人が集まり、額を向き合わせて議論する様を「鳩首議論」とかいう。しかし今日、徳之島から3人の町長が上京して鳩山総理に「移転NO」を突き付ける会談があったそうだが、この場合は「鳩首(きゅうしゅ)」ではなく「鳩クビ会談(はとくび)」とするべきだろう。
いずれにしても、民主党が中心の連立政権における「普天間問題」とは、普天間の危険除去や在日米軍基地のあり方や役割、または、日本の安全保障を第一義とする東アジア全域への抑止効果などの問題ではなく、いわゆる「左翼の内ゲバ」的な意味合いでしかないから「鳩山政権の迷走」というよりは「ど左翼の迷走」の色合いが濃く滲み出した。
「海兵隊が抑止力になっているとわからなかった」と馬鹿正直にコメントした総理大臣や、それを放擲する他ない取り巻きにはもちろん困ったものだが、その実、連立を組む政党にも同じレベルの人間が少なくない。また、テレビに出てくる電波芸人や、彼らの教科書ともなる朝日新聞などの論調も実に単純だ。今が好機とばかり「沖縄県民の気持ち」という絶対に逆らえない大義名分の裏に、べっとりと反基地反戦のテーゼを塗り込めている。
卑怯を恥じぬ与党の政治屋どもは「自民党は14年間、何もしてこなかった」と党首を筆頭にウソを吐き、あわよくば「これも自民党政権の負の遺産」としたいようだが、さすがにそこまで日本国民はボケていない。「なぜ日本にアメリカの基地があるのか」は、友愛総理の無策のお陰で「なぜ、それは沖縄なのか」も考えることになったから、目をキラキラさせて「沖縄の人たちが可哀想」とだけいう社民党などはもう、単なる「可哀想な人たち」としか写らない。次の選挙が楽しみだろう。
また、テレビでは相変わらず「普天間第二小学校」などに取材をし、低空飛行の米軍機などをして「こんなに危険なんです!」とやっているも、それをするから過去にあった「2度の移転話」も蒸し返される。そもそも、昭和57年の「米軍ヘリ墜落事故」を受けて、1キロ先にあった米兵家族用の敷地「8千坪を日本に返還する」という合意が得られたのを反対運動で潰したのは沖縄の市民団体である。「子供たちが危険だから基地をどけろ」というから、米軍が基地の一部を日本に返還して「学校の移転先」を用意したら「それではダメだ」というわけだ。つまり「子供たちの危険」よりも「米軍基地を撤収させる」ことを優先させているのである。なにをかいわんかである。
出鱈目な理屈が専売特許の「ど左翼」ですら、ここまでの「鳩山の無能」は計算外だったのだろう。エリートで秀才だったとされているから、誰もまさかここまで、だとはさすがに思わなかったはずだ。これには本人も驚いているかもしれない。まさか、ここまでの無能だったとは自分ですらが信じられないかもしれない。イギリスの首相は「ピンマイク」を外すのを忘れて失言したが、なんのどっこい、日本の総理は公然とわけのわからぬことをいう。徳之島の3町長と会談を終えた後、ピンマイクをつけたまま黒塗りに乗って「偏屈な連中だ」とでも言えば人気沸騰だが、この友愛脱税は「丁寧な言葉で、わけのわからぬ思いを伝える」から困る。
そういえば、日本の民主党の不動産幹事長もイギリス大好きだった。マニフェスト選挙や二大政党制なんかも「お手本」にすべきだということだった。そのイギリスでは36年ぶりに労働党も保守党も過半数を割るという事態になっている。第三局の自民党が56議席かなんかで、保守党が口説きにかかっているらしい。私はこのニュースを見て、有権者こそ「お手本にすべき」ではないかと思った。
つまり、ブラウン首相があれほどスキャンダルな叩かれ方をしたのに、保守党は過半数を取れなかったのである。マスコミはこれでもかと労働党のブラウンを叩いたであろうことは容易に想像がつく。それに扇動されない有権者がいるわけだ。どこかの国の「政権交代」とは違う、マスコミ選挙に踊らされない成熟した有権者がいるのだと感心した。
友愛脱税は「言葉が軽い」と沖縄左翼からも叱られているが、しかしながら、この友愛脱税はピンマイクでこっそり言ったのではなく、沖縄で東京で、どこでも公然と発言してきた。だからこそ、いま、叩かれても黙って下を向くしかないわけだ。本人は「公約ではなく党の代表としての発言」などと可哀想なことになっているが、コレを真に受けた有権者も相当に残念なわけだ。たしかに「政治家の言葉」とやらは重いだろう。これに異を唱えるつもりは毛頭ないが、コレを受け止める側の「軽さ」は問題ではないのか。
自分の一票が民主党を勝たせ、党の代表である残念な人が総理になった。それを「信じていたのに」で免罪されるという感覚はおかしい。有権者とは子供ではない。ちゃんと成人した判断力のある大人のはずだ。「騙した側」を断罪することも当然だが、それより「騙されない努力」をすっ飛ばした意見には違和感があるのだ。
鳩山に「人の所為ばかり」と責めてもよい資格のある有権者は「民主党に投票しなかった有権者」だけである。マスコミの民主党擁護にも眉に唾をつけていた有権者である。子供手当や高速無料化、暫定税率撤廃に「どうやってするんだよw」と見抜いていた有権者だけである。いま、沖縄で「民主党に騙された!」という人は民主党に投票した人だ。
「ともかく基地は嫌だからどこかに行ってくれ」という「天使のようにキレイな心」の人はともかく、中にはうっかりして「日本の安全保障の問題を、なぜに沖縄だけに押し付けるのか?」とか「いつまで沖縄だけに負担させておくのか?」と言っちゃう人もいる。すなわち、沖縄の基地問題とは日本の安全保障に直結していると認識しているわけだ。ならば、これは「このあと」がなければおかしい。すなわち、じゃ、どこに持ってくのか?も付け加えねばならない。もしくは、じゃ、どうするのか?を答えねばならない。これにNOを言う人は、やはり、先ほどの「オラは水洗便所のようにキレイな心だべ」としてキントウンに乗れねばならない。まさか「沖縄から基地が無くなれば日本なんかどうなってもいい」とは言うまい。たとえ、それが「本心」でもだ。
ある夏の暑い日、鳩山が来て「最低でも県外!」と言った。それはそれで結構なことだが、日本国の衆議院選挙において「地元のこと」だけを考えて投票するという、浅薄に過ぎる判断をするから、いま、困っているわけだ。怒ってらっしゃるわけだ。普天間の迷走が鳩山政権の息の根を止めるのは間違いないかもしれないが、それは同じく、鳩山政権を生んだ有権者の責任でもあるのだ。「最低でも県外!」には「じゃ、どこへ?」がセットでなければ鳩山と同じなのだ。有権者は「聞いただけ」ではない。「聞いて決めた」わけだ。
イギリスでは「揺りかごから墓場まで」の労働党がまた第二党になった。サッチャリズムで「英国病」を克服したイギリス国民は「二大政党制」を上手に繰り返したのかもしれない。日本は「だれがやっても一緒」と投げやり、ついには「金くれるなら」と最悪の政権を誕生させた。そして、いま、話が違うじゃないかと怒るだけだ。
「海兵隊が抑止力だとは知りませんでした」と言ってのける総理大臣を生むほど政治的に劣化した。60年以上も自国領土に存在する外国の基地を「なぜあるのか知らない」と公言する首相がいる国は、ピンマイクで「本音」を垂れたイギリスの首相を笑えない。
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久代千代太郎
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