Entrance for Studies in Finance

ガリオングループ事件(2009年10月)

the largest insider-trading case, Galleon
Hiroshi Fukumitsu

 米国のヘッジファンド大手のガリオングループ(Galleon Group)の創設者Raj Rajaratnam(rolodexの達人a master of the rolodex, rolodexは回転式名刺ホルダーの商品名)をはじめIBM、インテル、マッキンゼーMcKinseyなどの幹部社員6人が、インサイダー取引容疑で2009年10月16日に逮捕された。事件はヘッジファンドのインサイダー取引事件として過去最大の事件に発展する可能性があり、ヘッジファンド規制論の勢いを高めることになるだろう。
 直前の10月13日にインテルが、また10月15日にはIBMが、それぞれの2009年7-9月期決算を発表したばかりだった。幹部のインサイダー取引への関与はインテルやIBMへの社会的信頼を大きく損なうものだった。
 インテル財務部門幹部のラジブ・ゴエル容疑者は、自社の業績や投資先情報に関する内部情報を提供していた。また、IBM上級副社長のロバート・モファット容疑者は、IBMの業績やIBMが一時買収を検討したサン・マイクロシステムズの財務に関する情報を提供していた(報道された限りではIBMとサンの買収交渉は2009年3月中旬から始まり5月4日にサンの取締役会がIBMの提案を拒否して決裂した)。
Rajの運用資産規模は数十億ドルとされ、2000万ドルほどを不正に儲けたとされている。
 この事件に関しては半導体大手AMDの名前も登場し、AMDの前CEOヘクター・ルイズも情報漏洩の疑いが取りざたされた。逮捕されたモフェットはIBMのCEO候補ともされる人物。グーグルの内部情報(googleといえば2006年10月のyoutube買収が想起されるが)、2007年7月のブラックストーンによるヒルトン買収に関するアナリスト情報(Moody'sのアナリストは1万ドルでこの情報を売ったとされる)なども指摘されている。
 資料:"The Galleon affair, all at sea", The Economisit, Oct.24, 2009, 77."Galleon's downfall", Businessweek, Nov.2, 2009, 9. "The SEC: to catch a cheat", Businessweek, Nov.2, 2009, 25.「米巨額インサイダー事件 IBM、インテルの幹部も関与」『エコノミスト』2009年11月10日号, 15.
肥田美佐子「スリランカ系『ヘッジファンド業界の寵児』の失墜」『エコノミスト』2009年12月1日号, 82-83はこの問題についての適切な詳報。背景にシリコンバレーのIT企業にインド系財務責任者のネットワークがあることを示唆している。
 "The Galleon trial Network effects"in The Economist, Mar.12, 2011, pp.76-78
"The Great Hedge Fund Takedown"in Bloomberg Businessweek, Mar.14, 2011, pp.79-81

originally appeared in November 8, 2009
corrected and reposted in September 2, 2010

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