合でした。
今回は珠ミミッキュというよく見る型で戦ってもらい上の割合となりましたが、技「ウッドハンマー」があればもう少し活躍させられたかな?と思ったりもしました。しかし、上記の4技がどれもよく仕事出来たので、結局この辺りになったのかなと。

立ち回りとしては大抵後続に控えてもらい、他のメンバーがやられた後出陣してもらう形。基本的に受け出しした際の勝率はとっても低かったです。細かいことかもしれませんが、やはりこの特性は「確実に一度受けられる」ことを意識するのではなく、「確実に一度行動出来る」ことを意識するのが大切なのだと実感しました。比べる対象にも寄るとは思いますが、如何せん火力も素早さも種族値が低めですので……。防御方面にもう少し振ったりしていれば、また変わったのかもしれません。

その代わり、『ばけのかわ』を維持した状態でターンを迎えることさえ出来れば、考えている以上の活躍をしてくれました。
基本的には『ばけのかわ』の1ターン目で剣の舞、2ターン目以降で攻撃、というテンプレのような動きをしました。
例外はvsミミッキュです。舞ってる暇がありません。加えてこの子は影爪やダイブが無いため、この子単体で万全なミミッキュには勝てないと考えた方が良いかもです。その際の役割としては"①皮剥がし"そして"②影打ちダメージの蓄積"となります。
もう少し耐久調整をしたり、剣の舞をビルドアップに変えてみたりすると、また違った結果が生まれるのかもしれないですね。今後試してみようと思います。



○ポットデス(NN オボロ)


続きまして、マイペースな仕事霊のポットデス(朧)くんです。NNは紅茶の種類である「アールグレイ」と、灰色でベール状の、ぼんやりとした雲である「朧雲」より取りました。

【特性】
くだけるよろい

【性格】
控え目

【努力値】
CS252 D6

【持ち物】
気合いの襷

【技】
アシストパワー
からをやぶる
ふいうち
ギガドレイン

【役割】
・基本的には水タイプや先制技の無いポケモン対策
・お相手さんのパーティが「先制技が(ノーマル技以外)無さそう」「悪タイプが居ない(少ない)」が当てはまる場合必ず選出。
・お相手さんのパーティに水タイプが多い場合、またドヒドイデが居る場合、優先的に選出

【その他】
二人目は期待の新霊ポットデスくん。
前々からよく言われていた「からをやぶる→アシストパワー」の威力は使っていてとても気持ちの良いもので、3タテを決めたこともありました。
反面、悪や鋼タイプ(とりわけガオガエンやキリキザン辺り)や天候特性を持つ子(バンギラス、Aキュウコン等)と鉢合わせした際にはほぼ何も出来ずに交代、それか不意打ちで襷を削るくらいしか出来ませんでした。どうして君その見た目で「熱湯」覚えないの?

理由としては、耐久が不足気味(特にB方面)なため、安定して「からをやぶる」ために襷を持たせているのですが、特性『すなおこし』や事前に撒かれた「ステルスロック」、先制技持ちのポケモンに対してはそれが完全に封じられるためです。
また彼の技範囲ですが、彼がこの型で実用的なものとして使えるものは"エスパー(アシストパワー)""ゴースト(シャドーボール)""悪(あくのはどう)""草(ギガドレイン)""ノーマル(はかいこうせん)"くらいなのです。

ですので、案外本来想定していた戦い方(殻破アシパ全抜き)は出来ませんでした。苦手とする方々を落とした後でこの子を降臨させる、とかすれば無双は十分出来るのですが、一体でも苦手な子が残ってしまえば途端に勝ちを拾えなくなります。少なくともバンギラスやミミッキュを残してしまうとその時点で負け濃厚となってしまうかと。

そのためこの子の個人的な感想としては、ハマれば比類なき強さを見せるものの、相性をとことん選ぶクセの強いポケモン、というように感じました。
相手の襷に対しては事前のステロ、天候やトリルは枯らしきる、悪や先制技持ちを残さない、辺りに気を付けていれば、正しくこの子の恩恵を受けられるのではないでしょうか。

蛇足ですが、今回以前に「殻破バトン型」も試してみたのですが、こちらはほとんど決まりませんでした。私の力不足は前提としてあるのですが、理由としては「①バトン後相手の攻撃を耐えられる霊があまり居なかった」「②BDが下がる分(砕ける鎧発動下なら尚更)先制技に弱すぎる」辺りかなと。こちらをやる際には、また違った考察が必要になるかと思われます。今後考えてみようと思ってます。



○シャンデラ(NN クモビ) ♀


続きまして、5世代で登場した文字通り火力のお化け、シャンデラ(雲火)さんです。本当この子カッコ可愛い。NNは、人魂の別称「蜘蛛火」と、夏の雲を意味する「火雲」から。

【特性】
すりぬけ

【性格】
臆病

【努力値】
CS252 H6

【持ち物】
カシブの実(霊弱点技半減実)

【技】
おにび
かえんほうしゃ
クリアスモッグ
シャドーボール

【耐久(半減実込み)】
○ダイマックス無し
・vsドラパルト
臆病A252シャドーダイブ
78.5~93.3%(確定2発)

控え目C252ダイホロウ(シャドーボール)
82.2~97.8%(確定2発)

・vsミミッキュ@珠
意地A252影爪
54.1~64.4%(確定2発)

○ダイマックス状態
・vsドラパルト@珠
意地A252ダイホロウ(シャドーダイブ)
65.6~77.0%(確定2発)

