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司法のAI活用は可能か?

2024-07-18 21:51:24 | 日記

生成AIルール追い付かず

人工知能(AI)を使って文章や

画像を自動作成する「生成AI」。

 

その革新的な技術を使ったサー

ビスが、成長産業として加速度

的に広がる中、社会のルールが

追いついていない現状が浮き彫り

になっている。

 

例えば、

「著作権は誰に帰属するのか?」

「資格を必要とする業務を委ねる

 場合、法に触れないのか?」

このように、従来の枠組みが翻弄

される状況に、有効活用に向けた

指針の再構築が課題となっている。

 

司法のデジタル化、指針策定

司法のデジタル化は、

法律相談など活用を期待する、

といったプラス面、

一方で、弁護士法抵触の恐れ、

といったマイナス面、

がある。

 

そんな中、現在も紙資料が主流

の司法業界に、デジタル化の波

が寄せ始めている。

 

民事裁判をIT化する

「改正民事訴訟法」

が1昨年成立したのを

機に、デジタル技術を

活用した司法関連サー

ビスを提供する

「リーガルテック」

企業が登場。

 

成長分野として注目され

ているが、既存の制度と

の衝突や混乱を招く恐れ

もあり、法務省は

「リーガルテック」

に関する指針の作成を

急いでいる。

 

生成AIを活用した法律

相談のイメージを以下に

示すと、

<日本の法律では、

 配偶者から受け

 た言葉の暴力に

 よる精神的苦痛

 が重大である場合、

 離婚の原因となる

「精神的不和」に

 該当することが

 あります。>

パソコンの画面に

<離婚を考えています>

<パートナーからの言葉

 の暴力がひどい>

と打つと、上記のように

法律の専門家のような

メッセージが返ってきた。

 

対話型AI「チャットGPT」

を法律相談用に調整した

サービスで、過去の100

万件以上の相談内容を読み

込み、新たな質問に対する

回答を編み出しているので

ある。

 

また、同時に弁護士業務を

手助けするサービスも拡大

している。

 

具体的には、契約書の

「AIレビュー(審査)」

支援サービスで作成中の

契約書をシステムに読み

こませると、

<損害賠償の上限額は

 定められていますか?>

など、注意するポイント

が表示される。

 

人間が見落としがちなミス

を見つけてくれることで、

業務を効率化できるので

ある。

 

先進的なビジネスを担当

する政府の規制改革推進

会議の部会が1昨年、

成長産業としてヒアリング

対象とするなど、国からも

注目される、

「リーガルテック」

このサービスは、将来的には

準備書面の下書きや判例など

の下調べを担い、弁護士業務

の効率化に貢献できるように

なるだろう。

 

一方で、課題もある。

 

弁護士法では、弁護士資格の

ない者が報酬を得て具体的な

法律相談を行うことは、

「非弁行為」

として禁じられている。

 

一般人相手に有料で裁判書類

を作成するなど、

「リーガルテック」

のサービス内容が弁護士業務

に近づくほど、非弁行為と

判断される可能性は高まる。

 

法務省によると、既存のサー

ビスが明確に法律に反して

いるとする報告は、現在は

ないが、将来を見越し、

「リーガルテック」

に関する法解釈を整理する

指針の策定を進めている。

 

同省の担当者は

「リーガルテックは業務効率化

 による法務人材の人手不足

 解消にもつながる可能性も

 あり、引き続き注目して行く」

と話す。

 

著作権侵害、米で訴訟相次ぐ

生成AIをめぐる訴訟が米国で

相次いで起こされている。

 

原告は自分の作品が生成AIに

無許可で使用され、著作権が

侵害されたと訴えている。

 

訴訟の行方が生成AIの利用

範囲や著作物の扱いをめぐる

議論に影響を及ぼす可能性が

あり、注目されている。

 

在米アーティストのD氏は、

1昨年仲間と3人で画像生成AI

「ステーブル・ディフュー

 ジョン(SD)」

を開発した英企業を、著作権

侵害で西部カリフォルニア州

の連邦地裁に訴えた。

 

SDは、利用者が作りたい画像

の作風や模倣したい作家名など

を入力すると、SDが「学習」

済みのデータから新たな画像を

生成する。

 

訴状によると、英企業はドイツ

の非営利団体が研究目的で集め

た約60億の画像や文字データの

大半をSDに学習させたが、その

データにD氏の作品が断りなく

使われていたとしている。

 

米著作権法は、教育や研究など

一定要件を満たした場合、

「著作権侵害」に当たらない、

とする「フェアユース(公正な

利用)」を認めている。

 

