Entrance for Studies in Finance

Blindness (2008)

Julianne Moore主演のBlindness(2008) Fernando Meirelles監督を観た。伊勢谷友介と木村佳乃の2人が演じる日本人夫婦やその日本語の会話が重要な役割を担っている。舞台になる国も都市も架空のもの。お話は突然失明症が始まるが、それが伝染症であり人々が失明してゆくというもの。感染の経路など細部に疑問は残り、お話そのものが不条理なのだが、もしそうなるとしたらどのような状況が展開するだろうかという興味で見せる場面は多い。ところでこの映画を見ていて同じJulianne Moore主演のForgotten(2004)を思い出したのはなぜだろうか。Forgottenは主人公の亡くなった子供との記憶を周りの人間が否定を始めるというお話。Forgottenも常識ではとても不条理な筋書き。不条理性という点でたまたまこの2本は似ている。ただForgottenについては、最後の結末から、映画を作った人間は大真面目につくったのか。あるいは観客をからかっているのか。観終わったあと迷ったことを思い出す。その点で、Blindnessは、不条理な極限状況に追い込まれた人間の反応というテーマを正面から描いていて、製作意図はわかりやすい。Blindnessのもうひとつの切り口は、伝染病の蔓延で社会が追い詰められ、その中で主人公が一人で戦うという設定。この切り口は、i am legend (2007)と似ている。疫病の蔓延で社会が追い詰められる想定というのは、中世の14世紀にはペストの大流行を経験し、あるいは19世紀にもコレラの流行を経験し、その度に患者の隔離や悲惨な結末を経験した欧米社会に根強いトラウマかもしれない。
Written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author.
なお伝染病が国際的に流行する現象をパンデミックといい、その防止は近年の話題でもある(地域的伝染はエンデミック、少数の国の間の流行はエピデミックという)。2002年冬に中国広州市広州で始まり2003年夏に収束宣言の出されたSARS重症急性呼吸器症候群の拡大はパンデミック寸前のものだったとされている。また2009年にはメキシコで新型インフルエンザの流行が始まり、日本国内でも感染防止対策やパンデミックへの移行が話題になった。

blindness trailer hd

2010-03-15(2016-05-31更新)

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「Cinema Reviews」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
2024年
2023年
人気記事