囲碁漂流の記

週末にリアル対局を愉しむアマ有段者が、さまざまな話題を提供します。初二段・上級向け即効上達法あり、懐古趣味の諸事雑観あり

ちょこっと「もっと囲碁用語」

2023年08月03日 | 雑観の森/芸術・スポーツ

 

【「基本の基」を学び直す】

 


何年も料理教室に通っていますが

オクラのむき方とか

キュウリの切り方とか

包丁の持ち方とか

こういう時はこうする

といった「基本の基」

まだアヤフヤです

 

何年か囲碁をやっていますが

まだ分からないことの方が

たくさんあって迷います

級位者向け死活問題も間違えます

「基本の基」がなっていません

 

井山最強が9年前に著した

初級~初段向け囲碁本を

パラパラめくっていたら

胸にストンと落ちることが

あまりに多すぎてブルー

「基本の基」がザルです

 

アマ碁打ちの、あるいは、

初学者の参考になることが多く

琴線に触れた部分を引用し

コメントすることにいたします

自分の勉強の足しになると信じて

 


     ◇

 


「井山裕太の実戦囲碁力養成講座」(2014年刊)

の巻頭言「はじめに」をまず抜粋・引用します

これまでにないコンセプトで、文章もよく練ってあり

さすがと思わせる内容で、購入のきっかけになりました

 


「本書を手にとっていただき、

ありがとうございます。

この本は、碁を覚えたての方から

初段を目指す方に向けての内容です。

どのジャンルでも言えることかと思いますが、

初心者のときに困るのは『専門用語』です。

特に囲碁の場合は、ただ盤の上に石を置くだけなのに、

無数といってもいいほどの用語があるため

初級者の方を惑わせてしまっているようです。

しかし、特別な言葉が使われ続けてきたことには

意味があり、理由があります。

碁が上達してくれば、

その言葉があることで理解が深まりますし

また、言葉を理解できたことで

上達の助けにもなることもあるのです。

そこで、囲碁用語を正しく理解し、

その知識を問題で試すという形で

『布石の基本』『攻めと守り』『石の動き』

『死活の基本』『手筋・攻め合い』の五つの視点から

囲碁の基本の基をまとめてみたのが本書です」

(後略)

 

 

 

 

次回から、

囲碁用語をひとつひとつ取り上げ

わたしなりに感想を述べます。

万年5級の皆さん、初二段で足踏みの皆さん

そして碁石に触ったことがなのない皆さんも

気が向かれたらお付き合いくださいませ。

 

 

 


「並べるだけ」の魔法

2023年06月24日 | 雑観の森/芸術・スポーツ

は1831(天保13)年の江戸城・御城碁の棋譜

は2023(令和5)年の秋田・旧料亭金勇の棋譜

 

 

今月から新聞碁の棋譜が大きくなり

「日本囲碁大系」並みに見やすくなった

盤に石を置いていっても目がチカチカしない

 

棋譜を眺め、解説を読むのも良いが

並べてみるのも一興で、感じるものがある

二百年前の碁が再現されるとは大げさか

 

碁の上達法としては

手間暇かかるといえなくもないが

静かな独りの時間の楽しみ

と考えれば苦にならない

 

これもひとつの趣味として続けたい

 

    ◇

 

大橋成哉七段の著書「棋譜並べ上達法」の

まえがきにある〝棋譜並べの効果〟を

引用する

 

・落ち着いて局面を見ることができるため、さまざまな手に気づける

・一手一手を理論的に考えるようになり、早打ちの癖が抜ける

・碁を俯瞰的に見る癖がつくことで、大局観が身につく

・盤面を客観的に見られるようになり、形勢判断能力がつく

・布石や定石に詳しくなり、序盤で圧倒されることがなくなる

・プロのちゃんとした打ち手を見るので、筋が良くなる

・打つ手の意味を深く考えるようになり、ヨミの力がつく

 

氏は修行時代の勉強の9割は「棋譜並べ」で

一日100局並べることを目標にした、という

棋譜並べなくしては、碁の上達はない

と言っていいでしょう、と断言する

一日1局以上が目標のわたしとは雲泥の差であるが

「ゼロ」と「1」とは全く違うゆえ、よしとしたい

蛇足ながら、わたしもニ、三の項目を付け加えたい

 

