中国の通信機器メーカーが中国政府のスパイ活動にかかわっているとの疑いはかねて指摘されている。その双璧は中興通讯ZTE(人民解放軍と関係)と華為技術(ファーウェイ)。米政府はZTEがイランや北朝鮮に違法に米国製品を輸出していたとして、米国企業との取引を7年間禁止する決定をくだした(4月)。米政府とZTEはこの問題で11億9000万ドルの支払いで合意(3月)。しかしその後、輸出違反に関わった社員の報酬を減額する合意を守らなかったことが判明し7年間の取引禁止となったもの。ZTEは米政府の措置によりスマホの販売停止に追い込まれた(5月)。中国政府はこの措置は米部品供給業者に痛手になると主張している。その後、中国政府と米政府とのやり取りの結果、罰金の増額、経営陣の刷新などで両者が折り合ったとの報道がでると、そもそも米国防衛の観点からの措置を、取引手段としたトランプ政権の姿勢に対して米国内保守派から反発の声が出ている。
中国製スマホのリスク 2017/11/17更新
数か月以内に経営破たん 日刊工業新聞 2018/04/21
Huwai, ZTE phones banned by Pentagon, Global News 2018/05/03
ZTE スマホの販売停止へ Sankeibiz 2018/05/07
ZTE on brinks of collapse New York Times 2018/05/09
米政府 ZTEへの取引禁止措置を撤回か Sankeibiz 2018/05/26
この背景に中国による輸入自動車関税の引き下げ(乗用車など25% トラックなど20% いずれも15%へ 2018年7月から 自働車部品についても8~25%を一律6%へ)があるとも観測される。片方は安全保障問題、片方は貿易問題で無関係だが、実際には効果があった。米国が仕掛けているのは、対中国だけではない。
2018年3月には鉄鋼とアルミについて、それぞれ25%と10%の関税を発動。現在(5月下旬)には乗用車に関する関税の25%引き上げを検討するとしている(現行2.5%を27.5%に)。WTOのルール違反を避けるため、安全保障を理由にするということ。物価の値上がりにつながる、国内雇用に影響する、などの反論はある。ただ日本の自動車メーカーの対米戦略に、トランプ政権が修正をせまっていることは明らかだ。