・vsミミッキュ@珠
臆病A252剣舞(2段階上昇)ダイホロウ(影爪)
84.4~99.3%(確定2発)


【役割】
・鋼、霊(ドラパルト、ミミッキュ)対策
・特性『すりぬけ』により壁張り要因への対策
・「鬼火」による物理型への牽制

【その他】
ということで、みんな大好きシャンデラさんです。
今作ではアーマーガアやナットレイ等の鋼物理受けなど、彼女が居なければ突破が困難な相手がわりと多く、選出機会は多かったです。vs鋼はシンプルに燃やしました。

またvs霊に関して。今回よく見た霊はドラパルト、ミミッキュ、シャンデラの3種、次点でギルガルド、ポットデス、デスバーン辺りでした。
ドラパルトに関しては、大抵の場合素で「ゴーストダイブ」かDMして「ダイホロウ」で押してきました。その場合、カシブ持ちのシャンデラさんならどちらも確定2発、急所に当たりさえしなければ返しのシャドーボールで手痛い一撃を食らわせられます。
お相手さんの裏次第では、この対面になったらこちらがDMを切るのもアリかと。

vs珠陽気ミミッキュに関しては、まず「剣舞影爪」と「影爪連打」でない限りは乱数勝負以上には持ち込めます。「剣舞影打ち」なら確実に倒せますし、「影爪影打ち」なら運が良ければ倒せます。
珠持ちで無ければ安定して倒せます。
しかし、私は専ら後続(ニダンギル、デスバーン)へ繋ぐため鬼火を入れ、あわよくば殴ることにしてました。鬼火を外さない限りはこっちの方が安定かな、とも思います。上記の打ち勝てるか否かはラストの対面になってしまった際にお使いください。

vsシャンデラに関しては、相手の性格が「控え目」なら勝てます。「臆病」なら同速対決に勝てるよう祈ってください。
環境にどの特性のシャンデラさんが多いのかは正直わかりませんが、私の戦績的には雲火さんvsシャンデラで負けは無かったです。控え目が多いのか、雲火さんが頑張ってくれたのか……まあ後者で考えて誉めちぎりました。

と、上の動きが9割くらいでした。その他は、例えば「相手が物理受けの子が多そう」とかいうときに連れていきました。火力に補正がかかっていなくとも、そこはシャンデラさんです。雑に良い仕事をしてくれました。案外鬼火が刺さる相手が多かったかな、との印象です。



○ユキメノコ(NN セツ) ♀


さて四人目は、ユキメノコの雪(セツ)さんです。NNの由来は雪雲です。「ユキ」ではなく「セツ」です。親しみを込めて「雪(セッ)ちゃん」とお呼びください。やっぱり可愛いですね。

【特性】
のろわれボディ

【性格】
やんちゃ

【努力値】
AS252 H6

【持ち物】
王者の印

【技】
みがわり
でんじは
つららばり
こおりのつぶて

【役割】
・龍対策
・機転作り
・所謂「まひるみがわり」

【その他】
さて、ユキメノコさんの雪さんです。
なんと今回は物理型メノコさんという、(個人的には)ありそうで無かった型で育てました。
元々の構想としては、初手で先陣を切ってもらい、電磁波や礫、呪われボディで上手く相手を妨害し、次の子へ繋ぐというものでした。またミミッキュ用に「つららばり」を採用したり、DMされた時用に「みがわり」を覚えさせたり。

持ち物が「おうじゃのしるし」である理由は、同じくパーティに居るポットデスの朧くんと襷が被り悩んだ挙げ句「まひるみの可能性……!」となったためです。またポットデスくんが今作初の子であることから、「彼が万全な働きをする」ことを優先した結果でもあります。本来なら襷を持たせたかったのですが……。

試験的に潜ったフリーでは、想定通り中々の活躍をしてもらいました。

……フリーでは。

いざ本番、ランクマッチへ潜ったところ、全てが上手くいきませんでした。これはひとえに私のトレーナースキルが不足していたためです。
当初予想していた「麻痺を撒いて機転を作る」に関しては、何故か初手メノコさんに合わせたドラパルトと鉢合わせたり、「電磁波」が効かなかったり氷技の通りもそこそこだったりするドリュウズやギルガルドと対面したり、そもそも素早さをあまり気にしない子(カビゴンやバンギラス等)を投げられたりと、明らかに相性が悪かったり、読み負けたりしてしまいました。
vsドラパルトに関しては礫で襷の可能性を潰す、という動きが可能かとも考えましたが、世に蔓延している「弱保ドラパルト」を恐れたため対面で礫が打てず、では、と相手の「ゴーストダイブ」に合わせ「みがわり」を立てようとすれば、狙ったかのように「シャドーボール」や初手DMからの「ダイホロウ」を打たれたりと、散々な戦績となってしまいました。雪さん申し訳ない……。
vsドリュウズとなった際には正直礫くらいしか打てませんでした。交代しようにもその時は裏に攻撃を受け出せる形でカバー出来る子を選出していないことが多く、頼りの呪われボディも発動せず……。
またvs鈍足アタッカーになってしまった際、殊カビゴン、ギルガルドと当たった際には、本当に沈黙してしまいました。

反省点として、まず選出が問題です。私のトレーナースキルが……
ただ、それについて掘り下げたところ、相手のパーティにドラパルト、ドリュウズ、カビゴン、バンギラスらが「居ないことがありません」でした。そもそも上手く動ける可能性が少なかったのですね。

