渡邉恒雄さん。「ナベツネ」の愛称で知られています。
現在、株式会社読売新聞グループ本社代表取締役主筆であり、株式会社読売新聞社社長、球団オーナー、株式会社読売ジャイアンツ取締役最高顧問、社団法人日本新聞協会会長などを歴任していました。
自ら「俺は最後の独裁者だ」と語っており、メディアにおいて「球界の独裁者」または単に「独裁者」と呼ばれていることについては、渡邉さん自身が認めています。
1926年(大正15年)5月30日に東京府豊多摩郡(現:東京都杉並区)に、五人姉弟の三番目で長男として生まれました。
1950年4月に読売新聞社に次席で入社します。なお、東京新聞の採用試験にも合格していました。もし、この時に東京新聞に入社していたならば、もしかすると中日ドラゴンズの首領になっていたかも知れません。また、朝日新聞社と中央公論の入社試験は不合格となっており「頭が良すぎて採用されなかった」とは渡邉さんが語っています。
渡邉さんが球団経営に参加するようになったのは、読売新聞社副社長時代の1989年に球団内で組織された最高経営会議のメンバーに選ばれてからです(他のメンバーは同社名誉会長の務臺光雄さん、同社社長の小林與三次さん、オーナーの正力亨さん)。1996年に正力さんが名誉オーナーになり、オーナーに就任します。「野球はやったこともなく興味もなかった」とのことですが、その後、野球界をすばやく学習し、これまでの球団の人気、資金、読売新聞と日本テレビ放送網という巨大メディアを背景に、影響力のあるチームオーナーとして球界に君臨、コミッショナーの人事も決める人物と言われるようになります。
オーナーとなってからの数々の迷言です。
1991年オフ、契約更改を保留した8選手に「ろくな成績も残さないでナニ言ってる。冗談じゃない。そんなヤツは巨人を出ていけ、去ればいいんだ」と発言。が、それが当時のエース・斎藤雅樹さんや槇原博己さんだと知り、「下(二軍)にいるクズみたいなヤツが言ってると思ったんだよ」と、撤回。
1997年、桑田真澄さんの結婚に際して、「よくあんな借金まみれの男に嫁が来てくれたな」と発言。
1996年オフにFAで清原和博さんを獲得したときに「君もあと30年くらいで60歳か。その頃は監督だろう」と将来の監督を約束。
1998年7月31日の対阪神タイガース戦のガルベス事件(交代時に審判団に向けてボールを投げつけた)に「それほどじゃないんだ、審判にボールを投げつけることぐらい」と発言。
2000年、不振の清原さんがケガで離脱すると「これで勝利の要因が増えた」と発言。
2002年、日韓W杯開催時には「W杯は6月で終わる。日本におけるサッカーは、これで滅びる」と語り、オフには「巨人が勝っても景気が良くならないなら、総理に辞めてもらうしかない」と発言。
2003年、「君が代は嫌いだ。国歌は歌わない……僕は軍艦マーチなんかいいと思うんだよ。歌詞を変えて国歌にする」
2003年オフには原辰徳監督が監督を辞任して、堀内恒夫さんが新監督就任しますが、これについて渡邉さんは「読売グループ内の人事異動だ」と発言。
2004年にパ・リーグの大阪近鉄バファローズとオリックスブルーウェーブ(現:オリックスバファローズ)の間に合併話などが持ち上がり、問題の解決に渡邉さんは埼玉西武ライオンズオーナー・堤義明さん(当時)、オリックスオーナー・宮内義彦さんらと日本プロ野球1リーグ構想を画策したものの、世論の反発を招きます。7月8日に2リーグ12球団の維持を主張していた日本プロ野球選手会会長の古田敦也さん(当時:ヤクルトスワローズ)による経営者側との会談の提案を拒否し、この件に関するインタビューの中で「無礼な事言うな。分をわきまえなきゃいかんよ。たかが選手が」と発言。
2004年オフに、裏金事件が発覚し、渡邉さんは責任を取ってオーナーを辞任。その後、1年足らずして球団会長に就任。
2011年、東日本大震災の影響でプロ野球の開幕が当初の3月25日の予定から延期になることについて、パ・リーグに対して「こういう時には何もやらない方が良いというなら勝手にしろ」と話し、その後、セ・リーグも4月12日に開幕になり、「いいんじゃないか。もう、しゃあない。(国などが)ガーガー言ってるんだから」と発言。
2011年オフの当時専務取締役球団代表兼ゼネラルマネージャー・編成本部長・オーナー代行の清武英利さんの「清武の乱」の後、「独裁者と呼ばれて」と題したインタビューに応じ、「僕は民主的だよ。物事を決めるときには必ず人に相談することにしている。独裁者と書くメディアもあるが面白いし、売れるからね」と発言。
2014年6月に読売巨人軍取締役最高顧問に就任。
2015年の野球賭博関与事件に対して、2016年3月11日付で責任を取って最高顧問を辞任。
2018年6月、試合後に「スキャンダルもあるし、いいことばかりではない」「いい選手もいるからな。みんなバカじゃないんだ」と発言。
メディア界に君臨し、政治をも動かし、プロ野球界では言いたい放題のドン。
巨大な悪であればあるほど、ドラマは面白いものがあります。最近、プロ野球がおとなしいのは・・・