一方で、ドイツの団体のデータ

を営利企業が利用したのは、

「脱法的」

とも指摘されている。

 

D氏は米紙への寄稿で、

「模倣作品には私の作風の

 特徴があった」

と述べ、補償を求めた。

 

英企業を巡っては米写真配信

大手も昨年、無断で1200万枚

以上の画像を使用されたとして、

東部デラウェア州の連邦地裁に

提訴した。

一方で、米メディアによると、

欧米の規制当局は、利用者が

詳細に指示し、生成AIが作成

した「作品」について、利用

者の権利を認める方向である。

 

人が独自性を引き出そうと知的

な努力を重ねた「作品」に関わ

る権利は、完全にコンピューター

が作った「AI生成」作品とは、

区別すべきだとの議論が優勢だ

という。

 

ただ、AI規制新法の制定へ動く

欧州連合(EU)が原案を2021年

にまとめた際には、SDや対話型

AI「チャットGPT」の利用が、

これほど早く広がると想定されて

いなかった。

 

生成AIを巡る日本の著作権保護に

ついては、AIが学習に用いる

データの保護法制が、他の先進国

に比べ非常に緩いと指摘する

専門家が多い。

 

司法のAI活用、初指針

政府は契約書審査の触法範囲

を示した。

 

その流れを以下に示すと、

政府は1昨年、デジタル技術を

活用した司法関連サービス

「リーガルテック」

に関する指針を初めて公表した。

 

人工知能(AI)を用いて契約書を

作成・審査するサービスについ

て、法律に抵触するケースを

整理し、経済の成長分野として

発展を促す狙いがある。

 

サービスの進展に伴い、指針の

改定も視野に入れている。

 

AIによる契約書審査サービス

などを巡っては、弁護士資格

のない者が報酬を得る目的で

弁護士と同等の業務を行う

「非弁行為」にあたる可能性

がある、との指摘も出ていた。

 

今回の指針では、非弁行為の

可能性があるケースについて、

➀報酬を得る目的で、

➁具体的な法律上の争いがある事件

 に関し、

③鑑定する、

 (法律上の専門知識に基づき見解

 を述べる)ー

という3つの条件を全て満たす場合

だと整理した。

その上で、➀~③すべてに該当

しても、企業に雇われた弁護士が

サービスを利用する場合は問題ない、

とした。

指針に従えば、具体的な法律上の

争いがない状況で作成されること

が多い企業間の一般的な契約書では、

現行のAIによる審査サービスが違法

性を問われることは基本的にないと

見込まれる。

 

一方で、訴訟中の企業との和解契約書

などの場合には、具体的な法律上の

争いがあるため、弁護士法が禁じる

「非弁行為」に該当する可能性がある。

 

会見で法相は、

「リーガルテックの健全な発展に

 繋がると期待する」

と述べた。

「混乱解消」業界関係者は安堵

AIを活用した契約書の審査サービス

を巡り、弁護士法に抵触しない範囲

が明示されたことで、業界関係者は

「混乱が解消される」と胸をなで下ろ

している。

 

法務省関係者によると、1昨年に新規

参入する業者からの問い合わせに対し、

同省が、

「違法の可能性がある」

と回答したことで、既存サービスまで

「違法ではないか」

との風評が広がった。

 

弁護士側からも、弁護士資格のない

AIが関与できる範囲を広げると、

「無資格のブローカーが法律上の

 トラブルに関与する余地ができる」

との懸念が寄せられていた。

 

一方で、政府の規制改革推進会議は、

昨年6月、改革の一環で、リーガル

テックに関する指針策定を提言。

結果として、法務省は業者や弁護士

からの不安の声や、契約書のAI審査

だけで数千以上の企業が利用する現状

も考慮し、詳細な内容の指針を公表

するに至った。

 

将来、裁判書類の下書きも可能!

政府が、今回公表した

「リーガルテック」

に関する指針は、一部の例外

を除き、現在、提供されてい

るAIを活用した契約書の作成・

審査サービスに

「問題はない」

とするものである。

 

とは言え、リーガルテックは

世界的にも発展途上で、今後

は最先端のサービス開発競争

が国内でも本格化しそうで

ある。

 

そんな中、

指針の公表を受け、契約書の

AI審査支援サービスを展開

する弁護士は以下のように

期待を口にした。

 

「新しいリーガルテックに

 企業が挑戦し、利用者が

 活用しやすい環境が整っ

 た。」

司法分野へのデジタル技術

適用を巡っては、以前から

判例のネット検索、

弁護士検索、

などがあったが、最近はAIの

導入事業者がしのぎを削って

いる。

 

