6月6日に行われた天皇杯二回戦の名古屋グランパス vs. 奈良クラブにおいて、PK戦のやり直しが決定しました。奈良クラブの4人目で蹴った選手に対する競技規則の適用ミスがあったためだといいます。
日本サッカー協会(JFA)の説明によると、PK戦で奈良クラブの4人目のキッカーが蹴る前に動きを入れた行為について、主審はフェイントと判断しました。しかし、ここで競技規則の適用ミスがあり、規則に従えば、当該選手を警告とし、キックは失敗となるところでしたが、主審は警告を与えず、蹴り直しを指示してしまったというものです。
5:54あたりです。
規則どおりであれば、その時点で名古屋の勝利が決まったのですが、蹴り直しのPKが成功したため、そのままPK戦が進行されてしまい、結果、名古屋の5人目と6人目が失敗したため、奈良クラブの勝利で終わっていました。
フェイントの規則については、17-18シーズンから追記された項目であり、それまではPKが成功した場合は当該選手に警告を与えてPKの蹴り直し、PKが決まらなかった場合は警告を与えて失敗とみなすとされていました。また、フェイントについては「議論の余地がある」としたものの、今回の決定は誤審についての決定ではなく、あくまでも競技規則の適用ミスだったため、PK戦やり直しの決定が覆ることはないそうです。
肝心のミスの発覚ですが、試合翌日7日に三級審判員の資格を持つ一般人からの問い合わせからだったそうです。「ルールの確認をしたい」というもので、そこから協議が重ねられ、やり直しの決定に至ったものです。
この現場に居合わせた審判団、関係者、当該クラブの監督、コーチ、選手らの誰一人とルールが分からなかったことです。
さらに不思議なことは続きまして、両クラブには8日に通達がされ、JFA側の理解の相違から、最初は名古屋の勝ちになるという説明がされたそうです。しかし、その後、国際サッカー評議会(IFAB)と確認作業を行う中で、PK戦のやり直しという選択肢があることがわかります。
そして、11日に開かれた臨時の天皇杯実施委員会にて、1. 名古屋の勝利 2. PK戦をやり直す 3. 公式結果(奈良クラブ)の勝ち という3つの選択肢を出して議論を重ねたそうですが、最終的には委員13名で多数決を行い、7票を得た2のPK戦のやり直しが決定したというものです。
会見した天皇杯実施委員長は「PK戦は試合の一部ではない。勝敗の結果に重要な結果をおよぼす適用ミスが、試合の一部ではないPK戦で行われた。そのことを実施委員会としては、PK戦そのものが成立していないこととみなすと判断した」と説明しています。
私はこれを読んで、PK戦が試合の一部でないことを初めて知りました。
野球の世界ではありえないことです。例えるならば、延長戦で決着がつかず、タイブレークに突入し、そこで打順を間違えたチームが得点を挙げて勝った試合を、「打順を間違えていたことを判定しなかったので、タイブレークをやり直し」というようなものでしょうか。