Entrance for Studies in Finance

証券市場論答案講義

学年  クラス   氏名(           ) 回りの人に相談したり携帯をみたりしてはいけません。資料参照不可です。

1.証券市場において機関投資家institutional investorsはどのようなニーズを持つかを以下の頭の言葉を生かして説明しなさい。

  注文が大口であるので手数料の割引(自由化)を求めるとともに、市場インパクトコストがない売買の執行を求めた(この段階でDark Poolを求めたといった回答も考えられますが、具体的なニーズを書かないのは問題の意味からして不適切です)

2.証券市場では伝統的な取引所とは別に、機関投資家などが取引するDark Poolsと呼ばれる市場が発達しています。近年の同一商品を扱う市場の分裂fragmentationは市場の在り方として問題だと考えられています。さてどのような問題でしたか。

 証券市場の役割の一つは証券価格情報の生産にあるが、市場の分裂は、その価格情報が限られた参加者により作られることを意味するので価格情報の信頼性にとり脅威となる。価格というものが需給全体を正確に反映したものと言えなくなるからである。

3.未公開株private equityを初めて取引所に上場するとき、株主数の条件を満たすために株を「売り出し」株主数を増やす必要があります。この行為を新規株式公開initial public offeringといいます。そのときこれまで値段がなかった株の(売出)価格を決めてやる必要があります。このような資産価値の価格付け行為をvaluationといいます。valuationの3つの主要方法のうち、継続価値を求める2つの方法を述べ、その2つの方法のそれぞれの特徴を指摘しなさい。

マルチプル法とDCF法がある。マルチプル法は市場で成立している同業種の株価収益率など倍数を使って、財務の数値(例えば1株当たり利益)から株価を推定するもの。DCF法は該当株が生み出す将来の1株当たり利益(あるいは配当)を現在価値に直して加算したものをもって理論価値を導くもの。前者は市場の判断を取り入れている点が優れており、後者は市場に存在しない新しいビジネスでも数字を推定できる点が優れているが、多くの仮定に依存する問題もある。 

4.伝統的な取引所は、上場商品の品質を保ち、取引の公正さを保つためにどのようなことを行っていますか。説明しなさい。 

上場条件を決めて上場の審査を行って上場商品の選別(screening)を行っているほか、取引について監視(monitoring)を行って取引きの不正(相場操縦や内部取引など)の排除に努めている。

5.信用取引margin transactionや先物取引future tradingで「売り」で儲けるとはどのような意味ですか。説明しなさい。

将来の値下がりを予想して、今の時点で売りをたてることで、将来時点では反対売買をして儲けることができる。信用取引では売る株は貸借料を払って借りることになる。他方、先物取引は証拠金取引である。いずれも取引の金額に比べて、必要な現金額は少ないという意味で証拠金のレバレッジ効果がある。 

6.以下の文章を(  )内に語群Aから最も適切な言葉を選んで入れて完成しなさい。

6-1.相場のチャート(値動きのグラフ)から今後の値動きを予想するといった株価分析を(テクニカル)分析といいます。他方、その企業の財務情報や、企業の経営の在り方などから、今後の株価を分析することを(ファンダメンタル)分析といいます。

6-2.株式の株価指標たとえば株価収益率でみて株価が割高にみえても、利益の成長率が著しく高いのでなお買い時であるような株を成長株growth stockという。こうし成長株は、高い経済成長率を示す(新興国)などで見られる。これに対して経済的に成熟した(先進国)では、国だけでなく企業の成長率も低下している。そこでの投資の手法は割安株value stockを探すものとなる。

 語群A ポートフォリオ ストラテジック ファンダメンタル テクニカル 連合国 欧米 先進国 新興国

7.銀行が国債保有を高めた理由を以下のそれぞれの言葉を使って述べなさい。

1) バーゼル自己資本規制によりリスクアセットに対して自己資本の大きさが一定以上必要とされるもと、国債のリスクが低く評価されたこと

2) 企業の借入需要が低迷していたこと

3) 金利が低下する局面では国債から売却益をだすことができたこと

8.巨額の国債を発行しているにも関わらず日本の国債の信用が維持されてきた理由を以下の言葉を生かして述べなさい。

1)  日本国債の投資家は9割以上が日本の投資家であること

2) 日本国債の通貨建ては円建てであること

3) 日本の経常収支は黒字基調であったこと(これは貯蓄超過を意味して国債投資に向けるお金があることを意味する)

9.企業が株式保有を高めた(株式持ち合いを進めた)理由を以下のそれぞれの側面について述べなさい。

1) 資本の自由化により外資が日本企業を買収することが脅威と考えられたこと

2) 企業間の継続的取引関係を持合いによって強固にしようとしたこと

3) 安定株を増やして相場を安定させようとしたこと

10.企業が株式保有を減らした理由を上げている以下の3項目それぞれの側面について述べなさい。

1) 時価会計制度の導入により株式の時価変動が、企業活動評価にマイナスに影響すること

2) 企業間の継続的取引関係の維持が必ずしも得策といえなくなったこと

3) 株式から得られる配当が投資収益としてはそもそも低いこと

11.受動passive運用の株価指数型(インデックス型)投資信託index fundsを肯定的に評価する以下の意見(文章)を完成させなさい。

1) 積極運用型投資信託に比べて手数料(販売手数料そして信託報酬)が低い

2) 積極運用型の運用成果が株価指数型を上回るとは言えない

12. 効率的市場仮説では説明のつかない株式市場の現象をアノマリーズと呼ぶことを授業では説明しました。ではアノマリーズの例を上げなさい。年度の初めに投資収益率が高くなる、逆に休み明けが低くなるカレンダー効果、小企業株や低PER株の投資収益率が高くなることも、アノマリーズだとされます。効率的市場仮説によれば、収益が高いという現象があればそこに投資家があつまり、突出した収益は均衡化されてゆくはずです。しかし実際には、市場ではこうしたアノマリーズがたくさん観測されています。アノマリーズ

13.以下の仮装売買を説明した文章について括弧の中の選択して、正しいと思う言葉を〇で囲みなさい。
  仮装売買とは(①一人で ②他者と通じて)、(①特定の ②不特定の)銘柄を大量売買して活発な取引を装うことを指す。 両者とも回答は①です。他者と通じる馴れ合い売買と仮装売買が対比されます。一人で売買することには意味がないからこそ売買の仮装なのです。

14.年金やSWF(sovereign wealth funds政府系ファンド)の投資先としてインフラinfrastructure(鉄道 道路 空港 港湾 上下水道 発電所 ゴミ焼却場など)ファンドが注目されています。なぜこれらの運用先としてインフラなのか。その理由を自分で考えて答えなさい。

 インフラについては新興国ではこれからの投資先として、先進国では膨大な更新投資需要の存在が指摘されています。年金やSWFは一般に長期運用であることとインフラ投資の長期性が対応すること。また年金やSWFは投資先について社会的批判を受けない配慮が必要ですが、インフラへの投資は公益性を主張できる点で運用先として都合がよいこと。などが考えられます。(日本では人口の減少により国内の投資先が限られていることも背景です)

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