Entrance for Studies in Finance

QE3終了前後の米国の金融政策

2015年12月の利上げ以降 米国は利上げ見送りを続けた。2016年8月末 雇用情勢 英国のEU離脱問題(2016年6月23日)など落ち着く、失業率の減少の反面 雇用者増の数は減少したが(6-7月で20万増レベル回復) 地銀 物価の伸びはゆるやか そこで2016年8月末 利上げの環境整う、回数は年1回できるかどうかになってしまった。上がれば 円安で日本は株高期待だけど

2015年12月16日FRBは9年半ぶりの利上げに踏み切った(FFレートの誘導目標を年0~0.25%から0.25%~0.50%に引き上げ)。7年ぶりのゼロ金利(1999年に日銀が導入)解除後の政策運営。17日より実施。2008年12月に事実上のゼロ金利政策()2007年夏欧米の金融バブルが崩壊 08年9月リーマンブラザーズが破たん。)。同時期に量的緩和QE にも踏み切る。金融危機の封じ込め。金融機関の不良資産買取り。2009年半ばに成長軌道に乗るも2%程度の低成長続く。景気拡大局面6年続基、失業率も危機直後の10%が5%まで(リーマン危機前の水樹)さがった。しかし物価の上昇は十分でない(上昇率1.3% 目標は2%)。新興国の通貨安、原油など商品康が懸念される。ドル高―米国競争力低下懸念。新興国の減速+米輸出低下。各国中央銀の政策と齟齬(欧州は追加金融緩和2015/12/03  日銀も追加緩和観測くすぶる)
 
イエレン議長は緩やかな金利引き上げを強調()0.25%の利上げが年4回)…一定のペースの利上げには懐疑的とされる。巨額の資産(国債や住宅ローン担保証券など 約4兆5000億弗2007年末1兆ドルの5倍 )は保有し続けるとして、資産圧縮・・・引き締め圧力を否定。


2014年10月29日 FRBはQE(quantative easing)3の終了を発表した。QE3に伴う資産購入(多いときには月850億ドルベース 現在は月150億ドル)を10月一杯で終了するなど(FRBの資産規模は危機前の5倍 GDPの4分の1の4.5兆ドルに増加)。米雇用市場の見通しに十分な改善が見られたとのこと。他方、ゼロ金利政策については相当期間維持するのが適切だとした(金利を引き上げることでドル高が進むことを懸念したとも ドル高は企業業績ニマイナスだがガソリン価格の面では個人消費にプラス)。すなわち金融政策のフォワードガイダンス(政策の時間軸)を変更しないとした。
 2014年12月17日の記者会見でイエレン議長(夫はノーベル賞学者のジョージ・アカロフ氏)は利上げ時期(検討時期は2015年4月以降)を辛抱強く待つbe patientとした。金利引き上げを先延ばしすることで市場に安心感を与え、株高はなお続くと思わわる。このような金融政策の先行きを示す発言は「フォワードガイダンス」として、量的緩和とともに導入され新しい金融政策の在り方を示している。量的緩和についてはすでに2014年10月に終了。資産規模は維持するとのこと。
 同様に2015年1月25日には「利上げに忍耐強くなれる」との声明を堅持。3月のFOMCに次の判断をゆだねた。背景には原油安による物価低迷や企業業績の先行きへの不安がある。背景には日欧から米国に資金が流入。米国の長期金利が低下していることがある。他方、金利上昇を読む米国の投資家は先物売りにでている。低金利の継続による投機化=リスク投資の拡大を懸念する意見もある。債券価格、株価、不動産価格など。それらが資産効果から富裕層を中心に個人を潤し消費が刺激される面もある。原油安で物価があがりにくいのは日本と同様。低インフレ率が続く見込み。


