新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めてきた台湾ですが、現在は初めて深刻な状況になっています。2021年5月中旬までは、累計感染者数はわずか1500人、亡くなった方は12人にとどまっていました。ところが感染者が急激に増え始め、5月27日だけで13人の方が亡くなりました。
私が仕事でお付き合いしている台湾の会社では、現在は陽性確認された方はご本人とご家族を含めていませんが、会社の90%が在宅勤務となっています。
台湾ではワクチン接種を完了して新型ウイルスから守られている人はほとんどいません。確保したワクチンは約70万回分だけであり、接種を受けた人は人口約2300万人の約1%。よって、台湾は市民を守ろうと、新型ウイルスワクチンを探しています。
しかし、ドイツ・バイオ医薬会社ビオンテックから新型コロナワクチンを購入契約を結ぼうとしていましたが、中国からビオンテックと販売契約を結んでいる中国の上海復星医薬を通じてワクチンを調達するようにしています。ただ、台湾は上海復星医薬を通じたワクチンの調達について、透明性が不足しており、中国が関連情報の提供を拒んでいることを理由に拒否しています。もちろん、中国側は、「ナンセンスだ」と反論しています。
この件については、政治的な背景があることは明らかだと考えます。ただ、人命よりも政治が大事かどうかこのような状況下で、ワクチンを政治的な取引に使われるべきではないとも考えます。
そんな中で、新型コロナウイルス感染症対策では、後手後手感のある日本政府が英国・アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンの台湾への供与を検討しているとのニュースがあります。いつもは、隣国の顔色をうかがってばかりいる割には、今回についてはやけに判断が早いです。実現すれば、国際協力として日本の印象は高まることでしょう。反面、隣国との関係は微妙な立場に置かれるかもしれませんが。
台湾との関係は、2011年東日本大震災のときに、台湾から日本へいち早く義援金が送られ、2020年4月には新型コロナウイルス感染拡大に伴うマスク不足の際に、医療用マスク200万枚が送られるなど支援されています。逆に2016年の台湾南部地震では、日本政府が100万ドルの支援、2018年の台湾東部地震では、行方不明者の救出を支援する専門家チームを派遣するなど、大規模災害などの際に隣人として相互に助け合っています。
日本政府は、ワクチンを共同購入して途上国にも分配する「COVAX(コバックス)」という国際的枠組みをとおして供給する案を考えているそうです。
日本は、米国・ファイザーから2021年内に1億9400万回(9700万人)分、米国・モデルナからは2021年9月までに5000万回(2500万人)分の供給を受ける予定で、アストラゼネカとは1億2000万回(6000万人)分のワクチン供給を受ける契約を結んでいます。ですが、アストラゼネカ製は接種後に、ごくまれに血栓が生じる例が海外で報告されており、日本国内での接種を見合わせることを決めており、アストラゼネカ製がなくても国内分は確保できることもあります。
中国は台湾を自国の一部と考えており、台湾と中国大陸を統一したいと考えていることは、公の事実です。
5月24日から開かれる世界保健機関(WHO)の年次総会への参加についても、参加申込期限の5月10日までにWHOから台湾に招待状が届かず、台湾は「中国が妨害した」との見解を示しています。台湾は2009年~2016年の間は年次総会にオブザーバーで参加していましたが、2017年以降は中国と台湾は1つの国に属するという「一つの中国」論を認めないの蔡英文総統が誕生したことで、中国が反発し、オブザーバー参加が認められなくなったとされています。
日本政府は、今後、台湾からワクチンの必要な供給量や提供時期などを確認した上で詳細を決め、早ければ6月にも提供の実現を目指すとのことです。
なお、日本政府は5月24日から東京都と大阪府に大型ワクチン接種会場を用意してモデルナ製ワクチンの接種を始め、一日100万人ずつ、7月末までに65歳以上の高齢者3600万人に対する接種をすべて終えるという計画となっています。
しかし、5月20日までの日本国内ワクチン接種回数は合計799万398回、このうち2回目の接種まで終えたのは246万1885人となっています。
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