忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

「今年初海なう~」の確率は25分の1

2010年08月03日 | 過去記事
中学3年の頃、担任の教師との意地の張り合いから「夏休みの自由研究」と題して絶食したことがある。3日目を過ぎたあたりから立って歩くのもキツクなった。青島幸雄は30時間で脱水症状になったが、お陰で金丸は検察に逮捕された。私の場合、水だけは飲んでいたので生きてはいたが、4日目、ついに立てなくなった。

そのくらいからオカンが本気で怒りだした。ようやくオカンに事情を言うと、オカンはもっと激怒して担任教師に電話をかけた。クラス全員の前で「絶対にお前なんかには無理だ」と言った教師が、私に謝るのを確認してから私はオカンが作った牛丼を喰った。オカンは「この子はこういう種類の阿呆なんです。先生、たのんますわww」と担任に言っていた。5日目の朝だった。

立てなくなったのは筋肉がなくなったからだ。その頃、ベンチプレスは100キロをあげていた私だが、湯を張った「風呂桶」がしばらく持てなかった。人間が栄養を補給しないと、先ず、タンパク質である筋肉を分解する。そのあとに脂肪が使われる。ダイエットで喰わないのが、どれほど馬鹿なのかわかる。そして分解する脂肪が無くなったら、ようやく人は死ぬように出来ている。餓死だ。無論、これで「水が飲めない」場合は、成人でも2~3日で絶命するが、それは実に、絶望するほどの辛さだという。

それは例えば「ステーキが嫌い」という人が、我先にと人肉を喰らうほどの絶望だ。ペットボトルの水しか飲まないという人が、他人の血液や小便を飲むほどの絶望である。それを飢餓という。

反日漫画に出てくる美食家は「こんなモノ喰えるか!豚の餌にも劣るわ!」みたいなセリフを言うが、10日も喰えねば豚の餌でも奪い合って喰うように人間は出来ている。グルメや大食いが、なんとなく疾しいのは、そういう本能や現実の対極にあるからだ。ウソ臭くて罰当たりな感じがするのも無理はない。ま、だからこそ、テレビにぴったりなのだ。

しかしながら、人はなかなか自殺の手段として餓死は選ばない。これは「誰でもよかった」と言いながらヤクザの事務所に殴り込まないのと同じで、要するに覚悟と決意を要するからである。また、覚悟と決意が出来る人は自殺する理由が「嫌になった」などではないから、なかなか「飢餓自殺」は聞かないということになる。

そして、だ。そんな覚悟と決意が必要なことを、あるいは、それらがあっても発狂するほどの苦痛を伴う絶命手段を、何の準備もなく、何の心構えもなく、どころか、生まれて3年や1年の乳幼児が、このような「最も苦しい殺され方」をした。連日報道されている大阪の「2児放置殺害」だ。容疑者の母親で23歳の風俗嬢は、子供が死んだあとも神戸の須磨海水浴場から「初海なう~」とツイッターで報告していた。鬼は確実に人の世にいる。



この事件が原因で「大阪こども相談センター」の電話は鳴りっ放しだという。センター職員の対応に対する批判だろうが、どうしても抗議したいなら手紙でした方がいい。その回線がつながらずにまた、放置される子供が出るかも知れんと考えてほしい。

また、この「民意」が大好きな政権のときだということで、光の速さで厚労省が動いた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100802-00000082-mai-soci
<安全確認徹底を通知 厚労省>

我が妻も涙目で「なんで、ドア壊して入らへんのん?」と私に問うてきた。ちゃんと「主人公」がいて、センターの同僚なんかが「おい、無茶すんなよ」と止めるのも聞かず「中で子供が苦しんでいたらどうするんですか!」と言ってドアを蹴り破り、「責任は全て、僕が取りマス!」とか言いながら、衰弱した子供を抱きかかえて救出する―――なんていうのはドラマの中だけの話で、実際の世界では9時にしか出勤しないし、17時になったら飲みに行くし、呼び鈴押して応答がなければセンターに帰って「あつーww」とか言っていればいいのだ、と答える他なかった。

大阪の「児童虐待ホットライン」の電話も午前11時から午後5時までだ。NTT西日本のお客様センターのほうがマシだ。水道の修理やカギの修理で24時間対応する民間業者はあるが「子供の修理」は役所が9時5時でしか対応しないのが世の中である。

しかし、それでも責められるべきは鬼母である。というのも、大阪の「こども相談センター」も9時5時なのに「月に2千件も電話がかかってくる」ことを想定して作られていないからだ。限られた人数、限られた権限ではどうしようもないのが現実だろう。長妻厚労相は「臨検はきちっと手続きをとるのが前提だが、対応を図り強化してほしい」と曖昧な発言をするのが精一杯だ。巷で虐待されている子供よりも、国会で虐待されている総理大臣のほうが気になるのだろう。

