【悪いクセは直しましょう/友を失うこともあります】
囲碁のマナー違反として
「横から口出し」というのがある
岡目八目とはよく言ったもので
観戦者は、頭が冷静なので
実力以上に「手が見える」
このため、つい教えたくなる
よく見かける悪いクセである
わたしも普段、我慢しているが
お弟子さんの級位、初二段には
つい口が滑り勝ちである
最も迷惑なのは
ヒソヒソ話だったり
「あっ」とか「うっ」とか
うっかり声を発することである
対局者には聞こえる
できるなら、勝敗決着後の並べ直しが良い
局後に「あの局面だったら……」と言っても
級位・初二段には「アノ」が分からない
並べ直しても、途中で分からなくなる
それでも、やらないよりは、マシだ
最初から序盤だけでも並べ直すことは大事で
慣れると、案外できるものであり
やっていくと棋力も向上するのである
以上、対局者も、観戦者も
口を動かすな、頭と指を静かに動かすべし
これを守りたいものである
◇
数年前、アマ大会での出来事――
わたしの対局を観戦していた碁友が
最後の最後のダメ詰めの局面で
「ここが、残っている」と言いつつ
手を出したところ、ヘマをして
盤面の石が大きく崩れた
まったく余計なお世話、
迷惑千万である
わたしと相手が並べ直してみたが
細部が複雑でなかなか上手くいかない
相手は怒り、碁友を強く叱責し始めた
いたたまれなくなったわたしは
「投げようか」とも思ったが、
それも筋違いで、ただ困惑するのみ
幸い、憤慨した相手が言うだけ言って
大人げないと思ったか事を収めて
並べ直しもナントカ上手くいって
わたしの惜敗となった(腑に落ちない)
なんとも後味悪い出来事だった
あの光景がリアルに浮かぶことがある
「口出し・手出し」は普段からやめましょう
マナー違反は友を失う可能性がありますから