続いて、技の選択が間違っていたこと。個人的には、これが最たる問題点だったと思っています。
まず「でんじは」を「おにび」にすべきでした。そうすれば、少なくとも補助方面で予定していたことが出来たのかなと思っています。
また想定していた"vsミミッキュ"という形が一切無かったことから、「つららばり」ではなく、威力重視かつ怯みの可能性が増す「つららおとし」を選択すべきでした。
「みがわり」と「こおりのつぶて」に関しては問題なかったと考えています。理由としては、

・vsドラパルト対面で「ゴーストダイブ」読みの「みがわり」を張ることで、ドラパルトを落とせる可能性が残ること。
※襷警戒の「ドラゴンアロー」が飛んでくるのでは、と思っていましたが、実際には打たれたことはありませんでした。私は。
・「礫」なら襷や「ばけのかわ」を処理出来る他、「つららおとし」で足りなかった火力を補えること。また物理型なので、相手の計算以上のダメージを先制で与えられること。

……この二点からです。
今思うと、もう少し上手くやれた点が山ほど見つかりました。悔しいことこの上ないです。

ユキメノコさん、一般的なものはわかりませんが、個人的にはまだまだ活躍出来るハズの子なのではないか、というのが私の意見です。技「めざましビンタ」が失われたことが本っっっっ当にツラい……。追加で来る(と願っている)教え技に期待ですね。



○ニダンギル(NN イズモ) ♀


続きまして、今回の功労賞かつ過労枠だったニダンギルくんです。NNはかの有名な"草剪の剣"が生まれた("ヤマタノオロチ"が討伐された)場所と名高い島根県の「出雲」より。こう見えて(?)女の子です。

【特性】
ノーガード

【性格】
意地っ張り

【努力値】
H252 A216 D42

【持ち物】
進化の輝石

【技】
アイアンヘッド
インファイト
つるぎのまい
かげうち

【役割】
・誰を出したら良いかよくわからないときとりあえず。
・基本的にはvs悪、ノーマル、妖、霊、氷、岩対策。
・トリルアタッカー
・ゴリ押し要員。

【その他】
5番目に紹介するのは、長らく世間を騒がせているギルガルドさん……の進化前、ニダンギルさん。
活躍してもらった感想を物凄く端的に言うと、雑に投げて予想以上の仕事をしてくれる頼れる2振りでした。

相手のバンギラス、ドリュウズ、ラプラス、ギルガルド、ミミッキュ読みで初手に出したり、他のメンバーの取りこぼしをケアするために控えに置いたりと、幅広く活躍することが出来ました。
具体的には、相手にミミッキュやギルガルド、ポットデスが居た場合初手で、ドリュウズやラプラス、カビゴン、バンギラス等も出てきそうな場合には後続として選択していました。
立ち回りとしては、vsミミッキュ、ギルガルドは即ダイマックスを切ります。ミミッキュへは「ばけのかわ」があったとしても、ダイスチルで殴ることで剣舞したところで落とされなく(……というより、必要以上の体力の消耗を減らされることがなく)なります。ギルガルドは基本的にこちらが後攻で動くので、ダイホロウで殴ります。
vsバンギラスについては、今回の私の対戦では、初手「でんじは」や「りゅうのまい」をしてくる子が多かったです。恐らく、ニダンギルの舞っていない「アイアンヘッド」であればバンギラスを落としきれず、弱点保険発動込みの機転になると考えたのでしょう。大半のバンギラスが「インファイト」で倒されていきました。

剣の舞に関して、はじめは「悠長に舞ってる暇あるのかな?」と不安なところもありました。結果としては、その秀でた物理耐久から、十分に舞う時間はありました。また例え舞わなくとも、A種族値110から繰り出されるタイプ一致威力80の「アイアンヘッド」やタイプ不一致ながら技威力が120もある「インファイト」の威力は、火力インフレの激しいこの頃においても凄まじかったと感じてます。


また、あまり知られていない様子だったのですが、特性「ノーガード」について。
この特性、ご存知の通り「お互いの技が必中になる」という特性です。

ですので、例え相手が「ゴーストダイブ」「そらをとぶ」「とびはねる」「ダイビング」「あなをほる」といった技の効果で場から姿を消していても、こちらの攻撃は当たるのです。

ですので、vsミミッキュやvsドラパルト(ゴーストダイブ使用者)の形となり、かつ相手がダイマックスを切らなかった場合、十中八九打ち勝つことが出来ました。相手がハマってくれるととても気持ち良かったです。

皆さまも是非一度、お試しください。



○デスバーン(NN ミナモト) ♂


マスター到達メンバーラストはデスバーンの源(ミナモト)くんです。NNは「絵雲」の別名がある「源氏雲」から。あの、平安時代の絵とかテレビの日本昔話とか浮世絵とかによく見られるあの描かれた雲のことですね。

【特性】
さまようたましい

【性格】
呑気

【努力値】
H250 B120 D140

【持ち物】
弱点保険

【技】
ストーンエッジ
トリックルーム
ボディプレス
じしん

【役割】
・基本的にはvs岩、毒、鋼、飛行、虫、炎、電気(、悪)対策
・トリル要員
・弱保トリルダイマックスによる全抜き
・物理攻撃型への受け
・特性潰し

【その他】
今作で登場したデスカーンさんの亜種とも言える、発見難易度最高位を誇る進化方法をもつことで有名なデスバーンくんです。ニダンギルさんに次ぐ過労枠となってしまいました。ゴメンね源くん。

