野球小僧

成人式

日記

2021年01月13日 00時15分00秒

新成人のみなさん、おめでとうございます。

例年ですと、「荒れる成人式」という言葉に代表されるとおり、毎年どこかしらで新成人のマナーを守らない行動が目立ったりなど、一部で新成人のモラルの低下が問題となっています。タイムマシンを使わない限り一人一生に1度しか参加できませんし、参加を辞退しても翌年以降参加できません。ですから、はしゃぎたい気持ちはよくわかりますが、大人なんだからしっかりしましょうね。

2021年の成人式は、新型コロナウイルス感染拡大を受けて中止や延期が相次いでおり、日本海側では大雪にまで見舞われてしまっています。それでも、いろいろと制約のある中でも参加できた方は開催に向けて、いろいろとアイディアを出して、実施してくれた関係者の方への感謝の気持ちを忘れずにいて欲しいと思っています。

2021年1月11日付け朝日新聞社会面より

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「お母さん、汐凪（ゆうな）。帰ってきたよ」

木村舞雪（まゆ）さんは2021年1月6日、福島県双葉郡大熊町にある小高い丘の上にある小さな慰霊碑の前で手を合わせていました。この碑は、津波で亡くなった家族のため、お父さんがつくったそうです。大熊町は、東京電力福島第一原子力発電所の1号機から4号機の所在地であり、周辺はいまだ放射線量が高い帰還困難区域で人は住めません。

「私、大人になるんだよ」「汐凪とは、おもちゃを取り合ってよくケンカしたなあ」

2011年3月11日。舞雪さんは近くの熊町小学校に通う四年生でした。

津波で海沿いの自宅が流され、小学一年だった妹の汐凪さん、お母さんと、お祖父さんが行方不明になりました。そして、発生した原発事故で、舞雪さんとお父さんは大熊町から遠く離れた長野県白馬村に避難しました。

4月に、お母さんとお祖父さんの遺体が見つかりましたが、妹の汐凪さんだけが見つからず、お父さんは汐凪さんを捜すため、毎週のように舞雪さんを車に乗せて、大熊町にかよい続けました。

そして、2016年12月に自宅近くのがれきの中から、マフラーとともに小さな骨が見つかりました。

「このマフラー、覚えているか」
「うん、私とおそろいのマフラーだ」

DNA鑑定で汐凪さんだとわかりました。

舞雪さんは長野県の高校を卒業後、調理師でお菓子作りが趣味だったお母さんを追うように、東京の製菓の専門学校に進学し、4月からは東京・銀座のカフェで働く予定です。お父さんは、大熊町から約25km離れた福島県いわき市に住み、愛犬と一緒に現在も汐凪さんの残る遺骨を捜しています。

舞雪さんは2020年12月末、お父さんの住むいわき市に戻って、1月10日に開かれる大熊町の成人式に出る予定でした。しかし、式は延期になったため、家族と一緒に成人を祝おうと1月6日に大熊町の自宅跡を訪れたのでした。

舞雪さんは東京で一人暮らしを始めて2年近くになり、お父さんとの会話はどこかぎこちなくなっていました。2人の車に同乗させてもらった記者が代わりに尋ねます。

「東京、楽しい？」
「うん、楽しい」
「将来はどうするの？」
「いつかは福島に帰ってきたい、かな」

運転していたお父さんが「え、どうして？」と聞きました。