忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

山教組弱体化 業界、公明票が穴埋め

2010年07月15日 | 過去記事
山教組弱体化 業界、公明票が穴埋め

涙声の電話だった。

 「頼みます。ほとんど差がないんです……」

 参院選の投開票日前日の7月10日。県内のある公立中学教諭は、山梨県教職員組合(山教組)の支部役員を務める後輩教諭から、民主党参院議員会長の輿石東氏(74)へのさらなる選挙協力を依頼された。前日の9日には、教諭OBからも電話を受けていた。「組合員は1人1票上乗せを頼むわ

 最終盤の相次ぐ依頼に、教諭は「相当焦っているな」と感じたが、ちょうど期末テストでてんてこ舞いの時期。OBには逆らえないため、「わかりました」と応対した。だが、後輩の役員には「難しそうだ」と答えた。

 別の20歳代の中学教諭は明らかに選挙への関心を失っていた。「先輩は選挙で慌てていたが、期末テストや成績表で忙しかった。選挙なんてめんどくさいし、やる意味がないですよ」

 3745票の僅差(きんさ)で3選を果たした輿石氏の支持組織の中核は、出身母体でもある山教組だ。

 山教組には「3日選挙」の伝説がある。「劣勢な選挙も短期間でひっくり返す」ほどの組織力を持つというわけだ。

 だが、北海道教職員組合の違法献金事件などで、「先生と選挙」への世間の視線は厳しくなり、今回の参院選は、現職教諭の動きは鈍った。代わって法的に選挙活動の制限がないOBを中心に活動したが、結果は自民党の新人、宮川典子氏(31)にぎりぎりまで追いつめられた。

 輿石氏陣営は今回、別の組織票を頼った。公明票だ。

 「バーターしませんか」

 輿石陣営幹部が複数の公明党議員らの自宅を訪ね歩いていた。同党が山梨選挙区の「自主投票」を表明した6月17日以降のことだ。

 輿石陣営が「比例は公明」を指示する代わりに、公明支持者に「選挙区は輿石」を依頼するという非公式の選挙協力の打診だった。

 ある公明党市議は証言する。「バーターに応じた。自民党側からは何の働きかけもなかったから」

 読売新聞の参院選出口調査にも「バーター」の効果が見て取れる。公明支持層の約5割が宮川氏、2割以上は輿石氏に投票していた。今回、公明党の比例選の得票は4万7646票に上った。

 自主投票を決めた業界団体はどうだったか。県建設業協会や県農協中央会の幹部は「自民党とのつきあいがあるから、宮川氏へ流れた票が多い」と見る。だが、輿石氏に流れた業界票が以前より増えたのは確実だ。

 山教組の弱体化を、公明党や業界票など、輿石氏と距離のあった組織票が穴埋めしたとも言えそうだ。

 だが、山教組幹部は意気盛んだ。「宮川氏を支持した自民党県議は来春の県議選で落選させる。選挙の恨みは選挙で晴らす」

 山教組が再び「選挙集団」に戻るのかどうか。それを決めるのは現職教諭たちだ。

(2010年7月14日 読売新聞)






選挙後の新聞を見ると、気持ちよく「民主大敗」と書いている新聞はなく、ほとんどが「敗北」と書いてあった。まあ、大敗というほど得票数では負けていないと言いたいところだろうが、現役の大臣が落選し、岩手県連の代表も負けて、一人区ではほぼ全滅、輿石も公明党に頼まないと落ちていただろう。勝ったとはいえ4000票差ほどだったらしい。

無効票も1万5千ほどあったらしいが、ま、ともかく山梨県民の良心は今回、届かなかった。それだけだ。ところでこの「敗北」という熟語、なぜだか「北」という字が入る。なんでかと思って調べてみたら、この語源は「背く」からなるとあった。なるほど、なにかに「背いた」から負けたのかもしれないということか。

今回の選挙も教職員の方々は、世間の目が厳しく、動き難いところを頑張って活動されたようだ。ま、それも教え子の勉強より大切な選挙活動だから仕方がない。OBも後輩も総動員、どこかの政教分離を嘲笑う政党と同じくどころか、その政党にまでバーターを申し入れるとは、まさに背に腹は代えられぬ厳しい選挙戦だったようだ。御苦労さまである。

ときには「公務員の選挙活動VS政教分離の原則」がぶつかり合い、国会で論戦もした二つの政党ながら、外国人地方参政権はもちろん、その他の売国法案を推し進める同志であるから、そこは相手の危機あらば救いの手を差し伸べる間柄なのであろう。

共に日本を無茶苦茶にしよう!と誓ったあの日から、二つの政党、手段は違えど志す目的は同じ仲間である。数の少ない貴重な保守層が、ああだこうだと揉めているのも、さぞかし面白かろう。今回も、共に仲良く日本国民に「背いて」見事に議席を減らした友である。

今回の選挙戦、公明党の代表はワールドカップにあやかり、レッド―カードを用意して「民主党にはレッドカードを突きつけます!」とやった。また、付近の道路交通が心配になるほどホイッスルを吹いていた。政治をサッカーに例えて、レッドカードを嬉しそうに持っていたようだが、誰も公明党に「審判」をしてくれと頼んではいない。それにレッドカードは6回出されると没収試合となる。山梨県で公明党市議が「バーターに応じた」と証言しているが、ンなもん、有権者からすれば一発退場の反則ではないか。

それにサッカーには「グリーンカード」というものもあるらしい。私はイエローとレッドしか知らなかったが、これは「フェアプレイに徹した選手やチーム」に出される称賛のカードだ。エキサイトして相手と揉めている選手を引き離して宥めたり、自分のファールで痛がる相手チームの選手に手を貸して労わったりすると、審判からグリーンのカードが提示される。それで試合が有利に運んだりはしないが、健全なスポーツ、そういうフェアプレイ精神が奨励されることには納得だ。

イイ年こいた国会議員が天下の往来で他党の悪口ばかり言っている。レッドカードどころか「レッドパージ」されそうな政党が「アカいカード」を出して喜んでいる。それよりも、有権者からグリーンカードを出してもらえるような政党を目指した方が良いのではないか?せめて、ちゃんと選挙活動くらいしてくれ。



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