公開された当初、待望の霊岩複合タイプだと誰しも思ったのではないでしょうか。少なくとも私はそうでした。

種族値はデスカーンさんに比べAとCを入れ換えた数値を持っています。耐久力は言わずもがなですね。

ただ、育成論のサイトなんかでも、地面タイプが追加され弱点が増えたことで「優秀な耐久力が脆くなってしまってしまった、どうしたら良いだろうか」と考えた方も結構居たようです。
今回はそこに「弱点保険」を持たせたことで、とても優秀な弱保アタッカーとなったと思います。過去のギルガルド程では無いかもしれませんが、それでもかなりのハマり役なのではないかと思っています。

選出としては、今回あまり「トリックルーム」のことは考えないようにしました。他のメンバーがニダンギルさん以外総じて足早い子達だったこともありますが、主な理由としてはお相手さんに一定数足の遅い方が居たためです。また"DM枯らし"を想定した型が少なくない現環境において、ついで感覚でトリル枯らしをされてしまうかな、とも考えたためです。

このパーティの中で、唯一といって良い「受け出しからドリュウズを狩れる」ポケモンでもあります。ですので、不慮の事故でポットデスくんやメノコさんが鋼勢と対面してしまった際の貴重な引き先としても活躍しました。後続に居てくれた際の安心感は半端無かったです。地割れはやめてください

またこちらはパーティ作成段階の問題なのですが、今回のパーティに岩タイプの技を持っている子がこの子だけだったのです。加えて飛行タイプの技は誰も持っていません。そのためvs虫には必要な子となりました。
これについては、オニシズクモとグソクムシャが非常にツラかったです。後者はまだ何とかなる(DM→ダイロック)のですが、前者がとことんツラくて……詳細は後述します。

お相手さんが、役割対象の多いパーティの場合、ニダンギルさんと相談しながら初手もしくは後続として選出しました。また相手が極端に素早い方々だったり、物理に寄っているけれど炎や地面が多い、とかいうパーティに対しては積極的に選出しました。

技に関しては、弱保が発動していない限り、基本的にどの技も威力はそこそこです。技自体の威力は高いものが多いので、それに依存している部分が若干あるかと。
ただ、この子が戦ったポケモンは、どれも地面、岩、格闘でほぼほぼ弱点をつくことが出来た気がしています。DMもあり、火力不足という問題は一切感じませんでした。

この子で苦戦した相手として、ラプラスとオニシズクモが挙げられます。
ラプラスは大抵キョダイ化します。「キョダイセンリツ」も「ダイストリーム」も一度は受け止められるのですが、前者は壁を張られ押しきられ、後者は雨バフで超火力を出してきます。例え体力MAXで後出ししても、流石に雨+「ストリーム」は耐えられません。
またオニシズクモは、特性『すいほう』も相まって、"火力アップの持ち物を持たない意地シズクモのアクアブレイク"以上は耐えられません。またそれであっても、こちらの体力が削れた状態で対面してしまった場合にも、なすすべなくやられてしまいました。

特性『いかく』でサイクルしてきた相手にも黒星をつけられました。ニダンギルさんやミミッキュさんと違い、火力バフがダイナックルしかないためですね。弱点は付いているし攻撃も十分に耐えられるのにやられるという、何とも歯痒い試合がままありました。

纏めると、振り対面以外はどの場面でも柔軟に対応してくれる、後続に居てくれたら滅茶苦茶安心出来る子、というポケモンでした。



○オーロット(NN クモギリ) ♀


ラストは、途中でメノコさんと入れ替わってもらったオーロットの雲切さんを紹介します。NNはラン科の多年草「クモキリ草」から。

【特性】
しゅうかく

【性格】
勇敢

【努力値】
HA252 D6

【持ち物】
オボンの実

【技】
シャドークロー
ウッドホーン
じしん
トリックルーム

【役割】
・トリルアタッカー
・vs水、電気、地面、岩を想定

【その他】
5世代で先行公開もされた、森の守護者ことオーロットさんです。
今回はトリルアタッカー型として活躍してもらうつもりでしたが……


端的に言えば、ほとんど上手く行きませんでした。雲切さんごめん……
最大の反省点として、相手からの火力が想定を遥かに越えていたことが挙げられます。
過去、oras時代にも一度、少し違ったタイプの「トリルオーロット」と共に戦ったことがあったのですが、耐久方面をその頃の意識のまま調整してしまいました。
結果、雲切さんが何か動く前に一気にやられることが多かったです。火力インフレおっかない……
耐久調整は勿論ですが、持ち物に関しても「オボンの実」ではなく抜群技を半減させる木の実を持たせてあげるべきだったと思っています。

また技に関してですが、こちらも問題がありました。
「ウッドホーン」は純粋な火力不足で、「ウッドハンマー」であれば落とせる相手も耐えられてしまう、ということがままありました。
「シャドークロー」に関しては、結局どうしても火力不足が否めませんでした。加えて現環境で見掛ける霊といえば、高すぎる素早さと火力を持つドラパルト、必ず一度攻撃を耐えるミミッキュ、火力お化けシャンデラ等、この子が霊を相手するのは、どうしても厳しかったです。
それなら、vs虫特化の「いわなだれ」やダイマックスで火力を上げられる「ドレインパンチ」、鈍足を補える「ふいうち」等を覚えさせた方が絶対に良かったと、今では思います。

選出段階にも問題がありました。簡単に言えば、他のメンバーと役割が綺麗に被ってしまっていました。
更に、これは私自身の問題なのですが、「絶対雲切さんが刺さる試合」に彼女を連れていけず、「雲切さんは絶対苦手だろう」という相手に限り彼女を連れていってしまいました。これではいかに彼女が優秀であろうと、結果が奮わなかったのも無理ありません。

