Entrance for Studies in Finance

VW スズキの資本提携と解消 (2009年12月ー2011年9月)

スズキとVWの資本提携と解消 2009年12月ー2011年9月
2009年12月に資本提携 スズキがインドで5割のシェアをもつように、欧州最大手VWが中国で約2割のシェアで首位(スズキのインド進出と似て進出時期は1980年代に外資として初めて中国に参入)、ブラジルでも2位と強い。VWとすれば19.9%を出資(2200億円を投資 スズキは1.5%出資) 新興国での主導権・環境対応車の開発(VWはハイブリッド車 電気自動車開発 二酸化炭素排出量少ないDE開発進める)に狙いか 両社は補完関係にあるとされ、強者連合とも評価された。
 しかし経営支配をもくろんでいるとの警戒感がスズキにあったとされる(VWがスズキをグループ企業と位置付ける姿勢を表明したことに反発)とくに2011年3月に出したVWの年次報告でスズキを連結対象として傘下企業としたことは決定的とされ、他方2011年9月11日 VWもスズキによるフィアットからのでイーゼルエンジン調達を提携合意違反だと表明。両社の決裂は決定的になった。
 2011年9月12日 スズキはVWとの資本提携解消を申し入れた。スズキ株は値下がりでVWとしては投資額の回収問題も浮上している。
 スズキ 相手の技術情報が十分に得られなかった 改善を求めたが実現しなかったというが、クルマ作りの思想に隔たりが大きかったとされる。またスズキがてがけるOEM車にVWの技術を使えず事業が制約される。
現状ではスズキ株が値下がりしているため、今後 提携解消が円滑に進むかが注目されている。

 もともとスズキはすでに提携関係を数多くもっていたが、後日問題になるデーゼルエンジンDEの供給についても提携時点では(ルノー、プジョーシトロエン、フィアット3社からの調達から)VWへの調達一本化がスズキ側により語られていた(2010年1月時点)。VWはハイブリッド車 電気自動車の技術供与の見返りとして小型車づくりのノウハウ インド市場での共同配送などを検討課題として上げたとされる(2010年3月時点)。しかしスズキはドイツオペルに完成車供給 フランスルノーからエンジンの供給受けるなどの提携関係にあり、とくにイタリアフィアットとは2005年に提携 車両の共同開発・エンジン生産での秘術支援などで実績があった。こうした多様な提携関係の中で、VWとの資本提携がかえって事業の制約になることと、そもそもクルマヅクリの違いを埋めきれなかったという。2011年6月 フィアットは2012年にも欧州で新形DE(1600cc級 2-3万規模)のスズキ向け供給を始める。スズキはハンガリー工場で組み立てるフィアットとの共同開発車SX4に搭載予定。このほかスズキはフィアットが開発したDEをインド工場でライセンス生産中。

このほかうまくゆかなかった資本提携の事例
ダイムラーによるクライスラー買収とその破たん(1998-2007年)
1998年 ダイムラーベンツによるクライスラー買収 うまくゆかず2007年ニダイムラーはクライスラーを売却。
ダイムラーは三菱自動車との提携でも失敗(2000年に三菱自動車に資本参加 2004年4月 支援打ち切りを決定)。
クライスラーは2009年に破産。その後 フィアットが出資して再建。2011年5月 フィアットは米政府持ち分(6%)を買い取り出資比率を46%から52%にたかめり、子会社化する意向を示した(再上場するか完全子会社にするかは未定 なお2011年6月末に米国政府およびカナダ政府からの借入金を返済した なおフィアットはクライスラーへの持ち分25%を2011年4月12日に30% さらに第2四半期中に46%と急ピッチで拡大した 生産規模を拡大 車台共通化によるコスト削減が差し迫っているようだ)
2010年4月 ダイムラーは、ルノー 日産との資本提携を発表 ダイムラーはVWに比べ小型車で出遅れ新興国遅れる 他方ルノーはVW(傘下にアウデイ)に比べ高級車で遅れる 他方でダイムラーの乗用車部門がメルセデス・ベンツ もちろんこれはよく知られたドイツの高級車ブランドである。
 メルセデスベンツの現在の価格帯
 BMWの現在の価格帯

三菱自動車とPSAの資本提携破談(2009年末に交渉本格化伝わるも2010年3月に正式に破談)
 ダイムラーは三菱自動車との提携でも失敗(2000年に三菱自動車に資本参加 2004年4月 支援打ち切りを決定)
 三菱自動車は三菱重工業 三菱商事への優先株割り当て(4400億円)で切り抜けるが三菱G各社にとって三菱自動車の支援は負担
 2005年 PSAへのSUVのOEM供給で合意
 ロシアに他の日本車を上回る販売拠点あり(PSAと合弁でロシア2工場建設 2012年供給開始見込む)
三菱自動車は2009年に独自開発の電気自動車アイミーブを他社に先駆けて販売開始(2009年6月に量産開始 発売開始2009年7月 2010年にもPSAに供給開始)
 2009年末 PSAとの資本提携に向けて協議本格化(PSAの生産規模は三菱の3倍)
 2010年3月 PSAが出資見送りを公表(業務提携は維持 電気自動車の供給は2010年末までに開始)
 2010年4月 PSAに小型SUV RVRを2011年後半から供給で合意
 2010年10月 商用電気自動車の2011年中発売開始を発表
 2011年11月 中国大手の広州汽車と折半出資の2011年中の合弁会社設立で合意
 三菱自動車は 優先株処理問題(4400億円) 累積損失問題(2011年3月期末で9482億円) などの財務上の問題を抱えている

 その後電気自動車は日産が2010年に日米で発売開始
 その日産へは2003年10月から軽自動車の供給を開始
 2008年11月には日産から三菱に小型商用車ADバンの供給開始
 2010年10月両社は軽自動車の共同開発(新会社設立)で合意
   開発負担の軽減 相互OEM拡大に狙い 両社は車種の偏り是正して国内生産台数拡大を増やす方針

逆にうまくいった事例(日産とルノーの提携 1989年ー)
1999年 日産とルノーの資本提携 部品共通化・共同購買 車台共同開発 電気自動車の共同開発で成果があがったとされる
 ルノー → 日産 44.3%
ルノー ← 日産 15%
 ルノー日産連合 
 連合でロシアの最大手アウトワーズ買収(2011年中 2011年6月公表 50%以上)
ダイムラーと提携交渉(2010年春に表面化 日産 ルノー ダイムラーで3%程度相互出資)
 ルノー日産持ち株会社検討
 ルノーは アウトワーズに25% 韓国でルノーサムソンに80.1% ルーマニアダチアに99.4%


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