・毎日碁石を触るので、手付きが良くなり、所作も洗練されていく

・最後まで並べて整地すれば、ヨセから終局の技術に隙がなくなる

・何より芸術的な打ち回しをいつでも堪能できる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


〝形勢が良いと先生せきばらい〟

2023年06月23日 | 雑観の森/芸術・スポーツ

 

【ザル碁ヘボ碁あるある / いにしえの川柳、狂歌から】

 

メディアに登場するトッププロは

ザルやヘボからは雲の上の存在

〝センセイ〟どころか〝カミサマ〟

と呼ぶべきかもしれません

 

昔の大家は五十代近辺でしたが、

〝二十代名人〟〝二十代本因坊〟が

このごろは当たり前になっています

最近は特に十代の台頭が著しく

三十代はベテラン扱いとなり

五十代はレジェンドという有様です

 

気になっていることがあります

十代、二十代の碁将棋プロが

〝センセイ〟と呼び合っていますね

業界の慣習を踏襲しているだけといえば

それまでですが、ちょっと違和感が……

〝神対応〟とか〝カリスマ〟とか

今どきコトバにもムズムズするのは

寄る年波のせいかもしれません

皆さんは、どうお感じになります?

 

     ◇

 

標題の川柳ですが、

この場合のセンセイは

「碁のセンセイ」という意味でなく

「一般的なセンセイ」でしょうね

教師か、医師か、議員かでしょうが

碁はさほど強くはなさそうです

 

 


〝先生に四目 弟子に四目〟

2023年06月21日 | 雑観の森/芸術・スポーツ

 

【ザル碁ヘボ碁あるある / いにしえの川柳、狂歌から】

 

これは

どういうことでしょうね

下には余裕を持って大勝ちするのに

上には手が縮んでどうしても勝てない

メンタルの問題なのでしょうか

 

昭和の終わりごろ

「プロプロ置碁」という趣向がありました

黒を持って石を置くのはプロ棋士

白を持って置かせるのもプロ棋士

同格の二人が打ったらどうなるか、です

 

例えば

武宮正樹九段が3子置いて

石田芳夫九段が白番の一局は

246手完、黒29目勝ち

 

石田芳夫九段が5子置いて

金島忠九段が白番の一局は

205手完、黒71目勝ちです

 

石田芳夫九段が8子置いて

佐藤昌晴九段が白番の一局は

237手完、黒130目勝ちでした

 

標題の「四目」は

置石4子の意味でしょう

石をひとつ置くのは、

10~15目見当の棋力差がある

との理解でよいと思います

 

置碁は

棋力差があっても

公平公正にふたりともが

楽しめる素晴らしい仕組み

互先とは別のテイストがあって

白を持つとやる気がでてきます

負けてもともとという気楽さがあり

勝っても負けても微差ならば

下手を褒めれば良いのです

 

 

 


〝碁会所で見てばかりいるつよいやつ〟

2023年06月15日 | 雑観の森/芸術・スポーツ

 

【ザル碁ヘボ碁あるある / いにしえの川柳、狂歌から】

 

ホントに強いヒトは

こういうものですね

 

わたしを含め99%は

碁の理解が中途半端ですから

知ったような口を

つい叩きたくなるものです

 

〝碁の助言 言いたくなると庭へ立ち〟

なんて、カワイイのもあります

いくつになっても遊びの世界は

大人げないものです

 

「岡目八目」とはよく言ったもので

横で見ていると冷静ですから

思いのほか手が見えてしまいます

そこが観戦の楽しみなのですが

 

「あ」とか、「うっ」とか

「そこに打つのはマズイぞ」

「それじゃオイオトシだよ」

 

ダメですよね、こんなんじゃ

解説者がそばでアレコレ言うべからず

一手の狂いが命取りになりかねません

二人の世界を邪魔しちゃいけません

 

勝負事は最後の最後まで分からない

さて、今シーズンのタイガース

アレは、アレするのでしょうか?

