Entrance for Studies in Finance

Notes on Japanese Securities Markets (2008-2009)

日本証券市場年譜(2008-2009)

2008年1月5日報道 東証上場会社数2414社(2007年末)2006年末に比べ2社減少 減少は1978年以来29年ぶり 2007年の新規上場68社(株価低迷 上場審査の厳格化) 上場廃止は70社(企業再編など 完全子会社化45社)全国の上場会社数は3981社で18社増加
2008年1月11日 東証上場制度整備懇話会が無議決権などに関する提言を公表 無議決権株だけを上場する制度を設ける方針
2008年1月12日報道 金融商品取引法(07年9月全面施行)改正案の概要 取引所の株式を20%以上取得する投資家を金融庁が認可する これまでは認可対象を地方公共団体に限定して50%まで認める(村上ファンド問題をふまえ2006年6月の金融商品取引法で実現 その他政令で定めるものに海外の証券取引所を入れる方法もあった) 今回は持株会社傘下の取引所について外国取引所の限り50%未満まで容認とする このほか 金など商品と交換可能な新型投資信託 参加者をプロに限定した市場について法律に基づく財務諸表開示規制を免除する
2008年1月22日報道 世界の株式時価総額は2007年末で60兆1000億ドル(約6400兆円)に達した。年間の増加額は約10兆ドル。なお06年の世界のGDPは48兆3000億ドル
2008年2月29日報道 東証(2001年11月 会員型組織から株式会社に組織変更) 4月にも排出権取引市場の創設を検討するための研究会を立ち上げる
2008年3月10日報道 全国 新規株式公開 2007年度は99社(1998年度の93社以来の低水準) 2006年度は187社(過去最高は2000年度の198社)の47%減 2007年度夏以来の新興株の低迷 上場後公募価格割れが3割(06年度の2倍) 08年度から金融商品取引法による内部統制報告制度始まり内部管理体制の整備に伴う人材確保による経費負担増も
2008年3月25日 東証 2008年度から3年間の中期経営計画を発表(デリバテイブ取引を07年度の倍に ETF(01年7月売買開始)の銘柄数を現在の3倍の100に プロ向け市場の創設 排出量取引市場の創設 次世代高性能システムの稼動 株主保護のための情報開示の強化)デリバ強化はアジアの証券取引所に共通した動き香港証券取引所でも金の先物取引の再開 排出権取引導入を検討など
2008年4月19日 東証 マザーズ(1999年10月開設)に上場(2000年10月上場)するオーベンを上場廃止 大株主経営陣の頻繁な交代 株式交換による買収 不明朗な第三者割当増資繰り返す
2008年4月22日 東証市場運営委員会がマザーズ見直し案を了承 投資家の信頼をうしなった企業について上場廃止基準を厳格にする 年2回以上の会社説明会の開催義務付け 内部管理体制に関する審査を緩和したり 上場基準を緩和(背景には2007年末に大証がジャスダックを傘下におさめ、マザーズの5倍の1000社以上の上場企業を擁するうようになったことへの危機感)
2008年4月25日報道 東証 無議決権株(会社法上は発行済み株式総数の2分の1以下に制限) 上場する際の株主保護策(TOBで株主構成の大きな変動が生じたときや一定期間を経た場合、無配が継続した場合などに議決権が生ずる=普通株に転換できるなど)の策定と開示義務付け 7月にも上場規則整備へ
2008年4月27日報道 東証 親子で上場している場合 子会社に対して上場の必要を投資家にせつめいするように求める 上場の必要性や合理性 支配株主以外の少数株主の利益が損なわれるのを防ぐ 上場子会社の経営の独立性と透明性高める
2008年5月28日報道 東証 株主利益害する企業行動を問題視 経営実態や財務実態が明らかでない内外のファンドなどに第三者割当増資をすること 大量の新株・新株予約権の発行で一株当たり利益を薄めるなど既存株主の利益を損なうこと 上場子会社の役員の大半が親会社出身者であるなど独立性に疑問があること 議決権の大半をオーナーが握っている企業が買収防衛策を導入すること 買収防衛策を横並びで導入すること など
2008年5月28日報道 東証 5月27日に 東証は未上場の企業をおもな投資先とする買収目的ファンド、商品相場に連動する指数連動型上場投信などが上場できるように上場制度を整備すると正式発表
2008年6月10日報道 東証 投資の最低金額が50万未満の社数が2025社となった。上場会社数2390社の84.7%、1年前に比べ225社増加。過去5年の調査で最高水準。<売買単位の引下げ><株式分割><株価低迷>が効果。2007年の売買単位引下げは21社(2007年10月現在 全取引所ベースで売買単位の分布は 1000株43.4% 500株2.1% 100株35.6% 1株17.5% その他1.4% 東証ほかの証券取引所では2008年4月から100株に集約する方針)。大幅な株式分割は46社。
