「あんたのバラード」は、1977年11月にリリースされた世良公則&ツイストのデビューシングル曲です。シングル売上は50万枚を超え、1978年の「第29回NHK紅白歌合戦」に初出場を果たしました。
この曲はヤマハ音楽振興会の主催による「ポピュラーソングコンテスト」(通称・ポプコン)に送られたカセットテープに収録されてた曲で、面ではなかったそうです。しかも、テープを送付したのが練習スタジオを経営していた楽器店の店員だったそうです。
当時は「ポプコンで落ちたところでバンド解散しよう」とメンバーと約束していたと言う形での参加でしたが、1977年静岡県の「つま恋エキジビションホール」で行われた決勝大会で見事、優勝の栄冠を勝ち取り、「世界歌謡祭」に日本代表として出場し、グランプリを受賞しました。
この世界歌謡祭でグランプリを受賞して約2週間後の1977年11月25日に、「あんたのバラード」が発売されました。
さてさて、共同通信が5月12、13日に実施した世論調査で、財務相は「辞任すべき」との回答は49.1％に達したそうです。その内容は問題発言が相次ぎ、嫌忌する有権者が増えてきているようです。
・「福田(前事務次官)の人権は無しってことですか?」(4月17日)
・「(福田氏が被害女性に)はめられて訴えられているんじゃないかとか、世の中に意見もある」(4月24日)
・「『セクハラ罪』という罪はない」(5月4日)
こうして並べてみると、よくもまあ、世論を逆撫でする主張を順調に積み重ねていけるものだと、逆に感心してしまいます。
これらの発言も聞くだけで嫌なのですが、インタビューなどで取材に応じる際、記者を「あんた」と呼ぶのが、とても嫌な感じに聞こえて仕方がありません。
「あんた記者やってんだからさ、もっとまじめに人の話を聞いて」(3月28日)
「捜査に協力しないという印象には書くなよ。あんたらの書き方は信用できないから」(3月3日)
「〈私のことですから、会うたびに連合の方やら何やらに申し上げてきています。全然おかしいですよ。何であんたの労働組合は民進党をやっている? 我々の方がよっぽど労働組合のためになっているんじゃないですかね〉(1月14日)
過去にはキレ気味でのインタビューを受けた政治家さんもいますが、ほとんどは「あなた」と呼んでいたりします。
「もう二度と来ないでください、あなたは」(今村雅弘・元復興相)
「他人事のようにというふうにあなたはおっしゃったけれども、私は自分自身を客観的に見ることはできるんです。あなたと違うんです」(福田康夫さん)
「廃棄じゃない。全部変えたらいいんですよ、あなた。あなた全文読んだことある?あんなの英文翻訳じゃ70点もとれない拙劣な日本語だよ」(石原慎太郎さん)
一般社会に置き換えてみますと、ある会社の社員が、その下請けの社員を「あんた」と呼ぶのに近いシチュエーションだと考えます。
財務相の「あんた」は論外ですが、昔は「あなた」はビジネスの世界でも普通に使われていました。福田康夫さんや石原慎太郎さんの2人称に違和感がない理由でもあります。いわゆる日本型経営の全盛期、多くの会社は終身雇用でした。上司は自動的に年上で、人生の先輩だったわけです。そのため年下の部下を「あなた」とか「君」と呼んでも何の問題もありませんでした。発注元の社員が年上なら、発注先の外部社員に対しても、「あなた」とか「君」という2人称を使っていました。
2000年代に入ると、日本の職場環境でも多様性が高まり、発注元・先という関係ではなく、ビジネスパートナーとしてだったり、社内には正社員だけではなく、業務委託で働いている仲間がいたり、年功序列制がなくなり年上の部下ができたりとしてきています。
それでも、年下の上司が年上の部下を「あなた」や「君」と呼べば問題でしょう。派遣社員や業務委託の方々も同じ職場で働く仲間ですが、直接の雇用主は違います。対等なパートナーですから、いくら課長が人生の先輩だとしても、派遣社員の方々に「あなた」や「君」と呼びかければ、これも相当の人たちが違和感を覚えると思います。
まあ、こういう社会的な流れとは違って、昔の意識のままでの言葉使いの2人称に違和感を感じているのではないでしょうか。
時すでに遅しという感はありますが、財務相が、「記者さん」とか、そのメディアの社名で呼べば、こんなに嫌われすにも済む話だとも思うのですが……。