これらを反省し、次回は必ず輝かせてあげたいです。



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以上が今回頑張ってくれた子達でした。みんなよく頑張ってくれまして……結果として、とても楽しい時間となりました。



最後に今回振り替えってみて改善した方が良かった点、なんとなくこうしたかった点、足りなかったと感じた点等を、最後に箇条書きにしてみます。

【良かったこと】
・うちの子達でマスターランクへ到達し、彼らの実力を示せた(←最重要)
・環境の上位で活躍している子達の対策はある程度しっかり出来た
・引き際や攻め時等を実感出来た
・トリル欲を上手く制御出来た

【改善点】
・vs水の対抗策が少なかった
・特に水ロトム、ラプラス、オニシズクモへの対抗策が少なすぎた
・飛行技を持つ子が居なく、岩技と地面技、草技、エスパー技を持つ子がそれぞれ一人ずつしか居なかった
・技選択、調整の不足
・私のトレーナースキル


……書きすぎるのでこの辺りで。
今回の反省を踏まえ、今度は全員を活躍させられるよう精進します。



以上で今回の記事は終了となります。
初ランクマ記事ということでしたが、如何だったでしょうか。何かしら質問等がありましたら、コメント欄にでもお願いします。

この記事が皆さまに少しでも興味深いと思っていただければ、霊達の良さをお伝え出来ていれば、またこれからタイプ統一をしようと考えている方、タイプ統一で悩んでいる方の何らかの力になれれば幸いです。

それでは、改めまして、長文を読んでいただき、ありがとうございました。

それでは~。

ある山道で。(怪談風……と言えるのか……?)

2019-09-16 23:10:58 | 霊ポケ妄想(お話風)
 ある山道で、不思議な形をした木が生えているのを見つけた。
 とあるスジから俺が事前に仕入れた情報に寄ると、珍しいポケモンと、珍しい木の実がある森がこの近くにあるらしい。それも、今まで誰一人として見付けたことのないモノ。正真正銘"幻のお宝"だ。
 そしてその森の入り口には、二本と無いような、世にも不気味な木が生えているという。
 なんとも胸が高鳴る話じゃあないか。何せ、その幻への道標を、俺は初めて見付けたのだから。

 「やったぞ……間違いない……!俺が初めてだ……俺の手柄だ!コレがあれば、幹部昇進も夢じゃない……いや!それ以上の栄誉が、この俺に!」

 クフ……ハハハハ!……おっと。いかん、いかん。先走るのは失敗のもとだ。クールに、謙虚に、だ。


 さて、ここからどう進むか、だが……それにしても、何だ、あの木は。どういう育ち方をすれば『ああ』なるのか……中程の球体といい、二股の幹といい、人の形に見え……無くもない。不気味な木だ……

 ……ん?何だ、何か挟まっている。
 これは……メモ……?四枚あるな。辛うじてだが、読めそうだ。はて。

 

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─ガサッ……ザクッ……ガサッ……─

 太陽が沈みゆく中、落ち葉を踏み締める音に、思いを馳せる。

 結局、そうか、もう夏も終わりか……。



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─ガサッ……ガサッ……ザクッ……─

 静かな春の木漏れ日に包まれながら、草木を掻き分け道を作る。今年は良い木の実が成りそうだ。

 みんな、どうか元気に育ってほしい。



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─サクッ……サクッ……ズモッ……─

 息すら凍る、白銀の世界。見る分には悪くないのだが、やはり私には、厳しい季節だ。

 溜めるんだ、力と体力を、この冬に。



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─ザクッ……パキッ……ザクッ……─

 二の足を踏んでいる暇はない。何せ今年は、絶好の気候なのだから。

 遂に来た、大好きな、暑い暑いこの季節が。



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 ……何だ?コレは。日記……なのか?
 ……フム。どうやらこのメモの主は、農家か何かを生業としているようだな。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

前半

中半

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






 ……待てよ?この『冬』のメモ……
 ……なるほど。確かに、農家にとって冬は力を溜める時期、とも言えるのかもしれない。
 だが……もしかして、これは……俺は、俺はもしかして、とんでもないモノを見付けたのかもしれない。コイツは、このメモの主は、農家じゃない!
 なるほど、『厳しい季節』と言っているのは、確かに『農家』だろう。
 だが……『溜める』と言っているのだ。このメモの主は。しかし……普通、『力と体力』を『溜める』のは、『農家』ではなく『植物』だろう。

 もしや……私の脳に、一筋の衝撃が走った。このメモは、幻のお宝への道筋……つまり、珍しいポケモンの残したメモなのではないだろうか?
 誰だったか……永い年月を経たポケモンは人の言語を操ることがある……そんな論文を読んだことがある。コレは、まさしく『ソレ』ではないだろうか?
 そしてこの『メモ』は、ヤツが残した『痕跡』……すなわち『宝の地図』だ!

 フハハ……フハハハハ!手にしたぞ!この俺が!幻の宝を!フハハハハ!
 四枚の『地図』を解き明かせば!全てがこの俺のものだ!俺の栄光だ!