2008年6月16日 東証でミニTOPIX先物上場(TOPIX先物は1988年9月開始 すでに大阪証券取引所が06年7月にミニ日経平均先物を上場 1988年9月開始の日経平均先物より現在では売買高大きい) 個人のデイトレが中心 
2008年6月30日 東証 金価格に連動する上場投信を上場(最低投資金額50万程度 2007年8月に大証がすでに先行上場 こちらは金価格と連動する債券 最低投資金額3万程度 また東京工業品取引所では金先物ミニ取引を2007年7月に開始)
2008年7月27日報道 世界の株式時価総額 6月末で52兆6000億ドル(5600億円)2007年10月末にくらべ10兆ドル 2007年末にくらべて8兆ドルの減少 WFEの統計(ロシア ベトナムなどが入っていない)
2008年8月19日 東証 アジア・メディア株(主幹事 野村證券 2007年4月 中国本土企業として初めて東証マザーズ上場 なお東証一部には07年7月にチィイナ・ボーチーが中国本土企業で初めて上場 香港系企業としては1997年にヘンダーソン・ランド・デベロップメントが東証一部に上場 2004年に新華ファイナンスがマザーズに上場)の9月20日付け上場廃止を発表(8月20日より整理銘柄に指定) 前CEOによる資金の不正流用の発覚 監査法人が財務諸表への意見表明見送り
2008年8月14日 ジャスダック市場の時価総額が約4年半ぶりに10兆円割れ 個人の見切り売り・新興市場離れが浮き彫り
2008年8月21日 東証一部時価総額 3月31日以来約5ヶ月ぶりに400兆円割れ 397兆円 
2008年8月27日報道 東証は年内にも上場企業の買収防衛策に対する新たな規制ルールをつくる(情報開示の徹底により経営者の保身目的の防衛作導入・発動を制限 現在の開示は形式的と判断)
2008年9月30日 ジャスダック市場でトランスデジタルが上場廃止
2008年10月1日報道 世界の株式総額は2009年9月末に42兆ドル前後に減少したと思われる 2007年10月末にくらべ21兆ドル(2100兆円)前後目減り
2008年10月13日報道 政府・日銀は2002-06年に大手銀行などから買取った株式の市場売却を当面凍結した。取得額は02年-06年に購入した銀行等保有株式取得機構が約1兆6000億円 02年11月-04年9月末に購入した日銀(購入枠3兆円)が約2兆円。2006年度以降売却開始。08年3月末の残高は機構が約5000億円。日銀が約1兆4000億円。売却凍結明示で心理的な押し下げ圧力を除く方針と見られる。
2008年10月27日 ジャスダック市場でプロデュースが上場廃止
2008年11月9日報道 東証上場外国企業数は2008年末までに19社に減る見通し(1985年以来の低水準 1991年のピーク時に127社 新規上場は2003年以来5年ぶりにゼロ 他方上場廃止は6社 日本語の目論見書 監査料などが負担 売買高少ない)
2008年11月15日報道 全国上場企業 経営破たんは29社(戦後最多の2002年に並ぶ)
2008年11月18日報道 全国 新規株式公開企業数急減 2008年は50社程度か(想定は47社 1992年の26社以来の低水準 2007年は121社) 株価低迷の影響 上場にかかる費用の増加 2008年金融商品取引法による内部統制報告制度も負担 2009年1月からの株券電子化も影響
2008年11月26日報道 商品取引所法(商品取引所の5%を上回る議決権保有を制限) 金融商品取引法(証券取引所の20%を上回る議決権保有を制限) 改正(2009年1月に通常国会に提出見通し方針) 両取引所が持株会社を設立 東京工業品取引所も2008年12月に株式会社に変わる 東証は2008年春に2009年内の上場を表明 経営統合に踏み切りやすくする 2010年施行目指す
2008年12月18日報道 自民党 銀行等株式保有制限法改正案の議員立法を検討 銀行等保有株式取得機構(民間金融機関の共同出資 2002-2006年 政府保証で購入資金を調達 保証枠2兆円) 保証枠を2兆円から20兆円に拡大 銀行保有株だけでなく事業会社のもつ銀行株を買取り対象に含める方針
2009年2月3日 日本銀行 銀行保有株の買入れ再開を政策委員会で正式決定 最大1兆円 2010年4月までの時限措置 トリプルBマイナス相当以上の上場株式 取引が年間200日以上成立した銘柄であること 対象は地方銀行を含む23行 機関ごとの買取り上限2500億円 2012年3月末まで保有 17年9月までに売却
2009年2月24日 日本政府 株価対策追加対策の検討始める(銀行等保有株式取得機構の購入対象資産拡大 銀行の保有株・持合株→市場に流通する株式・株価指数連動上場投信ETFに拡大 市場から直接購入 取得資金は政府が元利払を保証して民間銀行から調達 政府の返済保証は20兆円まで)
2009年3月4日 銀行等保有株式取得機構再開の立法が成立
2009年3月12日 銀行等保有株式取得機構 買取り再開