6月14日現在、60試合で貯金16

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


〝一手違いと負けでもなにげに云い〟

2023年06月14日 | 雑観の森/芸術・スポーツ

 

【ザル碁ヘボ碁あるある / いにしえの川柳、狂歌から】

 

「たった一路違いじゃないか」

は、技量の無さからの戯言ですが

「たった一手違いじゃないか」

は、うかつに口に出せません

 

互いに眼がない大石の攻め合いは

専門家の碁にも頻繁に現れます

捕り物合戦はスリルとサスペンスの極致

碁の醍醐味ですが、当事者は天国と地獄

 

諦めの悪い人はどこにもいるもので

ついぞこんなことを言いたがります

くやしい気持ちは分かりますけど

碁は一手一手交互に打つものですから

 

二手違ったら手合い違い、と

ココロのなかでほくそ笑んでも

決して口に出してはいけません

 

それこそ

〝もう君とは打たぬ〟

となりかねません

碁はあくまでも盤上のケンカです

盤外で仲違いしてどうなりますか

 

 

 

 


〝もう君と打たぬは負けた証拠なり〟

2023年06月12日 | 雑観の森/芸術・スポーツ

 

【ザル碁ヘボ碁あるある / いにしえの川柳、狂歌から】

 

 

これは

どんな状況で発せられたのでしょう?

 

たとえば

〝熊さん 八っつあん〟のような

気の置けないヘボ碁同士の関係?

ジョークまがいの掛け合いなら

まったく問題はありませんが……

 

声に発するかどうかは別として

いろいろなシチュエーションが

頭に浮かびます

 

誰と打っても楽しめるなら

その碁会は理想の桃源郷

そうは問屋が卸しません

人間模様もまだら模様

一考を要する難しさかな

 

     ◇

 

趣味で寄り集まる社交の場、

同好会の面々は〝知り合い〟で

友人とまではいいがたく

気を許すと、時として

チクっとさせられます

 

こういう場で、

礼は賢明、無礼は愚か

対局を敬遠されるヒト

だいたい決まっています

ただし本人真空のままに

 

ちゃんとした碁会所の席亭なら

出入禁止処分にしてくれます

悪い客は、商売の妨げになり

ウエルカムではありません

 

 

 

以下、問題のありそうなタイプ

 

◆ 口三味線が やかましい

→ 本人気分が良くとも相手は不快、赦されるのはボヤキぐらいでしょう

 

◆ 負けたと思ったら、いきなり勝手に石を崩す

→ 論外中の論外、碁をおやめになった方がいいです

 

◆ 長考につぐ長考の連続で、待ちくたびれて勝負にならない

→ 〝どんな局面でも必ず長考〟では「遊び」ではありません

 

◆ 石ジャラなど行儀の悪い迷惑行為がクセになっている

→ 程度問題ですが品格の問題、注意される前に直しておきましょう

 

◆ 待った・打ち直しの常習者である

→ 見苦しいアンフェア、反則=レッドカード、〝勝負以前〟です

 

◆ 整地作業などでズルをする

→ 碁会の雰囲気を悪くする人、なんとかして退会してもらいましょう

 

 

いずれにしても〝社交の場〟

過去に不快な振舞い受けた人から

不幸にも対局を申し込まれても

なんとかして逃げる、が賢明でしょう

 

生き物は甘やかすとつけあがるとしたもの

理由なく水に流すならば

増長して不遜で尊大になります

赦した方が逆に弱みを握られる

もっとやってくれ――という

誤ったメッセージを発信してはなりません

 

わたしは

「(今日は)やめておきましょう」

「また(いずれ)お願いします」などと

やんわりお断りすることにしています

ひたすら関わらないのが利口です

 

イイ人ぶっての我慢はオススメしません

自分が自分でないならなんとしましょう

そんなのは偽善の仮面をかぶっているだけ

八方美人は究極の悪徳と断じましょう

 

残り少ない人生の貴重な時間の無駄遣いです

〝楽しむために出掛け、不愉快になって帰る〟

遊びでイヤな思いをする義務はありません

被害者がストレスを抱えるべきではありません

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


〝この味がなどと上手の口を真似〟

2023年06月09日 | 雑観の森/芸術・スポーツ

 