 よし、落ち着け……焦るな……手の震えが止まらんが、『メモ』を見返すのだ……



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─ガサッ……ザクッ……ガサッ……─

 太陽が沈みゆく中、落ち葉を踏み締める音に、思いを馳せる。

 結局、そうか、もう夏も終わりか……。



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─ガサッ……ガサッ……ザクッ……─

 静かな春の木漏れ日に包まれながら、草木を掻き分け道を作る。今年は良い木の実が成りそうだ。

 みんな、どうか元気に育ってほしい。



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─サクッ……サクッ……ズモッ……─

 息すら凍る、白銀の世界。見る分には悪くないのだが、やはり私には、厳しい季節だ。

 溜めるんだ、力と体力を、この冬に。



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─ザクッ……パキッ……ザクッ……─

 二の足を踏んでいる暇はない。何せ今年は、絶好の気候なのだから。

 遂に来た、大好きな、暑い暑いこの季節が。



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 ……やはり、間違いない……『夏』は……『植物』の好む季節だ……『春』も『秋』も、『植物』自身のことを言っている……俺の考えは間違いない……
 しかし、何だ……この『地図』の答えは……どうすれば……



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中盤

後半

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 足音……だよな?初めの擬音は……
 ……待てよ?足音……全てのメモが、『足音』から始まっている……最初の『足音』……初めの『足音』……『初め』の『一音』目!

 そうかわかったぞ!この『初めの足音』は、『初めの一音』!つまり、それぞれの『最初の文字』を読め、ということだ!

 それに加えてこの『季節』!バラバラだが、『春夏秋冬』に沿って並び替える!その上で、『最初の文字』を読み解くのだッ!




(ガサッ)




 ……なんだ、今の音は……何か、聞こえた気がしたが……
 ん?おや?これは……何が起こっている……?『メモ』が……『五枚』……『増えた』……?


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あしきこころのもちぬしよ。


といたね?
みたね?
といちゃったね?
みちゃったね?

よんまいだけならまだせーふ。
でもといたらおわり。
もりののろい。
みえたらおわり。
もりののろい。
もうおそい。




















つかまえた

















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 ……えっ………………あ……………………




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【とある文献に曰く】
──ポケモンの中には、木々やそこに住む者を愛し、森を荒らす者を捕らえ呪う種が居るという。森を荒らす気の無いもの、またやむにやまれず木を切るものに対しては、非常に友好的な姿勢で接する。しかし、悪しき心の持ち主に対しては容赦をしないという。捕らえられた者がその後どうなるのか。それは未だ謎に包まれており、学者達の研究の課題となっている──

小話:冷たい炎

2019-06-30 21:34:04 | 霊ポケ妄想(お話風)
 ワタシの炎は魂を焼く。
 それは生命の本質を消失させることと同義。身体は残るけれど、それは最早中身が空の只の殻。そこに生命の痕跡は、欠片も残らない。それがワタシ。ワタシの炎。

 けれどね。マスター。別にワタシは、殻が好きな訳じゃないのよ。中身が憎くて、焼き付くしているわけではないの。
 むしろその逆。中身こそ、本当にワタシの好きなもの。綺麗な魂ほど、ワタシは牽かれる。貴方達ニンゲンも、素敵な物ほど自分のものにしたいでしょう?手元に残しておきたいでしょう?それとおんなじなのよ。ワタシのこれは。

 だからね。マスター。貴方には、そんな素敵な宝石のような灯りであってほしいのよ。いつか貴方が燃え尽きて、燻りになるその日まで。それがワタシの目的。大嫌いなハズのニンゲンの側に、それでも好いてしまった貴方の側に、居続ける目的。おかしなものね。本当に。

 ええ。だから。マスター。貴方が、貴方の中身が、醜く濁ることなんて、ワタシが許さない。貴方がワタシの大嫌いなモノに堕ちることなんて、許さない。
 濁りなんて。汚泥なんて。ワタシの炎の前では、何もかも無意味。あって無いようなモノ。その程度のモノ……。そんなモノに、貴方が沈むなんて、ワタシが許さない。跡形も無く、燃やし尽くしてあげましょう。

 だから。ね、マスター。貴方は心配しなくて良いのよ。貴方は貴方のやるべきことをやるだけ。醜いニンゲン共との交わりで浮かんできた泥なんて、貴方は気にしないで良いのよ。

 ほら、力を抜いて。ワタシの炎に身を任せて。大丈夫、貴方はまだ焼かないわ。ワタシが焼くのは、不要なモノ。貴方を焼くのは、貴方の炎が朽ちる時。それまでは、無様に生きて、足掻きなさい。マスター。
 それが、貴方達を嫌う、ワタシを従える貴方の責務。貴方に使えるワタシへの対価よ。



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 ゆらゆら揺れる、黒い影。青白い炎をその身に纏い、全てを見透かす黄色い瞳で、彼女は私を炎で包む。
 嗚呼。なんて。残酷で、暖かい。身体の芯から暖まる、背筋の凍る冷たい炎。
 けれど、不思議なことに。私の心は澄んでいく。迷いも不安も雑念も。恐れも嘆きも後悔も。どれも儚く灰になる。
 何も解決はしないけれど。少なくとも、私の恐怖は消え去った。他の何よりも恐ろしく、そして暖かい炎に包まれて。

除霊体質の霊遣い

2019-04-21 06:40:37 | 霊ポケ妄想(お話風)
 雪も大分溶け、神社の雰囲気も変わり初めている。側に建ち並ぶ木々にとってみれば、それはとても好ましいことなのだろう。心なしか、いつもより生き生きとしている気さえする。
 しかし、僕にとってみれば、それは憂鬱の始まりに他ならなかった。何故なら、春が来るということは、夏という季節も、すぐそこに迫っているということなのだから。