「対応を強化せよ」と命じるには、その前提に斬り込まねば話にならんではないか。

この23歳の風俗嬢の異常な行動パターンからして、また、近隣の住人との孤立無援からして、我が子の死亡を確認して尚、須磨海岸から「初海なう~」と出来る異常性からして、もはや、2人の子供を奪い取ってでも安全を確保せねばならぬ状況だったことは論を俟たない。つまり、安否が確認できなかったどころか「状況確認」すら出来ないのが現状ではないか。対応可能な範囲を物量でも内容でも超えているのが実情ではないのか。早急な法の整備を要するわけだ。そして、それは政治家の仕事ではないか。「決まりはあるけども、なんとかしてくれ」なら誰でも言える。誰でも言えることを言って済ませることを「無能」という。この期に及んでもまだ<厚労省はまた、臨検の手続きの見直しを検討することを明らかにした>とか書いてある。こんなんだから「ミスター検討中」と言われる。厚生労働省の職員にパワハラするように、ボスの権限でサクッと仕事せよと言いたい。

無論、繰り返すが「悪いのは親」である。しかし、そのあと親をどんなに責めようが、逮捕起訴して死刑にしようが、壁を掻きむしって絶望死した子供らは生き返らない。だから、たかだか朝鮮玉入れの在日管理職でも、駐車場に子供を閉じ込めた車両があれば「ガラスを叩き割れ」と指示を出す。ベンツであろうがロールスロイスであろうが、車1台くらい、会社に弁済させるし、もし無理なら、私が全額背負ってもいいから、灼熱地獄の中の子供を救えと従業者には徹底して指示していた。それを、厚生労働大臣様ともあろうものが「ともかく、不在や応答なし、で済まさないで、必ず、その日、親に会うまで粘ってくれ。会えなければ、現場の判断で臨検してくれ。残業手当や特別手当も出すし、全ての責任は厚生労働省に持ってこい」くらい言えないのか。

近所の住人が「インターホン越しにママ―ママ―と何度も、長時間、叫んでいる」と児童相談所に通報したのは3月30日だ。生きていたのだ。センターの職員もなぜ、その時点から親が戻るまで現場に留まらない?なぜ「応答がない」として相談所に戻れるのか。なぜ、その時点で警察に届け出ないのか。自分の仕事がなんなのか、くらいわかっているだろう。なぜ、それを果たさないのか。なぜ、家に帰って寝られるのか。まったく理解不能である。

また、テレビはもっと酷い。「みのもんた」のテレビでは白石真澄とかいう評論家が「こういう事件が起こると母親が責められて異常のように報じられるが、私は彼女に同情的」と抜かした後「大阪の中心区の人間関係が希薄なところでは孤立してしまう。子育ての母親の孤立をどう救うかに目を向けなければ、こういう事件は防げない」とキチガイを晒した。

もちろん、こんな鬼母に同情の余地などない、いや、あってはならぬ。白石真澄は「保育園ママのおたすけガイド~預けて働くみんなの知恵~」という著作があるらしいが、どうせ、ちゃんと子供を預けられる環境があって、ママさんつながりでのコミュニケーションがとれて、外に出て働くことで社会的役割も果たして、自分に自信が持てるようになって、そして、子育ても前向きに取り組めるんです、とか書いてあるんだろう(想像)。

ならば、その「働く知恵」とやらに、あるいは「保育園ママ」のモデルとして「風俗嬢」は取り上げているのかと問いたい。もちろん、誤解のないように書いておくが、風俗嬢でも子育てのために、毎晩毎晩、わっしょいわっしょい頑張っている素敵なママさんもいる。私は性風俗業に対する偏見がないし、ある意味、究極のサービス業であると尊敬もしているが、要するにどんな仕事、あるいは、どんな境遇であろうとも「人の親」はそんなことしないということだ。これは理想ではない。そんな薄っぺらい「人間関係」だの「孤立」だのという生温い理由で、我が子二人を閉じ込めて、粘着テープで出入り口を塞ぎ、自分はホストと遊び狂うような鬼母にはならぬという現実である。

ざっくり言うと「専業主婦」に対する価値観の破壊、日教組による変態教育の末の「セックスをする自由」という貞操観念の破壊、合わせて「女性の自立」などという当たり前の価値観の摩り替え、子育てという明確な「親の責任」の転換、誤った「生命至上主義」による自分主義、花屋の店先に並んだ花はオンリーワンではなくて、花農家が選別して出荷し、花市場で店主に選ばれたナンバーワンであり、さらにはそこで客から買ってもらえないと廃棄処分されるのだと教えぬことによる「自分至上主義」の弊害なのである。

昔の職場で「お金がかかるから子供はいらない」という20歳の女の子がいた。その女性は「貯金を使うのが嫌だ」と言った。「働いたお金はぜんぶ、自分に使いたい」と言っていた。私はその女の子に「馬鹿」のレッテルを貼ったが、もはや、その場しのぎの対話や適当な説教で、この女性の考えを正すのは不可能だと思った。その女性は仕事を放り出して、フリーターのボンクラを追って九州まで行ったが、有り金全部吸い取られて大阪に戻ってきた。自分の子供には使いたくないと言った大事な貯金だったが、惚れた男に全額、貢いでしまったのだという。私は「馬鹿」のレッテルを剥がし、その上から「大馬鹿」のレッテルを貼付して、もう、相手にしなかった。