その代表例と言えるのが、

AIの契約書審査支援である。

 

契約書を読み込ませると、

<損害賠償の範囲に弁護士費用

 が明記されていません>、

などと指摘し、修正案の提案や、

契約の更新期限を知らせたり

する。

 

これは、主に企業の法務部門で

活用が広がりつつある。

 

現行のサービスでは限定的な

機能が中心だが、

業界関係者は、

「契約書や裁判の準備書面の

 下書き作成、判例の収集・

 分析など、AIを活用する

 範囲が広がってくることが

 見込まれる」

 と将来図を描く。

 

そもそも、司法分野はAIの

活用に親和性が高いとされ

てきた。

 

その理由は、AIの性能向上

には膨大なデータが欠かせ

ないが、判例や学説を中心

に司法分野に膨大な

「文字データ」

の蓄積があるからである。

とは言え、現状は「紙」が

中心であるが、政府は今後、

民事訴訟の全判決文をデジ

タル化し、データベースを

構築する計画を進めており、

環境が整えばリーガルテック

は、さらなる向上が見込める。

 

それ故、法務省幹部は

「国際競争力の向上にもつな

 がるので、成長産業の健全

 な育成に協力して行きたい」

と話す。

 

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デジタル化の未来都市

2024-07-04 02:07:59 | 日記

デジタル化の革新とリスク

人類の繁栄を牽引してきた空間は

都市である。

 

技術や社会を変革し、時代を動か

す原動力を生み出してきた。

 

近年はデジタル技術で都市を刷新

する試みが世界で加速しているが、

そこには新たなリスクが潜んで

いる。

 

現代文明の礎は何処に?

文明は約5000年前に古代メソポタ

ミアの都市で誕生した。

 

文字、暦、数学、法律、車輪、冶金

など現代文明の礎はいずれも都市で

生まれたものだ。

 

なぜ都市が重要なのか?

 

それは人が集まることで、技術や

社会にイノベーション(革新)が

起きるからだ。

 

多様な人々が交流すると異なる

知識が結合し、新たな発想や

技術が生まれる。

 

車輪と馬が結びついて馬車が

誕生したのが典型であろう。

 

都市は産業や経済だけでなく、

文化や学問の中心地でもある。

 

情報の共有と蓄積で教育や医療

も向上し、多くの人を引きつけ、

さらに繁栄して行く。

 

この構図は現代も変わって

いない。

 

都市の形成は、技術革新の

歴史と密接に関わっている。

 

大型帆船が登場した大航海

時代は貿易拠点として港湾

都市が栄えた。

 

産業革命によって農村から

工場に人々が移動し、鉄道

や自動車の普及で都市は郊外

に拡大した。

 

高層ビルが立ち並ぶ近代都市は

鉄骨とエレベーターによって

誕生した。

 

故に、テクノロジーは都市の

興亡を左右すると言える。

 

現代は都市に住む人が急増して

おり、世界人口に占める都市人

口の割合は、2050年までに70

%近くに達する見通しだ。

 

そんな中、途上国で深刻な交通

渋滞や環境汚染が懸念される。

 

また、先進国では地球温暖化

への対応が急務で、省エネで

持続可能な都市への変容が

求められている。

 

こうした都市問題の解決手段と

して浮上したのがデジタル技術

である。

 

インターネットや人工知能(AI)

を駆使し、都市をより効率的で

便利な空間に変える動きが世界

中で広がっている。

 

データの宝庫

都市のデジタル化は、

「スマートシティ-」

と呼ばれる。

 

内容は地域によって異なるが、

日本総合研究所の主任研究員

のA氏は、

「デジタルの技術や道具を賢く

 使って、暮らしやすく、持続

 可能な社会を構築する取り組

 みだ」

と解説する。

 

代表的なスマートシティーは、

全てのものをインターネット

に繋ぎ、都市にセンサーを

張り巡らせる。

 

人の活動や交通、環境、イン

フラ設備などのデータをリア

ルタイムで大量に収集し、AI

で分析して都市全体の機能を

最適な状態に制御する構想だ。

 

例えば、信号の制御で交通渋滞

の緩和や物流の効率化につなげ

たり、電力のデータを省エネや

安定供給に役立てたりする。

 

センサーで大気汚染や災害の発生

を監視するほか、ゴミの量を自動

的に感知して効率的に収集できる

ゴミ箱や、銃撃音を検知すると

警察が急行する防犯システムも

ある。

 