 「ああ……気が重い……」

 ポツリと、心に溜まったモヤを吐き出してみる。本当に、夏など来なければ良いのに。



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 突然だが、僕はポケモンが好きだ。とりわけ、ゴーストタイプと呼ばれるそれが、とても好きだ。幼少期から慣れ親しんだ生き物だから、というのも理由かもしれない。しかし、何より、僕には、彼らがとても愛らしく見えるからだ。
 勿論僕の相棒もゴーストタイプである。石に縛り付けられたモヤモヤが特徴的なこの子がそれだ。周りの友人達は、怖いだの、危ないだの、縁起がどうだのと喧しく言い立ててくるが、何てことはない。僕にとっては、大切な、そして特別な、一匹だけの相棒である。
 ……特別な。そう。この子は特別なのだ。何せ、この僕になついてくれる……近寄っても大丈夫な、唯一のゴーストタイプなのだから。



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 「それ」に気が付いたのは、もうずっと昔のことだった。神社に生まれたこともあって、ゴーストタイプのポケモンと接する機会は、普通の人よりも多かった。僕の親や親戚達も、皆総じてゴーストタイプ遣いであった。ゴーストタイプと心を通わせ、友人のように、家族のように。僕が生まれるずっと前から、彼らはそう在った。

 「新しく生まれた『命』だもの、やっぱりみんなまだ慣れないのね。大丈夫、お前の母さんも、お祖父さんも、みんなそうだったから。そのうち仲良く遊べるわ……」

 親たちのように、僕も彼らと触れ合いたい。その一心で彼らに近寄ると、いつも、誰も彼も姿を隠してしまった。そうさて悲しんでいる僕に、祖母はそう言ってくれたのだ。だから、僕もいつしか、彼らと仲良くなれると、一緒に遊べると、心待ちにしていた。
 しかし、違った。僕は、ゴーストタイプからは嫌われる体質を持ってしまった。除霊体質、というそうだ。その言葉の通り、僕に近寄られたゴーストタイプは、魂同士が磁石のように反発しあい、その場所から追い出される。非道い場合、そのゴーストを弱らせ、やがては瀕死の状態へ、追いやってしまう。その先は……考えたくない。
 物心が付く前から、僕はゴーストタイプに近寄らないよう、細心の注意を払い、生きてきた。そんな僕が10歳の誕生日を迎えた時、僕を不憫に思った祖母から、ある石を受け取った。

 「この石には、あるポケモンが住んでいる。けれど、私達やお前のお父さん、お母さんにはこの子を目覚めさせてあげられなかった。伝説の霊遣いと言われた、お前のお父さんでさえ。だから、あの子はもう、ここには居ないって、お祖父さんも言っていたわ。そんな物でごめんなさい。けれど、この石は、間違いなくゴーストタイプのポケモンだった、この家の宝物。せめて、これをお前に渡すわ。大切にしてあげてね……」

 それは、僕に唯一許された、ゴーストタイプとの触れあいであった。幼心に仲間外れにされていると思い、傷心していた僕にとって、これほど嬉しいことは無かった。
 だから、それを受け取った時に聞こえた声も、錯覚か何かだと思った。

 『……何百年ぶりだ。アイツのような魂に出逢うのは……』



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 「……はぁ」

 どうしようもなく気が滅入る。やはり春は苦手だ。というより、夏に来てもらいたくない。何故なら、夏は、ゴーストタイプの季節だから。

 『好きなものから忌避されるってのは、ツラいよなァ。お前はどうだ?そう思わねぇか?ヒヒヒ』キ

 「え、何、君今の前半部分は独り言だったの?怖っ」

 『ヒヒヒヒ……切り返しも上手くなったじゃねぇか。気にすんな、単なる嫌みだよ』

 「ああ、うん。わかってるよ。流石にこんだけ一緒に居れば、返し方もわかってくるっての」

 『あァ、お前からしたら、何だかんだ長ぇ付き合いってなるんだもんな?人間ってなぁ慣れるのが早ぇよな』

 「君からしたら刹那の時でも、こっちからしたら、もうすぐ人生の1割を君と過ごすことになるんだ。早いもんか」

 『へいへい。どうせ俺らは老いぼれだよ。ところで、そんな老いぼれと、呑気に話なんてしてていいのか?今日も何か頼まれてんだろ?』

 「自分で話振っといてそれだもんなぁ。大丈夫、丁度話を切り上げて、爺さんの力借りようと思ってたところだから」

 『力なんて貸さねぇよ。お前のソレで十分だろうが』

 「いやいや、わからないよ?この前だって……って、これ話長くなるヤツだね」

 『ケッ。一寸くらい長話しても良いじゃねぇか。何も、ゴーストに命喰われるって話じゃないんだろ?ソイツ』

 「うん。だけど、他の人からしたら、やっぱり怖いんだよ。行ってあげないと……その子らの説得、またお願いね」

 『……へいへい。まあ、同族が虐げられるのも、面白くねぇからな。ホレ、さっさと俺らを運んでくれや』

 「ヤだよ。浮けるでしょ、君」

 『ったく気に入らねぇなァ』キ

 「ほら、行くよ。……『みんな』を、助けにね」



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 今日も今日とて、除霊のアルバイト。でも、それはほんの建前。本当は、困っているゴースト達を助けに行くんだ。僕には『弾く』ことしか出来ないけれど、弾いた先で、この子が受け止めてくれる。誰より多い魂を持つから、誰よりゴーストタイプを受け止められる。本人はそう言っていたけれど、真相はわからない。
 その子達は、どんな遊びが好きなのだろう。どんなお菓子をあげようか。そんなことを考えながら、僕はコイツと、仕事へ向かう。