幸いにも、この「大馬鹿ちゃん」に子供はいなかったが、男は好きだったので妊娠して出産したかもしれない。ならば、この大阪の2児放置殺人のような結果も有り得た話である。この23歳の風俗嬢、下村早苗はホストクラブに行って金は使うが、我が子には水も飲ませなかった。つまり、男に使う金や時間は「自分のため」なのである。子供に使う金や時間や手間は「自分のためではない」という解釈で、この女にはそれが我慢できなかった。

我々は普通、自分の子供にかける金や時間や手間を「愛情」と表現する。子供を叱り、勢い余って「出ていけ!」とやっても、一晩、子供が家に戻らねば、親が悲壮な顔で探しまわることも普通だ。ましてや、年端もいかぬ幼児を水もない空間に閉じ込めて遊びに行けと言われても、普通、それは出来ぬ相談なのである。しかし、世の中には「我々」に含まれない人間が存在する。「我々」の想像も出来ぬ精神構造をもった人間がいるわけだ。

アメリカの心理セラピストでマーサ・スタウトという人は、20数年間精神病院で働きながら研究して「世界には25人に1人の割合でサイコパスがいる」と結論付けた。サイコパスにはまったく「良心」というものがないという。だから、残りの24人は絶対に理解出来ない。「普通、そんなことはできない」が通じない。人が空を飛ばないように、人が水中で呼吸できぬように、サイコパスは「良心の呵責」に苛まれることはない。だからマーサ・スタウトはサイコパスをして「やろうと思えば何でも出来る人」だと評価する。

空を飛べない人間は「空飛ぶ人間」のことはわからない。「飛んだら気持ちいい」とか「高いところは怖い」はわかっても「なぜ飛べるのか?」は絶対に理解出来ない。同じく「自分の子供を腐らせてホストで遊べる母親」のことも、我々は絶対に理解出来ない。先の評論家先生は「同情的になれる」とテレビで言った。もし、白石真澄に子がいるなら、身内は目を離さぬことだ。彼女は「空を飛べる可能性」がある。

そして、だ。

戦後日本の骨抜き教育はサイコパスを量産する、あるいは「覚醒させる」という傾向がある。「良心の呵責」が皆無であっても、日常生活における社会的常識や、歴史的、文化的に営まれる慣習というものには、サイコパスを浮かび上がらせる効果があった。「世間」という厳しい検閲があった。「自分至上主義」は通用しない社会であったから、とくに日本社会においては必然的に選別する機能、装置が具備されていたともいえる。

しかし、戦後日本の左翼はこれを壊した。自分本位でしか動かないサイコパスと比して変わらぬ「自分至上主義」を蔓延させた。サイコパスは「特権」ではなくなった。表面的には誰もが自分と同じこと「自分さえよければいい」を言う世の中が出現した。

サイコパスは「変わり者」ではなくなったのである。だから、例えば、秋葉原で無関係な人を次々に殺傷しておいて、裁判の被告人質問で「思い出し笑い」をするようなサイコパスが、普通に会社に勤めていたりする。ナイフも買えるし、レンタカーも借りることが出来る。だから、我が子をベランダに放置して殺すことも出来る。「自分だけが大切」だから、自分のセックスの相手であり、寂しい時間を埋めてくれるオトコには逆らえない。しかし、我が子を小さな箱に閉じ込めて衰弱死させたり、骨が折れるほど殴りつけたりも出来る。トイレで出産してゴミのように放置することも出来れば、洗濯気に放り込んで回したり、熱湯をかけて大火傷を負わせて殺すことも出来る。

だから、3歳と1歳の我が子を「茶色く変色して腐っている」まで放置できるようなサイコパスが、友人もいて泊まり歩くことも出来るのである。

3 コメント

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Unknown ()
2010-08-04 11:47:10
この鬼畜女の親父もどこぞの高校ラグビー部で名監督と呼ばれてるようですが、×2で娘3人よりラグビー部が大事っていうことですよね。

やっぱり、ネグレクトは連鎖するということですね。

サイコパスの話しは納得させられました。
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Unknown ()
2010-08-04 22:17:55
どうして悪いものは悪いと言えないのでしょう?

左翼は人権は大好きなのに、子供の命はどうでも良いのですね

自民党政権下で、警察官の立ち会いを明記するはずだったのに、それを断固拒んで骨抜きにしたのは、左翼仲間の民社党ではないですか。
知識人宜しく、偉そうに鬼畜を養護するそのバカ女も犯人同様 屑 です

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Unknown (久代千代太郎)
2010-08-05 05:20:02
>▲

なんやようわからんね。

娘を預けてたらしいね。ようわからん。まあ、やりきれん事件だな。



>な さん

人と違うこと言いたいだけかと思ってましたが、本当に「人と違う」んでしょうね。頭がおかしいんでしょう。
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