A氏は、

「都市はデータの宝庫である。

 企業や自治体のデータも資

 源として活用すれば、医療

 や産業などさまざまな分野

 で改善策が見えてくる。

 人の生き方も変えるだろう」

と指摘する。

 

欧州や米国では既存の都市を

基盤とするスマートシティー

が多いが、中東や中国では

新たに建設する都市に導入

するケースが目立つ。

 

いずれも経済のグローバル化

が進む中、魅力を高めて都市

間の国際競争を勝ち抜く狙い

がある。

 

現在のところ、日本は出遅れて

いる、と揶揄されている。

 

サイバー攻撃の懸念と現実

スマートシティーは交通事故

や災害を抑制する反面、大き

なリスクを新たに抱えこんで

いる。

 

データ流出や故障によるシス

テム障害の他、最も懸念され

るのはサイバー攻撃による

インフラの連鎖的な被害だ。

 

従来の都市は電力や交通など

インフラを別々のシステムで

管理するが、スマートシティー

では、これらを繋いで全体の

効率化を目指す。

 

このため、どこかに攻撃を受

けると全てのシステムに障害が

波及し、全体の機能がマヒして

しまう恐れが高まる。

 

この脆弱性がサイバー戦争で

狙われる可能性がある。

 

北大西洋条約機構(NATO)などの

サイバー防衛協力センターは

2020年の報告書で、

「スマートシティーへのサイ

 バー攻撃が安全保障上の

 重大な脅威になる」

と指摘し、30年に起こりうる

シナリオを示した。

 

それによると、

「同盟国の首都の大都市が

 サイバー攻撃を受け、

 通信システムがマヒし、

 ネットワークがウイルス

 に感染する。

 ほぼ同時に、行政のコン

 ピューターは機能しなく

 なり、衛星利用測位シス

 テム(GPS)は切断されて

 しまう。

 都市人口の半数で電気と

 水道が止まる中、運河と

 ダムの制御システムが

 ウィルスに操作され、

 大規模な洪水が発生する

 深刻な事態に発展する。」

 

報告書は、

「今後10年間で、欧米の自治

 体の大半がスマートシティー

 を導入するだろう。

 地域を超えてシステムが繋が

 ると、複数の都市が同時に

 被害を受ける可能性が高い」

と警告した。

 

スマートシティーの課題は

他にもある。

 

それは、収集したデータの

権利やプライバシーの問題

である。

 

以前に、企業側が収益確保の

ためデータの利用を拡大しよ

うとして住民側の反発を買い、

計画が中止に追い込まれた

ケースがある。

 

一方で、AIによる省エネは、

スマートシティーの売り物

だが、AIはコンピューター

の消費電力が膨大なため、

それを含めると本当に省

エネになるのかは不透明

である。

 

未来の実験場

スマートティーは「都市OS」

と呼ばれるデータの連携基盤

が重要な役割を果たす。

 

PCでいえば、基本ソフト(OS)

のWindowsに相当するもので、

これを普及させた者が世界の

デジタル都市づくりの覇権を

握る、と言われている。

 

そんな中、つばぜり合いをして

いるのは欧州と中国である。

 

野村総合研究所のエキスパート

B氏は、

「欧州連合(EU)と中国はスマー

 トシティーの基盤技術を標

 準化して輸出したいという

 野望を持っている」

と話す。

 

背景には米国の巨大IT企業に

対抗し、その支配から逃れる

狙いもある。

 

ただ、スマートシティーの

構築には巨額の費用が必要で、

B氏は、

「問題はその投資を回収できる

 かどうかである。

 かなり難しいだろう。」

と強調する。

 

都市づくりは、これまで

建築家や建設会社が手掛

けて来たが、

「スマートシティー」

時代の到来で、IT企業の

影響力が強まる地殻変動

が起き始めている。

 

IT企業は、都市空間をデジ

タル空間に再現することで

支配領域に取り込み、将来

は、都市開発の主導権を握る

可能性が大きい。

 

都市には、

「人口集中による変革」

の利点、

「密集に伴う環境汚染」、

「感染症」

などの弊害、

が古代から常に併存して

いる。

 

新型コロナウイルスの

大流行で、都市の弱点が

露呈し、テレワークの

実施で人口集中が緩和

されたが、

「スマートシティー」

の導入が加速すれば

人口密度が逆に高まる

に違いない。

 

都市は革新技術が投入

される場であり、今後

も、イノベーションの

舞台となることは間違い

ない。

 

人類は直面する課題を

デジタル技術で克服

できるのか?

 

スマートシティーが、

その壮大な実験場に

なることは明確である。

 

 

<未来の都市>

 

深井ITゼミナール

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