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武田薬品のスイス・メイコメッド買収発表(2011年5月19日)

2011年5月19日 武田薬品がスイスの製薬大手ナイコメッド買収を発表した。買収費用は1兆1100億円程度=96億ユーロとのこと。メイコメッド買収で武田の売上高規模は世界10位に上昇する。
 
 武田薬品(2011年3月の売り上げは1兆4193億円。世界順位15位。2月に700億円を投じて湘南研究所を完成。今回の買収には3月末の手元資金8700億円を活用 6000-7000億円を借り入れ残りは手元資金で 一時的に財務体質悪化は不可避)がスイスの製薬大手ナイコメッド(創業1874年 非上場 新薬のほか後発薬もてがける 2010年12月の売上が3700億円=32億ユーロ)買収を発表(買収費用は1兆1100億円程度=96億ユーロ) 大筋合意報道(5月12日)
海外へ営業網・後発薬を一気に獲得
主力薬 アクトスの特許期限切れ(米国で2012年8月)切れ迫る中で即効性求める
なお武田は2008年に米ミレニアムファーマシューテイカルズ(抗がん剤の開発を進めている)を約9000億円で買収(収益貢献には時間が必要 当面は無形固定資産の償却負担)

 医薬品メーカーの在り方はメガファームを目指すのが一つの方向。武田薬品 メイコメッド買収で世界の10位に上昇したが、この方向を目指していると思われる。しかし世界の上位メーカーとの開きは大きい。
 2008年にランバクシーラボラトリース(インドの後発薬大手)買収の第一三共は世界19位。第一三共は2011年3月 米プレキシコン:抗がん剤開発を進めているーを8億500万ドル660億円で買収と発表。

 なお武田の買収発表の直前の5月17日 世界後発薬最大手のテバファーマスーテイカルインダストリーズによる国内後発薬3位の大洋薬品工業買収の発表があった。こちらの買収費用は最終的には1000億円程度とされる。
 テバ(イスラエル 米国でP&Gと提携 北米以外で大衆薬事業を統合 P&Gは風邪薬ヴィックス等を保有 医療医薬品の成分を転用するスイッチOTCとよぶ大衆薬の開発でも協力)による大洋薬品工業買収(国内後発薬3位 10年11月期の売上643億円 国内後発薬メーカーはいずれも規模が小さい) まず創業家などから57%を370億円で。金融機関などから全株買収で1000億円。テバは2010年の世界の売上高1兆3000億円。5月2日に米国の新薬メーカー(バイオ医薬品)、セファロンを5500億円で買収すると発表したばかり。
テバは昨年(2010年)もドイツのラチオファーマを4350億円で買収

製薬会社大手 米ファイザー 仏サノフィアベンティスなどは新薬+後発薬子会社の両面作戦をとっている。
サノフィは国内後発薬最大手日医工に出資で日本之後発薬に参入(日医工に出資 また合弁会社を立ち上げ)

新薬:特許に守られる 生産コストの高いバイオ医薬品に中心移る
後発薬:規模のビジネス 5年後に後発薬もバイオ医薬品にシフト 投資競争の激化が予想される
後発薬メーカーに テバ 独サンド 米マイライン インドランバクシーなど。
エーザイは主力薬アリセプトの特許切れを受けて、段階的にインドでの生産に切り替える方針。
出荷開始は2010年7月。

製薬会社の戦略としてはニッチ戦略も語られる たとえば
アステラスのニッチ戦略 得意分野で小回りのきくニッチトップを目指しているとも
 なお2010年に米OSIファーマシューテイカルズを買収したが 無形固定資産償却で減益がまず作用して収益貢献はこれから。
 2010年5月17日合意 約40億ドル(3700億円)

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