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三井住友と大和が合弁を解消へ

両者は1999年に大和SMBCを大和と住友が共同で設立。しかし2009年9月10日 合弁の解消を発表した。この経緯は子どものけんかのようでもあるが、合弁解消は両社にとりプラスの要素がない。

2009年5月。三井住友が米シティGから日興コーディアル証券と日興シティグループ証券の一部(株式債券引受け部門)の買収を決めた。これに合わせて三井住友銀は大和SMBC対する出資比率の引き上げ(現行の4-6から5-5を主張したとされる)を求めた。これを大和側が拒否したとされる。「大和証券Gが出資比率引上げを頑なに拒んだことから、SMFG(三井住友フィナンシャルグループ)は日興コーディアルを自らの手で総合証券に成長させるという道を選んだ」「フルの形になっていない日興コーデのホールセールを自前で整える必要に迫られた」(富所卓也「大和SMBC合弁を解消」『金融財政事情』2009年9月21日号, pp.8-11, esp.,10-11.)

合弁解消により三井住友は10月発足の日興コーディアル証券の対法人業務(株式の法人営業・売買・調査部門の欠落 機関投資家向け販売網の不在)に不安を抱えることになった。大和側には顧客離れ(三井住友系企業の離反)が予想される。大和は「独立系になれば利益相反を犯す危険性は薄れるというメリットはあるものの、独立系の雄・野村ホールディングスと真っ向から勝負しなければならない。顧客に対して、野村との差異が何かを示す必要がある。」(富所卓也、前掲論文、p.10)。大和SMBCにとって「過去10年間にわたり活用してきた三井住友の広範な営業基盤が失われる」(森岡英樹「大和証券SMBCの合弁解消」『エコノミスト』2009年9月22日号, pp.11-12, esp.,12.)。合弁解消は両社にとって得策ではなく、とくに大和は失うものが大きい。

ではなぜ大和は妥協できなかったのか。「大和証券SMBCから上がる収益は、今の大和にとって生命線に他ならない」。その経営権を失うことを大和は恐れたとされている(森岡英樹, 前掲論文, p.11.)しかし大和SMBCの収益が、三井住友系企業による発行業務に依存しているとすれば、大和の戦略は矛盾している。

三井住友から日興コーディアル証券への移動は250人。大和は7月に公募増資約2000億円を実施済みだが、合弁解消に伴う株式を引き取る資金には不足する模様。12月末をめどに大和証券は、三井住友が保有する大和SMBCの株を約2000億円で購入するとされるが、うち1000億円規模を三井住友が融資するとされている。三井住友から大和SMBCに出ている役員社員は三井住友に戻り、合弁は人の面でも解消される。

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