灯火の怪─その後─

2018-08-15 16:17:16 | 霊ポケ妄想(お話風)




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【後日談、というか、事の詳細】




 男の子はその後、長老の元へと呼ばれ、事の詳細を話し、また聞かされた。そして、自分の直感が正しかった、ということを思い知らされた。




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 長老は、多くの話をしてくれた。と言っても、それはあくまで、伝承を元とした推測であった。
 それでも、事の発端から、何故このようなことになってしまったのか。また、何故男の子だけが助かり、他のメンバーがあんな状態となってしまったのか。それらを納得するには、十分なものであった。
 以下、長老と男の子の会話をもとに、ことの詳細をまとめてみる。




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 悪夢の肝試しが決行されたあの夜は、丁度お盆の時期であった。それに加え、運の悪いことに、その日はとあるポケモンが、塔へと降り立つ日であった。故に、塔に住む他のポケモンたちは、警戒を強めていたのである。
 あるポケモンは群れとなって突風を巻き起こし、また霧を発生させた。あるポケモンは幻覚を見せ、塔に近付くものに本来とは異なる認識をさせた。またあるポケモンは霊力を高め、そのポケモンの到来のための供物を呼び寄せた。

 男の子が感じた強風はポケモンが作り出していたものであったのだ。加えて、塔の扉を開けた際の気温の低下。あれもまた、そのポケモンたちの技のひとつである、霧の効果であった。

 そして、本来のタワーオブヘブンは4階建てである。しかしながら、その時のことを振り替えると……


 ──三、四、五階と、順調に歩を進めていく男の子。暗闇にも慣れてきたところで、ひとつの疑問を抱き始めた──


 タワーオブヘブンに『五階』が存在している訳がない。男の子はあの日、あるハズの無い『五階』を体験していたのである。
 更に、男の子は塔への道以外の道を認識出来なくなっていた。視界のほとんどが暗闇に包まれている中、何故塔に続く道だけが、ぼんやりとでも認識出来たのか。そう、男の子たちは、知らず知らずのうちに、『彼ら』に誘われていたのである。

 そして、もうひとつ。丁度その日に塔へと来訪したあるポケモンによって、肝試しメンバーは、総じてある要素を支配されてしまった。
 それは、『感情』である。あれほどまでに大人たちの忠告を退け、肝試しを強行したのにも、そのポケモンの影響があったのである。
 感情を司り、支配し、操るその存在。一説によれば、人々に感情を授けたと伝えられるポケモン。その名は『エムリット』。ピンク色の頭部を持つ、伝説のポケモンの一角である。『ピンク色』の……。
 そう、男の子が意識を失う直前に、視界の端で捉えたあの『何か』の正体である。いわば、エムリットの『試練』に合格した男の子の前に、何を思ったのか、その姿を現したのである。



 さて、ここからは彼らの身に起こった事柄について語ろう。
 それは概ね、男の子の直感が正しかった。この時期、またエムリットが来訪するこのタイミングでの蝋燭の火は、いわば自身の魂の鏡なのだという。
 男の子はその火を前に、『守る』選択をしたために、火は消えずに済んだ。むしろ、土壇場で心の中に燃え上がるような感情が芽生えたために、蝋燭の火は突如として燃え盛ったのである。三日にわたる高熱も、その影響であった。
 だが、他のメンバーは違った。ある者は火を『見捨て』て逃げ出し、ある者は自身で火を『消して』運ぼうとした。またある者は、この異常事態に飲み込まれ、蝋燭に相対する前からその心は『冷えきって』しまった。それが、男の子と他のメンバーを別った点あった。

 蝋燭の火、すなわち彼ら自身の魂の火を消してしまった他のメンバーは、仮死の状態にあるという。そして、誰かが彼らの蝋燭に火を灯さない限り、彼らが目覚めることも、体温が戻ることも無いという。
 そのためには、この期間が終わるまでに、もう一度塔へ赴く必要がある。そうしなかった場合は…………
 男の子の返事はひとつであった。



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 と、ここまでが、現在まで伝わっている、『灯火の怪』とその『後日談』である。如何だっただろうか。
 男の子のその後の行動は、残念ながら伝わっていない。が、研究者の間では、この物語は、まだ見付かっていないもう一冊、すなわち事の『解決編』が存在する、というのが通説となっている。その場合、所謂ハッピーエンドを支持する者と、バッドエンドを支持する者とで意見が別れている。
 現在でも、研究及び調査がなされており、その進展が望まれている。





 ところで。もしも貴方が「蝋燭」を見付けてしまったら、はたして消さずにいられるだろうか。
 「感情」を支配する存在の試練に、打ち勝つことが出来るだろうか。
 現在でも、件のタワーオブヘブンに、やはり肝試しに向かう若者達の姿が後を絶たない。もしかしたら、貴方も行ったことがあるのではないだろうか。

 あるとしたら、貴方は幸運であった。何故なら、その時は「エムリット」降臨の時期から外れていた可能性が高いからである。
 もしも、貴方が「エムリット」降臨の時期に、肝試しなど決行しようものなら……

 最後に、戒めと注意喚起の意味を込め、長老の言葉を繰り返して、筆を置くことにする。



 ──夜の蝋燭は、必ず灯っていなければならない。あの搭で、蝋燭の火は絶対に消してはいけない──