 2011年6月22日に米連邦公開市場委員会FOMC 2010年11月3日にFOMCが導入した国債大量購入(総額6000億ドル)による量的緩和第2弾の6月末終了を改めて確認した。同政策については
 過剰な金融緩和で金余りを招いた批判が当初から絶えなかったほか → 世界的な金余り 国際商品相場高騰の引き上げにつながった。
 現在ではデフレよりはインフレ懸念が強いとして、金融緩和政策の転換を求める意見があった。また景気が回復しにくいのは、住宅などバブル崩壊によるバランシシート調整中のため、住宅価格下落が家計消費の足をひっぱっているとの分析もあった。住宅価格の下落は続いており、失業率は9%台に高止まりしている。他方で、2011年5月ー6月の経済状況はあまり芳しくなく、金融緩和から離れることへの懸念も強い。
 事実、政策転換が伝わってからの株価低迷 4月29日の最高値のあと5週連続で下げており、金余りで株価高騰との見方はあたっていない。
 食品エネルギ除くコアで前年同月比1.5%上昇が示したことに見られるように、物価上昇懸念がある。
新興国の経済混乱と米FRBのフォワードガイダンス
先進国の金融緩和政策と過剰流動性

 日銀は2001年に導入した量的緩和を2006年に解除.当座預金をわずか数ケ月に元に戻す荒療治を行い 消費者物価上昇率はこのことを契機にマイナス化した。景気回復の芽を摘み、日本経済を奈落に突き落とした。日銀による政策的失敗の一つである。この失敗が、FRBが2014年から2015年にかけて量的緩和からの脱出を慎重に進めている理由とされる。


 ここで2008年9月のリーマンショック以降、米連邦準備制度FRBが取った政策(非伝統的政策)を確認してみよう。

2008年9月 リーマンショック
2008年12月 FRB事実上のゼロ金利政策導入
2009年3月  ERBが国債買い取り政策 MBSに加え米国債購入決定 3000億ドルの国債購入等を決める これを量的緩和第一弾QE1と呼ぶ。
2009年6月 米経済底入れ
2010年2月18日 FRB 公定歩合引き上げ0.5%から0.75%へ
2010年3月16日 米FOMC FF金利の誘導目標年0-0.25%据え置き決める MBSや政府機関債の購入の3月末の原則終了を確認
2010年1-3月 実質経済成長率3.7%
2010年3月末 政府機関債やMBSの買い入れを終了(QE1の終了)
2010年4月28日 米FOMC FF金利の誘導目標年0-0.25%据え置き決める
2010年4月末 ギリシャ危機
2010年6月 民需主体の自律的回復が進むとの認識示す
2010年4-6月 実質経済成長率1.7%に低下
2010年8月 景気鈍化 デフレ懸念(コア指数が1%切る水準で低迷)の高まり 金融緩和路線に戻る
2010年8月10日 日本銀行 追加緩和見送る失策を犯す
2010年8月10日 米連邦公開市場委員会FOMC MBSなどの償還資金を米長期国債購入に充てる方針決める

日本政府 為替介入の再開(2010年9月15日)
2010年7-9月 実質経済成長率2.6%(雇用を確保しデフレを避けるには3%必要とも)
日本銀行による包括的緩和策の決定(2010年10月5日)
2010年10月5日 日本銀行が包括緩和を決定
米FRBによる追加的金融緩和策の決定(2010年11月3日)

