Entrance for Studies in Finance

生体認証をめぐる規格の争い

暗証番号ではセキュリティは保てないからと認証技術(生体認証)が進んでいる。スタートは指の指紋認証である。
セキュリティの強化はわかる。だから勤務する会社のドアや事務機器の開閉やロックの解除に使うのはいいとしても、銀行や店舗でカードを使ったりする日常的場面で毎度求められるのには抵抗感があるのはなぜだろうか。

銀行は2004年秋から生体認証カードを導入。しかしネットで調べると生体認証には抵抗感のある人が多いようだ。どうも生体認証以外の方法、それもゆるやかな方法を私たち自身が望んでいるように思う。

とくに指紋認証に抵抗感があるのは、犯罪を犯した人が指紋をとられたりする印象が強いためだろう。逆にいえば指紋認証を進めた技術者はそうした抵抗感があまりない人なのではないか。

ただ指紋は複製できるという話もあり、現在は指の中の血管を読み取るより精緻な技術に移っているようだ。

手のひら認証というのは、手のひらの血管を読み取るもの。

普及にかかわる問題にはつぎのような点がある。
○生体認証機能のあるATMは一部であるため、認証機能にこだわっているとATMそのものを利用できない(この点で三井住友は2008年3月末までに有人店舗のすべてのATMを生体認証対応に切り替えるなど積極的である。)。
○2007年5月の連休明けから指タイプの認証方式をとる、りそな、みずほ、三井住友の3行が相互開放を始めたが、「手のひら」タイプ(三菱UFJなど)と「指」タイプ(三井住友 みずほ 日本郵政など)にタイプが分かれているため、認証機能にこだわっていると他行のATMは今後も利用できないものが残る。(大手の中で三菱UFJが手のひらにしたのはなぜだろうか。もし三菱UFJがてのひらにしなければ指タイプで統一できたのである。)

導入時期は2004年10月の三菱UFJの導入が一番早い。三菱UFJが手のひら方式を採用した理由は不明だが、解説のなかには三菱のシステムがIBM系だからだというものもある。しかしそれ以上に手のひらの技術を開発した富士通が受注に成功する一方、他行は日立の技術の導入に踏み切ったということだろう。現在の普及状況からは指認証が優位。手のひら方式にすごくよい点があるのでないなら、三菱が手のひら(富士通)を断念すれば一本化できるのだが。

次に導入したのが三井住友で2005年の末。このとき三井住友は安全性を高めるため磁気ストライプの併用をやめる決断をした。しかしこの決断は認証機能のついたATMが普及していなければしてはいけない決断である。結果として三井住友は2008年3月末までに有人店舗の全ATMに認証機能を付ける決定を行った。しかし認証カードの普及率の低さ(1%弱)を考えたとき、この投資は私には疑問に思える。

そして最後に2006年10月。みずほ、りそな、日本郵政が生体認証を導入した。そして既述のように2007年5月の連休明けからは、三井住友、みずほ、りそなの3行は相互開放を始めている。
指認証と手のひら認証の相互利用のめどは立っていない。利用の普及度からみれば三菱が指認証に切り替えればそれで済む話であるが。


指静脈     日立
手のひら静脈  富士通
指紋      NEC
顔       NEC
目(光彩)   OKI

なお各銀行の勘定系メインフレームは、三菱東京UFJはIBM(UFJの日立からIBMに一本化)、みずほが、みずほ銀行が富士通、みずほコーポが日立。三井住友がNECである。りそな、新生、あおぞらなど、外資ファンドがからんだ銀行がおしなべてIBMなのは偶然の一致だろうかIBM製が優秀なのか。


Written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author.
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