書名は正確には『「PERって何?」という人のための投資指標の教科書[図解]』という長いもの。小宮さんはこうした解説本が多いが、京大法学部を卒業後、東京銀行。米ダートマス大学でMBAを取得されている。知識のベースはしっかりされているので、信用して読んでいい本ではないか。前半の経済指標解説は、日本でこの20年間、給料が上がっていない。などの指摘を除くとあまりおもおしろくないので、後半の企業分析のところから読んでゆく。最初に自己資本比率のところ。自己資本について、株主資本+その他の包括的利益累計額 という定義を紹介しつつ、計算の簡便さから 純資産÷資産 を自己資本比率としている。一般的に安全とされる比率として20%以上。10%を切ると過少資本としている。
つぎに手元流動性を月商で割った数値について、大企業で1ケ月 中規模企業で1.2~1.5ケ月 中小企業で1.7ケ月を基準値にあげている。小さな企業ほど資金調達スピードが遅いので手元流動性が多く必要としている。この資金調達スピードが大事な視点。
つぎに稼ぐ力を見る視点として、売上高成長率を挙げている。売上高のプラスの伸び率が、お客様に喜んでもらえていること、社会への貢献度あるいは社会での存在感の上昇を示すとしている。
つぎに資産が有効に活用されているかは、資産回転率でみるとしている。ただ 資産回転率が低いあるいは資産が大きな企業は、売却できる資産を多く抱えているので安全性という視点ではプラスに評価できるとしている。
企業の収益性を見る数値に 売上高営業利益率がある。製造業ではこの数値が10%以上あれば高収益といえる。商社などはこの数値が低い、飲食業はさらに低い傾向がある。
配当利回り=1株当たり年間配当額÷1株購入価額
配当性向=年間の配当支払総額/当期純利益
ROE=当期純利益÷自己資本
手っ取り早くROEを高めようと自社株買いをやりすぎると 純資産が減少して・・・安全性が損なわれる 自己資本比率がそれほど高くない企業が自社株買いをするときは注意が必要
純利益をあげるため 人件費を抑えれば社員のモチベーションは下がる・・・ROEだけを見ているのは危険
ROEを重視するのは株主ヲ重視することだが、負債を提供する社債権者や銀行を二の次と考えるのは(問題がある 健全でない)
負債も含めてROAを高めることでROEも高まるというのが 経営者として健全な考え方 (これはなかなかの卓見)
ROAは2%なら普通 5%以上が優良
自社株買い 増資 株式分割など 株数の増減につながるニュースに注意を払う必要
企業の将来性をキャッシュフロー計算書でみる
営業キャッシュフローがプラスであること
キャッシュフローマージン=営業キャシュフロー÷売上高 この数値が7%以上は企業が成長する原資を稼ぐ力あり。10%以上は優良会社。
投資キャッシュフロー 財務キャッシュフロー はいずれもマイナスが健全な姿
企業の真の実力値示す 会社が自由に使えるお金をいくら稼いでいるかを示すフリーキャッシュフロー
フリーキャッシュフロー=営業キャッシュフロー投資キャッシュフロー
重要な7つの指標
自己資本比率 20%以上
売上高成長率 前年比プラス
当期純利益伸び率 前年比プラス
配当性向30%以上
配当利回り3%以上
PER 20倍以下 30倍超は不可(株価が高すぎる)
PBR 2倍以下 3倍以上は不可 1倍以下なら下値不安少ない
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