【ザル碁ヘボ碁あるある / いにしえの川柳、狂歌から】

 

綜合囲碁講座別巻の囲碁百科辞典を

京都の古書店で見つけたのは3年前

菊版で約四百㌻の大著である

 

林裕著、昭和40年8月金園社発行

定価1,300円――などとあるが

新品同様で数百円だったと記憶している

むろん、発見⇒即ゲットである

 

囲碁用語・述語・俗語がどれ位あるか

ざっと数えたところ三千五百語ほどが

収録され、執筆・編集の労に頭が下がる

暇にまかせパラパラめくるのが楽しい

それでは味わい切れぬ、モッタイナイと

鈍らブログで今般のシリーズとした

 

     ◇

 

【味】の項には、こうある

 

「この味がと、ヘタがジョウズの口を真似」

という川柳があるとおり、このことばが理解

されるようになれば一人前である。あと(後)

という字をつけて あと味といえばよくわかる

かもしれない。要するに直接〝手〟はならな

いにしても、多分に可能性のある形。従って

攻める側からいえば楽しみであり、守る側か

らは非常に薄気味悪い状態をいう。直接〝手〟

になるならその段階をこえているから あじと

はいわない」

 

なるほど、

「碁は脅して打つべし」というが

語釈もなかなかの妙味といえよう

碁は、打つばかり、勝ち負けばかり

が楽しみではない、と声を大にしたい

 

 

 

 

 


〝見物はみな強そうな口をきき〟

2023年06月07日 | 雑観の森/芸術・スポーツ

 

 

【ザル碁ヘボ碁あるある / いにしえの川柳、狂歌から】

 

碁会が始まって3時間ほどが過ぎ

そろそろ家路に向かおうか、という頃

対局者より見物人が多くなってきます

 

乱戦模様に人だかりができると

危険な雰囲気が漂ってきます

〝事件〟のにおいです

 

「あっ、そこに打つと

ウッテガエシになる」とか

「あーあ、やっちゃった――」とか

「ヨメてないなあ」とか

周りがワイワイガヤガヤ

言い出すと収拾が付きません

 

ヘマをやらかした対局者

立腹のあまり、つい八つ当たり

碁笥の中に石をぶつけて

「うるさい! 負けた!」

 

叫んだ方が悪いのか

それとも周りが悪いのか

こういう光景は珍しくありません

 

余計な〝お世話〟はトラブルの元凶

最初に言い出すヒトはいつも同じ

ヒソヒソ話から始まります

もしも心当たりのあるあなた

帰り道に気を付けて(笑)

(心当たりなどないでしょうけどね)

 

 

 

 

 

 

 

 

 


〝夜もすがら碁石ちらつく負けた晩〟

2023年06月06日 | 雑観の森/芸術・スポーツ

 

【ザル碁ヘボ碁あるある / いにしえの川柳、狂歌から】

 

寝床に入っても

眼が冴えて眠れない

天井の格子や節目が

碁盤・碁石に見えて

昼間の悔しさが込み上げてきます

 

〝夜更かしに天井までが棋盤なり〟

という類似の川柳もあります

こうなれば碁キチも本物なり

 

わたしが野球小僧だった頃

天井の格子がストライクゾーンに見えて

寝付かれなかったことがあります

頭の中はいつも野球でいっぱい

懐かしく甘酸っぱい、遠い思い出です

 

いまは、何事にも勝った負けたで

そこまでのこだわりはありません

上達曲線を緩やかにしているのは

悔しさが足りないからでしょうね

 

〝碁に負けて帰れば家内(うち)は暴風雨(あらし)なり〟

なんて川柳もあります

 

我が家ですか?

夜の付き合いはやめてしまいましたから

こういうリスクはありません

 

暗くなってからは外出せず

自宅で読書か映画かTVで退屈凌ぎ

ニャンコと昼寝、ワンコと夜寝

「詰碁をひとつ覚えて目をつぶる」

絵に描いたような平々凡々の日々です(笑)