プロ野球の対戦カードがまだ一巡していない中で、セ・リーグ4連覇を目指す広島東洋カープに早くも優勝の黄信号が点灯し始めています。
4月10日、マツダスタジアムで東京ヤクルトスワローズと対戦し、延長10回表にギネス的12点を取られ、3-15の大敗を喫しました。その負けっぷりの中で、散々たる試合となったこの日、これで開幕から4カード連続負け越しとなってしまいました。なお、チームはリーグ最下位のままです。
データ上ではセ・リーグでは過去、開幕から4カード連続で負け越したチームは優勝したことはなく、カープの「優勝確率」はゼロとなってしまいました。開幕から4カード連続で負け越したのは、2007年以来12年ぶりの出来事で、ここ3年間で最も悪いスタートとなっています。
絶対はないにせよ、野球は過去から積み重ねてきた、いろんなデータがあります。その中で、これは厳しい数字だと思ってもいいでしょう。
チーム状態は近年にないほど停滞していおり、10日の10回での様子は、ボクシングでいえば、セコンドからタオルを投げ込みたいくらいの状況だったと思います。そして、その試合でもそうだったように、深刻なのはホームゲームで勝てないことです。開幕から11日までにマツダスタジアムで9試合行っており、成績は2勝7敗と大きく負け越しています。まるで、いつかの中日ドラゴンズをみているかのようです。
開幕戦では、エース・大瀬良大地選手がホームのマツダスタジアムで、読売ジャイアンツ・菅野智之選手との投げ合いに勝ち白星スタート。これは、TVで見ていましたが、4連覇へ格好のスタートを切ったと思えました。しかし、開幕カードのジャイアンツ戦を1勝2敗で負け越すと、続くドラゴンズ戦、阪神タイガースとの各3連戦にも負け越し、9日からのスワローズ戦で4カード負け越しが決定。まさか、まさかの最下位にあまんじています。
昨年までのカープの絶対的な強みはマツダスタジアムでの強さです。優勝した3年間のマツダスタジアムでは、
2016年 49勝20敗
2017年 48勝20敗
2018年 44勝24敗
と驚異的な数字を誇っています。開幕したばかりとはいえ、今シーズン、ホームで早くも7敗を喫しており、早くも年間1/3を記録するという例年以上のハイペースで黒星を積み重ねています。
ここまで負けこんでいる原因はいろんなところにありますが、不振が続く打撃陣以上に深刻なのは、投手陣の不調でしょう。昨シーズンまでは序盤でリードされても中継ぎ、リリーフが踏ん張り、打線の援護を得て逆転勝ちするケースが多くみられました。ですが、今シーズンは開幕からここまで、打線が湿りがちで先発の後を受けた中継ぎ陣が踏ん張り切れないでいます。
スワローズには2戦連続の2ケタ得点を許し、3戦目も2回で6点を献上し、3日間で計31点。昨シーズン、ホームで2ケタ得点を許したのは5試合だけでしたが、今シーズンは9試合で早くも2試合が2ケタ得点を許しています。
その不安定な投手陣の足を引っ張ってしまっているのが、守備でしょう。本来、カープといえば守りの堅いチームなのに、エラーでピンチが広がり得点を許してしまっています。10日の10回には名手といわれる菊池涼介選手でさえ、ありえないような1回に2つのエラー。ありえないようなプレーをしています。
昨シーズンまでメンバーを固定して戦ってきていましたが、今シーズンは同じオーダーで臨んだのは、開幕からの2試合のみであり、3戦目から四番までメンバーを固定しているものの、五番以降は入れ替えが続いているのも、選手は落ち着いた試合運びができていないこともあるでしょう。
確かに戦力的には、丸佳浩選手が抜けた穴は確かに大きいと思えますが、それ以上に新井貴浩さんの引退で精神的な柱を失ったことの方が大きいと思います。どこのチームでも精神的支柱を失うと痛いのは事実です。昨年までだったら新井さんがベンチで選手に声をかけていましたが、今はその役目をする選手がいません。
このまま、ズルズルと行くようなチームではないと思いますが、早急に立て直しを図りませんと、優勝の赤信号が点灯してしまうかも知れません。