Entrance for Studies in Finance

みずほ総研『ポスト金融危機の銀行経営』金融財政事情研究会, 2014


みずほ総合研究所『ポスト金融危機の銀行経営』金融財政事情研究会, 2014
証券化の問題 

1)証券が複雑になりリスクや価格に妥当性について投資家は格付けや信用補完措置に依存。格付け機関の信頼低下により混乱。
2)転売を前提にしたビジネスモデルで貸出組成段階で規律にゆるみ。
3)証券化商品を担保にした短期市場性資金への依存。市場価値への懸念に脆弱。
4)規制のループホール(規制逃れ)、アービトラージ。
loophole:means of evading a rule without breaking it
arbitrage:the practice of buying in one market, and selling in another to make a profit from the differences in price
リーマン金融危機(
リーマンショック 2008年9月)以後顕在化した問題
1)危機をもたらしたのは、シャドーバンク(銀行同様に、社会的に資金を集め資金運用業務を行っていながら公的規制を逃れている金融組織)。銀行はシャドーバンクを隠れ蓑にしてリスク業務を拡大。
2)ミクロ的な健全性規則だけでなく金融システム全体の健全性を重視するマクロプルーデンスの重視(G-SIBsへの追加的自己資本要件やカウンターシクリカル資本バッファーなど)が必要。
3)以前から指摘のある大きすぎてつぶせない問題…大手金融機関解体論の再燃。
4)当局による金融監督、金融機関自身の内部規律、取引による市場規律などが議論されるなかで、内部規律論に批判(金融機関の内部規律に任せることに批判が)集まる。当局による金融監督に重点を置くべきとの議論強まる。

以上の問題への対応としての、バーゼル規制(国際的に業務展開する銀行への規制)
バーゼルⅢ 2013年から導入 2019に完全実施(Tier 最低水準6% 総資本8% ここまで2015+資本バッファーをその後毎年上げて込みで10.5%が2019 流動性カバレッジレシオも2015に60% 毎年引上げて2019には100%)
buffer:something which lessens the force of a blow or collision

米国におけるドッドフランク法の制定
2010.07 米ドッドフランク法Dodd-Frank Act 銀行とその関連会社 銀行持ち株会社に リスクに高い自己勘定トレーデイング業務ヘッジファンド PEファンドへの出資を原則禁止などのボルカールールが話題 2013.12 最終ルール確定

Cosumer Financial Protction Bureau(CFPB)の創設:消費者保護 金融機関の慣行に幅広い権限

Financial Stability Oversight Councilの新設:システミックリスクのモニター(監視)と権限、非銀行金融機関の規制監督 

背景にある問題 大企業の資金調達が証券に移行 借入比率の低下 金利マージンの低下 ➡ ユニバーサルバンク(商業銀行と投資銀行の業務を併せ持つ)化の進展 投資銀行IB マーチャントバンクMB 銀行のリスクテイク活動を監視制限する必要がある

1988  クレディスイスが米ファーストボストン(IB)を買収 CSFBを設立

1989   独ドイツ銀行が英モルガングレンフェル(MB)を買収

1995   独ドレスナー銀行が英クラインオートベンソン(MB)を買収

1995   スイス銀行が英SGウオーバーグ(MB)を買収

1997 スイス銀行が米ディロンリード(IB)を買収 UBSとスイス銀行が合併(UBS) 

1998 米シティとトラベラーズ(ソロモンブラザーズIB。スミスバーニー)の合併 商業銀行と投資銀行の大型合併事例

1999   GLB グラムリーチブライリー法成立 銀行証券の業際規制の撤廃

1999   ドイツ銀行が米バンカーズトラスト(IB)を買収 

2000   CSFBが米ドナルドラフキンジェンレットを買収

2000   UBSが米ペインウェッバーを買収

2000   米チェースマンハッタンとJPモルガンの合併(➡JPモルガンチェースは2008にベアスターンズを買収)

2008   独コメルツ銀行が独ドレスナー銀行を買収

2008   米バンクオブアメリカはメリルリンチを買収

2008   米リーマンブラザーズLehman Brothersを英バークレイズ(北米)と野村(北米以外)が買収 

2008   米ゴールドマンサックスGoldman Sachs 米モルガンスタンレーMorgan Stanleyはそれぞれ銀行に業態転換(純粋の投資銀行の消滅?)

投資銀行investment bankの業務:プライマリーprimary業務 発行プライマリ―市場の仕事 債券株式の引き受け M&Aなど

2000年代に入ってトレーディング業務が拡大

トレーディング業務 流通市場での仕事 1)ブローカレッジ 2)マーケットメイク 3)自己勘定取引=プロップ取引或いはプロプライエタリ 取引 ➡ 2000年代に入り トレーデイング業務の比重が急激に高まる(背景 プライマリでの競争激化による収益低下 市場としては流通市場は圧倒的に発行より大きい 金融資産の比重が預金以外の商品にシフト

proprietary:denoting or suggesting ownership

proprietor:owner of a business establishment 

2008金融危機以降の業務の変質

トレーディング業務 短期の市場性資金に依存 レポ取引やCPなど 自己取引拡大 店頭取引拡大 シャドーバンクとの複雑な取引 脆弱性の露呈 ➡ 複雑な商品を避ける 対顧客取引中心 取引所取引中心 過剰なレバレッジの抑制 預金基盤の重視 トレーデイング業務の抑制

#証券化 #プロップ取引 #バーゼル規制 #ドッドフランク法 #ユニバーサルバンク化 #リーマンショック
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