2010年11月3日 米連邦公開市場委員会FOMCが 国債大量購入(総額6000億ドル)による量的緩和第2弾が決定(QE2)
      追加的金融緩和策 購入期限2011年6月末 毎月750億ドルのペース 長期金利の提位安定目指す
      2008年12月 ゼロ金利政策導入
      2010年11月の失業率は9.8%  前月比0.2ポイント悪化
2010年12月 失業率下がったがなお9.4%(4割以上は6ケ月以上の長期失業)
ガソリン価格1ガロン3ドル(2008年10月以来2年2ケ月ぶりの高値 2008年夏にも4ドル台に高騰)
2011年10-12月 実質経済成長率3.2%増(3%超えが失業率本格改善の条件) 3%超えは3四半期ぶり
2011年1月 新興国から米金融緩和が商品価格が押し上げインフレ要因になっているとの批判高まる
      ドルの信認低下につながるとの批判もある
      緩和 米国の長期金利低下 新興国での資産価格急騰 
2011年3月 3月の失業率は8.8% 前月比0.1ポイント低下 失業率の改善は4ケ月連続
      3月の鉱工業生産指数は93.6 前月より0.8%上昇 5ケ月連続のプラス
      3月の消費者物価指数は前月比0.5%上昇 エネルギー食品除くコア指数は0.1%上昇(1-2月は0.2%上昇)
2011年1-3月 実質経済成長率年率1.8%増 前期の3.1%増から減速
2011年4月 FRB 6000億ドル規模の国債買い入れを6月末で終了する方針(4月下旬FOMC)→金利上昇リスクの指摘あり
      FF金利の誘導目標0-0.25%は据え置く
2011年4月 住宅着工件数 年率換算52万3000戸 前月比10.6%減少
      新築販売戸数 年率換算32万3000戸 前月比7.3%増加(プラスは②ケ月連続) 前年同月比では23.1%減少  
2011年4月27日 バーナンキ議長が初の定例記者会見 償還期限がきた国債や住宅ローン担保証券の再投資を続け保有証券の額を維持すると言明(引き締めを急がない)
2011年5月上旬 株価天井を打ち下げへ(2010年8月以来の上昇局面の終了)
2011年5月 米長期金利の低下 10年物国債 終値ベース3.14%(5月16日 4月上旬の3.6%近くから低下)
      商品相場の急落 景気への警戒感から投資マネー債券市場に流れる
      住宅市場の懸念続く
2011年5月 米小売売上高 前月比0.2%減少 マイナスは2010年6月以来11ケ月ぶり ガソリン高 雇用情勢の改善の遅れから個人消費下振れか
2011年6月上旬 ダウ工業株1万2000ドルの大台回復
2011年6月半ば 景気回復懸念から5月以降 中国経済の減速懸念 株価下落傾向

2011年6月22日に米連邦公開市場委員会FOMC 2010年11月3日にFOMCが導入した国債大量購入(総額6000億ドル)による量的緩和第2弾の6月末終了を改めて確認した。同政策については過剰な金融緩和で金余りを招いた批判が当初から絶えなかったほか → 世界的な金余り 国際商品相場高騰の引き上げにつながったとの批判がある。QE2の終了
  QE2:景気刺激とデフレ圧力の緩和になった半面 ドル下落にもつながった(ドル安も政策目的だったとも指摘されている)
  ゆるやかなドル安は許容範囲 しかしドルの急落はインフレ招き好ましくない 国際商品価格の上昇につながったとの理解もある
  2011年4-6月 年率換算で実質成長率は1%(2010年の2-3%から鈍化 食品・エネルギーを除く個人消費支出のコア価格指数は2.2%)
インフレ懸念から追加的金融緩和QE3には動きにくい
2011年8月には(2011年8月9日 FRBがFOMCで決定)
当面の政策金利年0-0.25%は据え置き
FRBは2013年半ばまで超低金利が続く可能性が高いと宣言すること(8月9日)で、時間軸政策をうちだした。

2011年9月には(2011年9月21日 FRBがFOMCで決定)
長めの金利を押し下げるため 長期の国債を買い短期の国債を売るツイストオペレーション(2012年6月末まで期間6-30年の長期国債を4000億ドル買う一方 3年以下の国債を同額売るというもの)に乗り出した
 ⇒ FRBの資産規模は変えない 保有国債の平均残存期間伸びる効果 長期債 短期債の利回りが接近する効果 ⇒ 投資刺激効果には疑問(限定的)も(すでに米10年物国債は2%下回る歴史的低水準)
(⇒ 家計の債務負担軽減、家計債務調整は政府支出拡大を嫌う共和党の反対で進まない)
政府機関債、MBSの償還元本をMBSに再投資する
時事上のゼロ金利政策の継続
超低金利政策を2013年半ばまで続ける可能性高いと明示(時間軸政策)
⇒ QE3は打ち出せなかった(金融政策手詰まり)
2011年11月2日 FRB FOMCで金融政策の現状維持決める(2011年7-9月の実質経済成長率は前期比年率2.5% 景気後退リスク遠のいた)
2012年1月 FRB 数値目標定める 
2012年9月 期限を定めずMBSの購入決定(QE3)
2012年12月 米国債の購入も決定(QE3強化)
2013年12月 QE3の縮小決定
2014年10月 QE3の終了決定


0riginally appaeard in June 27, 2011
Corrected and reposted in February 15, 2015 reupload at Dec.22, 2015


現代の金融システム

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