家に帰ると、母がテレビに向かって真剣な視線を送っていた。
手には白いコントローラーを持っている。
見ると『スーパーマリオブラザーズWii』をプレイしていた。
母が20代の頃、当時ファミコンでマリオブラザーズが登場。寝る間も惜しんでクッパを倒しに行っていたらしい。
勿論、当時のマリオはセーブ機能など無く、エンディングを見るために膨大な時間を費やし、姫様を助けるまで一度たりとも電源を落とせなかった。
寝ても覚めても、ステージの音が頭から離れなくなるくらい、マリオに没頭したらしい。
あれから30年。
再びピーチ姫を助けに行く為、あの頃と同じスタンスでテレビとにらめっこをしていた。
当時、初見殺しと言われた1-1クリボーだが、もはや母の敵ではないはず。今も昔も、ジャンプをし、脳天を打ち付けるだけでぺしゃんこになる。
ただ突っ込んで1死する素人とは違うという所を見せ付けるべく、勢いよくジャンプするマリオ。
クリボーの手前に着地。
気付いた時には、ステージ選択画面になっていた。
『踏めなかった』
母が呟く。
見ればわかる。
だからマリオの残機は初期値から1人減っているのだ。
30年のブランク。それは、マリオをクリボーの脳天にではなく、目の前に着地させるまでにそのセンスを退化させていた。
また、母マリオはBダッシュも忘れてしまっているようで、移動は常に歩き。
地面が手前に回転する障害も、のたくら歩くマリオには攻略できる訳もなく、
『左のボタンを押しながら進みな』
という俺のアドバイスの後、初めてダッシュを使った。
揚げ句、?ボックスから出てきたキノコを追いかけ、スタート地点まで戻ってくるというていたらく。
そして音楽が切り替わる。あとタイム100秒を切ったのだ。
そのアップテンポな音楽とは裏腹に、マリオはゴールに向かってのらりくらり歩き出したのだった。
手には白いコントローラーを持っている。
見ると『スーパーマリオブラザーズWii』をプレイしていた。
母が20代の頃、当時ファミコンでマリオブラザーズが登場。寝る間も惜しんでクッパを倒しに行っていたらしい。
勿論、当時のマリオはセーブ機能など無く、エンディングを見るために膨大な時間を費やし、姫様を助けるまで一度たりとも電源を落とせなかった。
寝ても覚めても、ステージの音が頭から離れなくなるくらい、マリオに没頭したらしい。
あれから30年。
再びピーチ姫を助けに行く為、あの頃と同じスタンスでテレビとにらめっこをしていた。
当時、初見殺しと言われた1-1クリボーだが、もはや母の敵ではないはず。今も昔も、ジャンプをし、脳天を打ち付けるだけでぺしゃんこになる。
ただ突っ込んで1死する素人とは違うという所を見せ付けるべく、勢いよくジャンプするマリオ。
クリボーの手前に着地。
気付いた時には、ステージ選択画面になっていた。
『踏めなかった』
母が呟く。
見ればわかる。
だからマリオの残機は初期値から1人減っているのだ。
30年のブランク。それは、マリオをクリボーの脳天にではなく、目の前に着地させるまでにそのセンスを退化させていた。
また、母マリオはBダッシュも忘れてしまっているようで、移動は常に歩き。
地面が手前に回転する障害も、のたくら歩くマリオには攻略できる訳もなく、
『左のボタンを押しながら進みな』
という俺のアドバイスの後、初めてダッシュを使った。
揚げ句、?ボックスから出てきたキノコを追いかけ、スタート地点まで戻ってくるというていたらく。
そして音楽が切り替わる。あとタイム100秒を切ったのだ。
そのアップテンポな音楽とは裏腹に、マリオはゴールに向かってのらりくらり歩き出したのだった。