2009年4月 東証上場制度整備懇談会「安心して投資できる市場環境等の整備に向けて」と題する提言発表 上場企業が第三者割り当て増資を行う際に順守すべき規範の方向性示す ①増資の必要性と相当性を株主に十分説明すること ②希釈率300%を超える不当な割り当てについては審査手続きにより未然に防止すること ③希釈率25%を超えるものや支配権の移動を伴うものは、株主の納得性を増すための手続きを求めること ④反社会的勢力の関与を排除するため割当先を確認する手続きを設けること ⑤支配株主の異動があった場合に不当な取引の有無を事後的に確認する手続きを設けること ⑥払い込み金額の算定根拠の開示 監査役意見の開示など適法性を担保するための必要な開示を求めること ⑦割当先の資金手当てについて確認と開示を求めること
 第三者割当増資は、有価証券届出書提出義務がある公募増資に比べ情報開示ルールが不十分だったが取引所はこれまでこの問題に踏み込めなかった。財務基盤が弱まった企業の生き残り手段→規制強化には企業の退出を促す意味がある
2009年4月9日 与党 資本市場危機対応機構の新設を決定
2009年4月27日 資本市場危機対応臨時特例措置法案(議員立法)が衆議院に提出される(資本市場危機対応機構を設立 50兆円の政府保証枠 発動基準 株価暴落時に東証1部の時価総額で最大2割を買取る 数値基準 PBRが1を大きく下回る かつ PERが10-20倍を下回る 流動性の低下から売買回転率が1992-1993のように2割程度まで下がる 発動基準に疑問 市場機能を阻害する副作用など) 4月末提出されたものの その後の株価持ち直しで審議入りしないまま廃案に
2009年5月19日 東証 上場制度の整備方針を公表(300%を超える希釈率を伴う第三者割当増資を上場廃止の審査対象にする 順守事項に反社会的勢力の関与の排除 25%以上の希釈率の第三者割り当てについては外部の有識者(外部機関)の意見をきくことを義務付け)
2009年5月下旬 日本証券業協会 新興市場の活性化策まとめる 上場廃止基準の厳格化 内部統制ルールの適用緩和
2009年6月3日報道 相場好転で時価総額が取引所ガ定める基準を下回ることで猶予期間入りしている企業数が減少している。6月2日現在全国上場企業で11社。1ヶ月前より14社減少。
東証一部二部は6億円以上 ジャスダックとマザーズは3億円以上。月間平均と月末の時価総額が基準未満になると猶予期間に入り9ケ月以内に回復しないと上場廃止。事業改善計画を提出しない場合は猶予期間は3ケ月。
2009年6月4日報道 重複上場の解消が加速している 2008年1年間の解消企業21社に対して2009年は2009年6月3日までに28社が解消。
2009年6月12日 日経平均一時1万円回復
2009年7月1日現在 東証上場企業2364社(一部1715社 二部457社 マザーズ192社 外国会社は一部に14社 マザーズに2社の計16社)。2009年6月末までに上場廃止38社 1961年の調査以来最多(これまでの最多は青木建設や新潟鉄工が破綻した2002年前半の35社) 上場廃止理由 経営破たん 株式交換で完全子会社になる 有価証券報告者の提出遅れ・虚偽記載など 財務悪化が12社(パシフィックHなど) 親子上場の解消14社(セイコーエプソンなど) 時価総額基準抵触は1社(モック) 上場廃止相次ぐことは市場の活気が失われる一因ともされる
 なお2009年6月末時点のジャスダック市場上場企業数は894社。2007年末比で82社減。ジャスダックは04年末に取引所に移行。新興3市場での上場企業数の割合は7割。売買高シェアは他の新興市場におされ低下して4割と苦戦。マザーズがネット関連が多いのに製造業系企業が多いことに特色。大証が2008年末のTOBで76%の株式を保有。2009年9月末にジャスダックのシステムを大証に統合。2010年4月にジャスダックを合併。10年秋にはヘラクレスとジャスダックの市場統合を予定。 
2009年7月6日報道 野村證券 2008年度末の上場子会社数398社 全年度末より14社少ない グループ再編 企業価値向上 親会社が上場子会社の全株式を取得する例増加
2009年7月29日 東証取締役会 上場規則改正案まとめる(上場企業の罰則 これまでは企業名の公表が基本 → 企業名の公表 違約金の徴収 改善報告書の提出 東証が年1回内部管理体制をチェックする特設注意銘柄に指定)(発行済み株式数の25%以上3倍未満の第三者割り当て増資では外部の有識者に客観的な意見を求めることなどを義務付け)
2009年8月 東証 上場企業の第三者割り当てに関する新ルール導入

Written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author.
Originally appeared in July 29, 2009.

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